1.この記事の背景
先日、横浜で開催されたロボットワールド展に行ってきました。
率直な感想は、技術はすごい進歩している気がしたのですが、一般ウケするにはもうちょっとかなと思いました。。。かゆいところに手が届かない感がすごく。。。
ただ!この発想は今の社会ベースで考えてしまっていることに気づきました。気づいたきっかけが経済産業省の講演でした。この講演で初めて「ロボットフレンドリー」=「ロボフレ」という言葉を知ったため、私見含め、整理しようと思います。
2.ロボットフレンドリーとは
経済産業省によると
ロボットフレンドリーな環境の実現とは、ロボット導入にあたって、ユーザー側の業務プロセスや施設環境をロボット導入しやすい環境へと変革することを指します。
「経済産業省」ロボットフレンドリーな環境の実現に向けた取組が加速しています
https://www.meti.go.jp/press/2022/10/20221005001/20221005001.html
施策としては下記が掲げられてます。
所与の環境に後からロボットを導入するのではなく、ユーザーの業務フローや施設環境を”ロボットフレンドリーな環境”に変革し、サービスロボットの社会実装を進めます。また、地域の中小企業等へのロボット導入に向け、コンサルタントやシステムインテグレーター、金融機関等による相互の連携を促進します。
3.なぜこの考え方が必要なのか
特徴 | 前提条件 | 取り組み方(例) ロボットが想定外の動きをしたら |
|
---|---|---|---|
従来 | 環境に技術を合わせる | 現環境は確定要件。 これを前提/制約とする。 |
エラー扱いとし解消をめざす。 |
ロボフレ | 技術仕様を踏まえた環境整備も視野に入れる | 技術仕様に合わせて環境を変えることも可能 | 仕様と許容し環境の方を変える検討を行う。 (例)鏡張りの部屋で空間認識は難しい。ロボットの視界には鏡を張らない |
三菱地所でロボット導入に取り組むDX推進部の村松氏のこのコメントが端的。
現時点でロボットは、ドアやエレベーターの通り抜け、傾斜のある段差の乗り越え、意外なものだと搭載しているカメラやセンサーのエラー要因となる鏡や直射日光などを苦手とします。これらの状況を打破するために、ロボット関連のシステムの構築・改良や通信連携、ロボットの運用を整理する等、大手不動産デベロッパーをはじめに各社が個別に取り組んでいました。しかし正直に申し上げますと、これは競争領域ではなく協調領域として進めていくべきものです。目指す未来は同じなのですから。
参考
『「ロボットフレンドリー」を知っていますか? これからのビル設計/運営に必要なロボット導入のために知っておくべきこと』
4.新しい考え方でもない
車が普及した話
車がここまで普及したプロセスをたどってみることにしましょう。
(経産省のロボフレに関する講演よりレポ)
車ができた
→ これまでは道は歩行者(自転車走行含む)のもの。車と歩行者が1本の道で共存するのは難しい。
危険だし、車も本来の力を出せない(スピード)。
→ 車用の道=車道が作られる
→ これは歩行者の行動が制限されたということ(車には優しいが人の行動に制約を与えた)
→ 一方で、車は本来の力を出せることになり、人々は恩恵を受けることができるようになった。
(移動時間短縮、時間通りの配達やバス利用が可能に、など)
→ 歩行者(人)の行動が制限されるような環境に変わったが、トータルでみると便益が大幅UP!
☆☆あくまで「人の生活が豊かになる」が目指す指針。☆☆
車はなくてはならないものになりました。
ただし、必要不可欠かといわれると、大部分の人はとても困るけどないと生きていけないものではありません。でも、一部の人は生きていけないケースもあるかもしれません。ロボットもそのようになっていくかもしれません。
最後に「ロボフレに必要なこと」をまとめたいと思います。
5.ロボフレに必要なこと
・ロボットの得意なこと、不得意なことを整理する
・不得意をカバーするための要件、仕様を検討する。
→標準化する(各々が別々で検討していては非効率)
・車の普及にあったように、人が寛容になる(不便になる運用を受け入れる)