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町工場の独力DX事例についてまとめておきました(HILLTOP株式会社)

Last updated at Posted at 2022-12-21

1.背景

 HILLTOP株式会社の講演を聞く機会があり、さらに出版されている本を読みました。
 DX事例というとITコンサルが入っているイメージなのですが、ほぼ自力で実現されたようで
 興味深く、まとめたいと思います。
machine_yubisashi_kosyou.png

書籍
ディズニー、NASAが認めた 遊ぶ鉄工所(山本 昌作 (著))
HILLTOPさん本.png

2.HILLTOP株式会社について

 会社概要はこちらです。
hilltop.png
(HILLTOP本社。筆者撮影。)

3.忙しい方へ

 DXを進める上でポイントだなと思った結論(成功のカギ)を先にまとめておきます。
 ・「こんな環境で働きたくない、働かせたくない」と思うトップ(社長など)の存在
   →トップの熱意、社員への働きかけが成否を左右する!
 ・「こんな環境で働きたくない」と思う社員の存在
   →ネガティブが原動力!(「現状でいい」派を変革することが全体の変革な気がする)
 ・ 常にアンテナを張っているキーマンの存在
   →新しい風。
 ・ キーマンがこれやろう、と言ったときに実現させるエースの存在
   →実働部隊がいないとうまくいかない。

では、順を追って記載していきます!

4.「こんな環境で働きたくない」と思うトップ(社長)の存在

こんな環境とは?

 HILLTOPは現経営陣のお父さんが建てた製作所が原点です。
 本でも触れられていますが、息子さん(長男)が3歳のときに病気になり薬の副作用で聴力を失われました。この会社はそんな息子さんの働き口を思ってのことでした。
 ただ実態は技術があって設立したわけでなく、孫請けの工場。イメージ通りの汚い環境、安い賃金・・・

「あばらや」のような町工場を到底継ぐ気にはなれなかったのです。

 (『ディズニー、NASAが認めた 遊ぶ鉄工所』p.14)

 しかし、お母さんから「工場を3人で支えてほしい」(兄弟は3人)と懇願され、継ぐことにしました。
 (せっかく取った内定も辞退されたそうです)

5.常にアンテナを張っているキーマンの存在

 「4」のような気持ちなので、山本XX氏は現状打破を考えます。
  ・少品種大量生産で利益の出ないビジネス構造
   → 多品種少量生産 へ完全移行。ロングテール
    これからの時代ニーズとビジネスのあり方にアンテナを張っていた結果だと思います。

  ・職人頼りの仕事の仕方
   → よくある手順書がなく、人の勘と経験による作業。
    これをIT自動化しました。
    → 人によって品質が違う
     → 手順書ないから(※)
      → あらゆるデータをセンターで取得し、自動化に成功。

  :point_up:手順書、パターン化がうまくいくと思った背景
    ① 炊飯器「ライスレディ」の開発講演を聞いた
    → ボタンひとつで誰でも同じ品質のご飯が炊ける
    これは「はじめチョロチョロ、なかパッパ」のプロセスやごはんを数値化し分析し可能になったもの。
② マクドナルドのバイトマニュアル
    → 誰でも同じ品質のサービスが可能になる

6.キーマンがこれやろう、と言ったときに実現させるエースの存在

 改革は1人ではできないことがほとんどです。
 山本昌作氏が「こうやろう」と方針を示し、三男である山本昌治氏が現場と会話しながら進めていったそうです。これは心強い味方です。

7.「こんな環境で働きたくない」と思う社員の存在

 HILLTOPの外観は工場ではないようなポップなデザインですが、内装もおしゃれです。
 どういうオフィスがいいか?社員で話しあったそうです。
 世の中的にはこういう系はどこか他人事になりがちですが、なぜ話し合いができたのか?
(「これ、私の仕事じゃない」「本業以外をやる時間ない」・・・)
実はHILLTOPの前身は汚い工場でした。これがモチベーションになったとのこと。
 確かにこれからキレイなオフィスになる、しかも意見が聞いてもらえる、となったら当事者意識が
 芽生えたのだとか。

 :point_up:業務を変革するには、人の行動も変革しないとだな、、と思いました。
 ただ、これは「にわとりが先かたまごが先か」なので、両方を視野に企画していくのが
 よさそうです。

というわけで、ポイントと内容をざっとまとめてみました。
自分の仕事が変わるというのはストレスを伴うものです(勤怠システムが変わった瞬間、2,3日ストレスを感じること、ありませんか・・・?)
さらに最初は不具合もあるあるです。
トップや企画、実行チームはこれらを見越しつつ、まっすぐ前の道を指し示すこと、ただし意固地にならず柔軟にチャレンジすること、こうしたことも大事なのかなと思いました。
あとはどれだけ味方を増やしていくか、ですね。

 

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