21
1

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

More than 3 years have passed since last update.

日本企業でGoogleのTGIFみたいな対話型イベントをやってる話

Last updated at Posted at 2020-11-30

この記事は NTTコミュニケーションズ Advent Calendar 2020 の1日目の記事です。

現在、弊社NTTコミュニケーションズでは KURUMAZA.exe と呼ばれる、経営層と社員が情報共有や課題解決にむけて直接対話をするイベントを行っています。

このイベントはGoogleが行っているTGIFを参考に実施しており、このようなイベントを行っているまたは、これから行いたいと思っている方に向けて、今回はスタッフの一人としてその話をしたいと思います。(※会社の公式な記事ではないです)

KURUMAZA.exe とは

冒頭に述べたとおり、現在弊社では、Googleが行っているTGIFというイベントを参考に、経営層が社員の前に出て現在の経営状況を語ったり、社員からの質問や提案に答えたり議論をすることで、経営層と現場社員の間で情報共有や課題解決につなげるイベントを行っており、それを "KURUMAZA.exe" と名付けています。

コロナ以前は経営層と社員(オフラインで110人+オンラインで240人)が一堂に会し実施をしていましたが、現在はオンラインで開催しており、230人が参加し、参加できなかった人も後日ビデオなどで視聴をしています。

KURUMAZAは "車座" に由来しており、経営層も社員も輪になって話せたらというところから来ています。また ".exe" の部分には、経営層の "Exective" という意味と、実行するという意味の "Execution" が由来になってます。

つまり、経営層や社員が話し合い、その結果を行動に移していければという思いからこの名前になりました。

TGIFとは

TGIFは "Thank God It's Friday" の略です

勤務や学校の一週間の最終日・金曜日を迎えた事を神に感謝する表現
出典: TGIF - Wikipedia

ただ、今回の話に出るTGIFは神様への感謝ではなく、Googleが行っている全社ミーティングです。

参考:グーグルCEOは社員6万人の声を聞いている

GoogleはTGIFと呼ばれる全社ミーティングを毎週のように行っており(去年ぐらいから毎週ではなくなったと言うような情報もあります)、経営層が社員の前に出て現在の経営状況を語ったり、社員からの質問に答えるなどをするイベントだそうです。

何でやろうと思ったのか

なぜGoogleのようなTGIFをやろうかと思ったかと言われると、
「経営層と現場との距離が遠すぎて互いの問題が共有できていない」 と感じたからです。

私は NTT Tech Conference というNTTグループのエンジニアが発表するイベントや、NTTグループ内に閉じたイベントを開催していることもあり、何度か経営層の方にイベントの説明やお話をする機会がありました。(私がやってるイベントについては今年のJuly Tech Festa 2020「組織/企業/グループを超えたエンジニアのつながりを広げるイベントをしている話」というタイトルで話をしているので興味があればご覧ください)

話をする前は「イベントの説明と現場の課題解決に協力をしてもらえたらな〜」ぐらいに思っていたのですが、実際に何人かの経営層の方とお話をさせてもらう中で、現場の課題を伝えると「え、何でそんな事になってるの?」と驚かれたり、中には現場からの情報が正しく上がってこないことを悩んでいる方もいました。

完全にコレ!

スクリーンショット 2020-11-27 17.59.16.png

その結果、正しい情報が伝わらないことで経営層の判断がおかしなことになり、現場にはおかしな指示が降りてきたり、また、何気ない発言が伝言ゲームの中でおかしな指示になっていたりしているんだなと感じました。

スクリーンショット 2020-11-27 17.59.27.png

つまり、中間層で話がネジ曲がるというのであれば、現場と幹部の間で情報共有や問題の共有ができればこの問題は解決できるのではと思い、いろいろ調べたり、他社がどうやっているのかを会社を辞めた知り合いたちに聞いてみたところ、GoogleのTGIFを紹介されました。

