【Power Automate】Excel テーブルを YAML ファイルに変換する

目的

Excel ブック内に存在するすべてのテーブルを、それぞれ YAML 形式に変換し、SharePoint ライブラリの指定フォルダに個別の YAML ファイルとして保存します。

Power Automate (クラウドフロー) には、JSON 変換のアクションはありますが、YAML 変換のアクションは現状ありません。(2025/05 現在)

Office スクリプトは Excel for the Web 上で実行される安全なサンドボックス環境のため、Office スクリプト 単体ではローカルファイルやクラウドストレージに直接ファイルを書き出すことはできません。Office スクリプト と Power Automate を連携させることで実現します。

処理の流れ

1. Office スクリプト で YAML 文字列を生成する
2. Power Automate で Office スクリプト を呼び出し、変換された YAML 文字列を元にファイルを作成し、SharePoint ライブラリに格納する

シーケンス

ステップ 1：Office スクリプトの作成

Excel ブック内のすべてのテーブルを取得し、それぞれを YAML 形式に変換し、配列として返すスクリプトを作成します。

スクリプトのポイント

• 空セルや null 値は "null" として出力
• ファイル名は {テーブル名}.yaml
• Power Automate で扱いやすいように配列形式で返す

type TableInfo = {
    BaseName: string;
    FileName: string;
    Content: string;
};

function main(workbook: ExcelScript.Workbook): TableInfo[] {
    const tables = workbook.getTables();
    const result: TableInfo[] = [];

    for (const table of tables) {
        const yaml = convertTableToYAML(table);
        result.push({
            BaseName: `${table.getName()}`,
            FileName: `${table.getName()}.yaml`,
            Content: yaml
        });
    }

    return result;
}

function convertTableToYAML(table: ExcelScript.Table): string {
    const headers = table.getHeaderRowRange().getValues()[0];
    const rows = table.getRangeBetweenHeaderAndTotal().getValues();

    let yaml = "";

    rows.forEach((row) => {
        yaml += "- ";
        row.forEach((cell, colIndex) => {
            const key = headers[colIndex];
            let value: string;

            if (cell === null || cell === "") {
                value = "null";
            } else if (typeof cell === "string") {
                value = `"${cell}"`;
            } else if (typeof cell === "boolean") {
                value = cell ? "true" : "false";
            } else {
                value = cell.toString();
            }

            yaml += `${colIndex === 0 ? "" : "  "}${key}: ${value}\n`;
        });
    });

    return yaml;
}

ステップ 2：Power Automate フローの作成

選択したファイルの場合

• トリガー名： 【モバイルのフロー ボタン】「フローを手動でトリガーする」

パラメーター：

• 場所： SharePoint サイト
• ドキュメント ライブラリ： 対象のライブラリ

スクリプトの実行

• アクション名：【Excel Online (Business)】「スクリプトを実行する」

パラメーター：

• 場所： SharePoint サイト
• ドキュメント ライブラリ： 対象のライブラリ
• ファイル： Office スクリプトを作成したファイル名
• スクリプト： 上記で作成した Office スクリプト

ファイルの作成

• アクション名：「Apply to each (各要素に適用)」
  • 前のステップから出力を選択します：スクリプトの戻り値 (配列)
    outputs('スクリプトの実行')?['body/result']
• ループ内のアクション：「ファイルの作成（SharePoint）」
  • サイトのアドレス： 対象の SharePoint サイト
  • フォルダー パス： 例 /Shared Documents/YAML
  • ファイル名：items('Apply_to_each')?['filename']
  • ファイル コンテンツ：items('Apply_to_each')?['content']