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多国籍チームでのチームビルディング

Last updated at Posted at 2016-10-14

アメリカ、バングラ、ニュージランドの異種混合チームと日本イスラエルチームで仕事をした経験を経て、
多国籍チームでの成功と大失敗の両方について、反省も兼ねて分析したいと思います。

はじめに

チームビルディングで日本人と外国人の大きな違いを感じた点は報酬の価値観の違いとコミュニケーションの優先度です。
日本人エンジニアにはProjectの成功=会社の成功=個人の成功という図式が比較的簡単に成立しますが、外国エンジニアは個人やアーキテクチャを重視するので成立しない事が多いと感じます。これを怠慢であるとか協調性がないとかいう形にして村八分にしてしまう事が事態を悪化させ、チームビルディングをより困難にします。
また、コミュニケーションに関しては日本人エンジニアはドキュメントベースのコミュニケーションが非常に得意で細部まで読みこみ理解をした上で次のステップに進むのですが、外国人エンジニアの場合はverbal(口頭)でのコミュニケーションに非常に長けており柔軟に解釈を変え最適化案を提案できたり、口頭で話をした決定事項をドキュメントより優先させ素早く対応できる傾向にあります。
得意な仕事の傾向はやはり、

日本人エンジニア → 積み上げ型のウォーターフォール
外国人エンジニア → 柔軟なアジャイル
といった雰囲気です。

項目ごとのギャップ

項目 日本人エンジニア 外国人エンジニア
コミュニケーション 文章やダイアグラム ディスカッション
プロジェクトへの参加姿勢 受動的 積極的
チームワーク 和をもって尊しとなす 個人主義
成功の定義 プロジェクト無事完遂 個人の出世
仕様変更への考え方 慎重 柔軟
品質に関する考え方 非常に厳しい 非常にゆるい
完成までのスピード 遅い 早い
バグへの認識 重大な欠陥として認知 当然起こる事象として認知
バグ対応速度 迅速に対応 FutherUpdateで対応
納期意識 高い 低い
仕事の効率性に対する考え方 低い 高い
プロジェクト先導力  ほぼなし 非常に優れている
コミットメント意識 無駄と思われても言われたらやる 無駄な仕事と判断すればやらない
語学力 英語表現の乏しさ 英語表現の豊さ、日本語力の欠如

上記のFit&Gapを分析すると
日本人エンジニア -> 下請けお客様至上主義
外国人エンジニア -> カリスマビジネスリーダー
という説明がいろいろな所でされるのがよく分かります。

適材適所に人材配置をしてこそプロジェクトが成功すると思われるので、
カリスマを下請けのポジションに置いてしまったり、
お客様至上主義をリーダーにする事でプロジェクトに歪みが生まれるというのが容易に想像が付きます。カリスマ特性だからといって下積みが必要ない訳ではないし、お客様至上主義だからといって経験不足な訳でもないので日本側が上流工程に立つにはポジショニングが非常に難しくなります。
カリスマ特性の人に対して下流工程だからただ受け入れさせるというのは拷問してるみたいなもんですね。

外部要因

プロジェクトの規模が違うので一概に比較はできませんが、組織の組み方は参考になると思います。

項目 成功 失敗
参画企業 日本の大手開発系SI 利害の一致しないマルチベンダー
マネージメント 日本側に絶対的に権力のあるPM PMの所在不明
品質管理 日本式のQAを外部の専門組織で2段階で行う 各社独自で実施
ロケーション オンサイト オフサイト

成功要因

  1. 上流工程を日本の大手ベンダーが完全にまとめて開発のみに集中可能な体制を構築
  2. QAを2段階にして外国人エンジニアサイドで要件の汲み取りが難しかった部分を補填

失敗要因

1.要件部分の品質の低さに加え外国人エンジニアのリーダーシップとクリエイティビティが裏目にでて、仕様が確定せず衝突
2.要件部分の品質が低く、トランスレーションをすると全く伝わらない文章になるので余計な会議でのコミュニケーションが多発
3.地理的条件でホワイトボードディスカッションができないのでより要件が伝わらない状態になる

今後の作戦

プロジェクトマネージメント

一番強い所と弱い所を考えます。

強み 弱み
日本人エンジニア 積み上げ力 積極性
外国人エンジニア 柔軟性 コミットメント力

日本人エンジニア -> 着実に積み上げる系の仕事と外国人エンジニアのサポート体制を作る
外国人エンジニア -> 柔軟性、積極性を活かした戦略部門を担当するか専門性を活かしたハイスピード開発を担当

どちらにせよ、気の弱い日本人がリーダシップを持ってオフサイトメンバーなどをコントロールをするのは相当難しいので、スケジュール管理手法、品質管理手法、提供するドキュメントの品質などを徹底して外堀を埋める必要があるというのを痛感しています。日本工業製品のトップを長い間牽引していた文化なので、こういった手腕は優れていると思います。ただ、遠慮しすぎや優柔不断で要件が決められないという事があるので、そういう所で外国人エンジニアが的確にソリューションを提案してバスっと切ってくれた時にはかっこいいなあと思いました。無駄にオーバースペックな要件やタスクなどはガツガツ削ってくれそうなので、工数がかかりすぎる部分などは効率化してキレイにしてくれると思います。

人材マネージメント

日本人エンジニアはみんなで頑張った→楽しく飲むでなんとなく片付く事が多いのかなと・・・・
そういう昭和な雰囲気に馴染んでくれる外国人エンジニアの方も少数ながらいますが・・・。
外国人エンジニアには個人の時間を尊重、労働基準の整備、成功時報酬の設定などきちんとメリットがある事をロジカルに理解してもらうのがモチベーションアップにつながりやすい気がしています。個人のプライドを尊重したいですね。
これは見込み残業とかいう制度で労働時間すら有耶無耶になり長時間労働に苦しむ日本人は見習わないといけないと思います。
日本ではCEOの名前は前にでてこないので、それだけ個人が際立たないという社会システムです。そういう社会に個人を尊重する外国人のエンジニアを入れるのは酷だなあと思います。

最後に

色々苦しみましたし、喧嘩もありえないくらい沢山しましたが、
優秀な方とも一緒に仕事ができ、良い考え方も沢山学びました。
溝が埋まらず挫折もしましたが成功例と失敗例を両方経験できて良かったです。

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