こんにちは!ファンリードDXP事業部AWSグループのMartimです!
2025年5月にAWSから公開された「Strands Agents」というAIエージェント向けのSDKについて公開されたので、こちらの紹介をしていきたいと思います!
噂ではたった3行でAIエージェントが構築できるらしいので、検証と共有していきます!
はじめに
AIエージェントの開発と言えば、これまでは複雑なオーケストレーション・ロジックを記述し、モデルとツールの統合に多大な労力を費やすものでした。しかし、AWSが2025年5月に発表したオープンソースSDK「Strands Agents」は、その常識を覆します。
公式の紹介には「Strands Agents は、わずか数行のコードで AI エージェントを構築・実行するモデル駆動型アプローチを採用したオープンソース SDK です」とあるので本当にできるように設計されているようです。
主な特徴
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シンプルな開発体験
最小限のコードでAIエージェントを構築可能。初期設定後、わずか数行のPythonで対話型エージェントを動かせます。 -
モデル駆動アプローチ
複雑なオーケストレーションロジックを記述する代わりに、プロンプトベースでエージェントの挙動を制御できます。直感的な設計が可能です。 -
本番運用にも対応
Strands Agentsは、すでにAWS内部でも本番環境で利用されており、
Amazon Q Developer、AWS Glue、Amazon VPC Reachability Analyzerなどのプロダクトで実績があります。 -
高い拡張性
シンプルなQ&Aボットから、複数の外部ツールを統合した高度なワークフロー型エージェントまで、幅広いユースケースに対応可能です。
実際に3行で作ってみた
まずは本当に3行でAIエージェントが作成できるのか試してみました!
※環境設定等は除きます
環境セットアップ
pip install strands-agents
最小構成のエージェント(3行)
※下記はBedrockの権限と環境構築(pip install strands-agentsとAWS認証済)を前提としたコードです。
from strands import Agent
agent = Agent()
agent("Bedrockについて教えて!!")
驚くべきことに、この3行だけで実際にAIエージェントが動作しました。デフォルトではAmazon BedrockのClaude 3.7 Sonnetが使用され、基本的な対話が可能です。
AIエージェントはできてしまったので、本編はここで終わりとなります・・・
が!味気ないので以下のようなものをエージェントにやらせてみました!
実用的なエージェント:AWSニュース要約システム
3行で作れると言っても、その後の構築やらが面倒なのでは?
と思ったので早速、実用的なAWSニュース要約システムを構築してみました!
システム設計
このエージェントは以下の機能を持ちます:
- AWS公式ブログから最新ニュースを取得
- 取得した記事の内容を日本語で要約
- 重要度に応じて分類して表示
実装コード
Gitに公開していますので、こちらから皆さんも使ってみてください!
実行結果の例
簡易的に作成をしたので、自分なら分かる様な回答を返してくれていますが、内容は以下のような感じです。
出力形式:
1. 関連があるトピック名
2. なぜ関係があるのか一言説明
3. できれば内容の要約(1行)
4. 参考にした原本(抜粋or要約対象)
上記の出力形式で出したものが以下になります!
===== 今週のピックアップまとめ =====
この1週間、AIエンジニアに特に関連する大きなアップデートがいくつかありました。以下にそれらをまとめます:
1. Amazon Q Developer launches Java upgrade selective transformation in CLI (Preview)
2. AIを活用したコード変換ツールの機能拡張であるため
3. Java upgradeのCLIで選択的変換機能が追加された
4. 原本: "Amazon Q Developer transformation capabilities now support customization of Java upgrades in Java upgrade transformation CLI (command line interface) with a new selective transformation feature."
1. Powertools for AWS Lambda introduces Bedrock Agents Function utility
2. AIサービスであるAmazon Bedrockとの統合機能が追加されたため
3. AWS Lambda用のPowertoolsにBedrock Agents Function utilityが追加された
4. 原本: "Powertools for AWS Lambda now offers a new Amazon Bedrock Agents Function utility that simplifies building serverless applications integrated with Amazon Bedrock Agents."
1. Amazon SageMaker AI Training Jobs announces general availability of P6-B200 instances powered by NVIDIA B200 GPUs
2. AIモデルのトレーニングに使用される高性能GPUインスタンスが利用可能になったため
3. SageMaker AIトレーニングジョブでNVIDIA B200 GPU搭載のP6-B200インスタンスが一般提供開始
4. 原本: "Today, Amazon SageMaker AI announces the general availability of Amazon EC2 P6-B200 instances in Training Jobs, powered by NVIDIA B200 GPUs. Amazon EC2 P6-B200 instances offer up to 2x performance compared to previous generation GPU instances."
1. Amazon Q Developer agentic coding experience is now available within JetBrains and Visual Studio
2. AIコーディングアシスタントの対応IDEが拡大したため
3. Amazon Q DeveloperのエージェンティックコーディングがJetBrainsとVisual Studioで利用可能に
4. 原本: "Today, Amazon Q Developer announces support for the agentic coding experience within the JetBrains and Visual Studio IDEs."
開発で気づいたポイント
良かった点
- 学習コストの低さ: 圧倒的にシンプル!すぐ構築できてすぐに使うことが可能!
- デバッグの容易さ: pythonで書いているので内容をAIに投げたり、ログの確認も容易!
- AWS統合の親和性: Bedrockとの連携が最初から最適化されており、他モデルも使用可
注意点
- AWS認証必須: 事前にAWS CLIの認証設定が必要
- リージョン制限: デフォルトはオレゴンリージョン、Bedrockの有効化が前提(2025/6/24時点)
- コスト管理: エージェントの実行でBedrockの利用料金が発生
応用可能性
今回の実装を通じて、Strands Agentsの応用可能性を実感しました:
社内システム統合
- Slackボットとしてのデプロイ
- 定期的な配信システム(ニュース以外でも可能なので、週一のやることリストまとめとかもできそう)
- 技術情報のキュレーション
開発プロセス改善
- コードレビューの自動化
- ドキュメント生成
- 障害対応の初期トリアージ
まとめ
「3行でAIエージェントは作成できるのか?」という問いに対する答えは、YESです。Strands Agentsは本当に最小限のコードでAIエージェントを構築できます。
しかし、真の価値は単純な作成の容易さではなく、実用的なエージェントを素早くプロトタイピングし、本番運用まで持っていける点にあると考えています!
今回のAWSニュース要約システムも、実行だけならわずか数十行のコードで実現できました。
(今回少し作り込みをしたので、長いコードになっていますが・・・)
今後は業務自動化やSlack通知Bot、レポート生成など、より多くの場面での活用が期待できそうです。
AIエージェント開発のハードルが大幅に下がった今、アイデアを形にするスピードが競争力の源泉となるかもしれません。
皆さんもStrands Agentsで、新しいAIエージェントの可能性を探ってみてはいかがでしょうか!
以上!
最後まで読んでくれてありがとうございました!
よきAWSライフを!
参考資料