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柔道整復師のオンライン申請(療養費オンライン請求)の施策の経緯

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概要

  • 過去20年以上、柔道整復師の療養費請求の電子化は進んでいない。
  • 各施術管理者(整骨院など)が各保険者に個別に請求する必要がある。
  • 請求ルートは多数かつ複雑な状態だ。

問題点

  • 多くの施術所が請求事務を専門の請求代行業者に委託している。
  • 請求代行業者は受領委任契約の当事者ではなく、行政の指導・監査が及びにくい。
  • 不正事例も発生している(例:令和3年1月「ホープ接骨師会」の私的流用事件)。

政府の動きと議論の強化

  • 令和3年(2021年)の政府方針で議論が強化された。
  • 令和3年12月の規制改革推進会議で「公的な関与の下での請求・審査・支払い」とオンライン請求の導入が検討された。
  • 厚労省は柔整療養費のDX推進に本格的に取り組むことになった。

専門委員会の活動

  • 令和3年8月以降、社会保障審議会 医療保険部会 内の柔道整復療養費検討専門委員会で議論が始まった。
  • 令和4年(2022年)にオンライン請求の基本的方向性が整理された。
  • 第23回専門委員会では今後の進め方が提案された。
  • オンライン請求導入の目的は以下の通り。
    • 療養費を施術者に確実に支払う
    • 請求代行業者による不正行為を防止する
    • 施術所や保険者の事務を効率化する
    • 審査の質を向上させる
    • データ分析で施術の質を高める

ワーキング・グループの設置

  • 令和4年末に「柔道整復療養費のオンライン請求導入等に関するワーキング・グループ」が設置された。
  • 制度設計やシステム整備の具体的な検討が始まった。

現行のオンライン申請(請求)制度と課題

現状

  • 2020年代半ば時点では、オンラインによる療養費申請は本格導入されていない。
  • 療養費請求は各施術所から各保険者へ紙で行われる。
  • 多くの施術所が団体や民間会社の請求代行サービスを利用している。

課題

  • 請求代行業者による請求は行政の監督が不十分で不透明な面がある。
  • 複雑な請求ルートのため、統一的な電子請求システムの構築が難しい。
  • 各保険者ごとに審査・支払事務が行われ、審査基準や支払いの平準化が困難。
  • 現在は各団体・地域でばらばらに運用される請求書様式や記載項目の標準化が必要。
    • 施術内容や負傷部位のコード化
    • 施術管理者や施術所の識別コードの整理
    • 患者署名の電子化
    • 添付書類の扱い
    • チェック項目の設定
  • 現行の「施術管理者番号」に代え、免許登録番号の活用が検討されている。
  • 小規模施術所でも利用できる簡素で低コストな仕組みが求められる。
  • 各保険者の自主性(裁量)にも配慮が必要だ。

オンライン申請(請求)の今後の方針とロードマップ

今後の計画

  • 令和8年度(2026年度)からの本格導入を目標とする。
  • 社会保障審議会のロードマップ案では、令和8年4月頃のオンライン請求開始が検討されている。
  • 政府全体のデジタル化推進方針と歩調を合わせる。
  • 業務フローの見直し、施術所・保険者・審査支払機関の準備、費用負担の検討が進められる。

ワーキング・グループの取り組み

  • 2023年度以降、施術所や保険者団体、支払基金・国保連合会など関係者が詳細設計を議論する。
  • 2024年度にはシステム開発・テストの準備に移行する見通し。

システムの基本構想

  • 既存の診療報酬オンライン請求のネットワーク基盤を活用する。
  • 請求先は各保険者から審査支払機関に一本化される。
  • 支払基金等が内容審査を行い、各保険者の支給決定を経て施術所へ支払いを代行する。
  • 経過措置期間を設け、段階的に完全移行する方策も検討される。
  • 進捗に遅れが生じた場合はスケジュールの見直しも検討する。

関連する制度改正と厚生労働省の見解

制度改正の動向

  • 令和4年の療養費改定で、明細情報の提供義務が強化された。
  • 従来は有償で明細書を発行していたが、原則として無償交付する義務が課される。
  • これにより、施術内容や請求額の透明性が向上し、不正請求の抑止につながる。

オンライン資格確認の導入

  • 厚労省はオンライン請求と連動して、マイナンバーカードを利用したオンライン資格確認の導入も進めている。
  • 令和5年以降、柔道整復師などの施術所に対してオンライン資格確認機器の導入補助が行われ、説明会や周知が進められている。
  • 将来的にオンライン請求とデータ連携することも視野に入れている。

厚労省の基本方針

  • 現行法令との整合性を保ちながら制度構築を進める。
  • 健康保険法に基づき、最終的な支給決定権は各保険者にある前提で設計する。
  • 審査支払機関による審査・支払代行を行う際は、法的根拠を明確にし、保険者の権限や過誤調整の手続を損なわないよう配慮する。
  • 保険者の任意性を尊重しつつ、インセンティブを与える制度設計が議論されている。
  • 関係者の合意形成の下、2026年度のオンライン請求開始を目指す。必要に応じて制度の見直しや法改正も検討される。

全体の意義

  • 不正防止と給付の適正化を図る。
  • 国民にとって便利で安心な医療保険利用環境の整備につながる。
  • 厚労省は今後も公式サイトなどで最新の方針や進捗を公表する予定だ。
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