参考:経営陣と現場の距離は、社員規模に比例しない | Coral Capital

どうやってやったのか

最初はグループ内のイベントで知り合った、社内改善を実施している部署の方にお願いをして企画をしてもらいました。

ただ、途中からどうも経営層に話が行く前の段階の方々から難色を示され、話が進んでいないということを聞かされ、 「そういうことをどうにかしたいと思ってるのに!」 と頭にきたので、当時の経営企画部長のところへフラッと足を運び、世間話をしつつ

「GoogleがやっているTGIFのような、経営層と社員が対話をするイベントをやりたいのですが」

とお願いをしたところ快く引き受けてくれました。

当時の経営企画部長にはNTT Tech Conference #2でご登壇をいただいた関係で、その後のイベント開催のあとにもお話などをさせてもらっていたのがうまく活きました。

その結果を持って、最初に企画をお願いしていた方々に話を進めてもらい、イベントを手伝ってくれる人たちに協力をお願いしました。

例えば、経営層と社員の間から信頼されており、中立な話ができる人に司会をお願いをしたり、リモートからもイベントに参加できるよう、当日のイベントを配信できるようにするのが得意な人にお願いするなど、様々な人の力を借りてイベントの開催につなげました。

イベントで利用しているサービス

KURUMAZA.exe ではイベントを円滑にすすめるために以下のサービスを利用しています。

Slido

参加者からの質問や提案を受け付けるために Slido を利用しています。

最初、チャットでの質問受付なども考えたのですが、チャットは質問が流れてしまうことや、どの話を拾うか決めるのが難しいこともありSlidoを使うことにしました。

Slido では参加者から投稿された質問や提案に対して他の参加者から投票が可能なため、参加者の中で「この話が聞きたい」というものが上位にあがってきます。(逆に聞きたくないという Downvotes も試したこともありますが治安が悪かったので止めました)

まだSlidoのLive Pollingの機能などをうまく使えていないのですが、こうした機能を使いながら円滑な質疑を目指しています。

Google Forms

事前の経営層に話をしてもらうテーマを決める際や、事後のイベントに対するアンケートにはGoogle Formsを利用しています。
コレを選んだ理由は普段から使っているからというだけなので使い慣れたツールがあればそれを使えばいいと思います。

ただ、現在事後アンケートは参加者の1/3ぐらいにしか答えてもらっていないので、アンケートのやり方、ひいてはツールについても見直しが必要だなと思っています。

SkyWayベースのライブ配信技術 / Microsoft Teams

イベントの放送や録画には SkyWayをベースにしたライブ配信技術やMicrosoft Teamsを使っています。

前者は弊社で開発している SkyWay の技術を活用した超低遅延ライブ配信技術で、1秒以内の遅延で視聴者まで映像を届けることができます。イベントでは動画の配信と録画などの協力をしてもらっています。

後者は社内で現在よく使われている会議サービスであり、普段から使い慣れていることもあり特にフルオンラインになってからはイベントの会場として利用しています。

当日までの流れ

イベント当日までにやることは調整ごとや、いかに参加者に興味を持って参加してもらえるかなど以下の通りです。

  • 登壇してもらう経営層へのイベントの説明とスケジュールを押さえる
  • 社内への周知に加えアンケートで当日話をしてもらいたいテーマを募集&投票
  • アンケート結果を登壇してもらう経営層に連絡
  • 登壇してもらう経営層と当日の流れを確認する事前打ち合わせ

イベントは経営層と社員の対話が目的のため、部署のキックオフのような、経営層が事業計画や昨年度の振り返りを喋るのではなく、社員が気になっていることにフォーカスをしてもらえるよう、事前に話をしてもらうテーマを社員側からリクエストする形を取りました。

また、3回目はフルオンラインでの開催になったため経営層と社員代表のパネルディスカッション形式を取り、そのために登壇される経営層の方と事前に打ち合わせをして当日の流れの確認などをしました(当日なんとなく来そうな質問は回答をスムーズにするため共有したりしましたが、ヤラセの準備はしてませんw)

当日の流れ

当日は以下のような設営からはじめ、イベント本編、撤収の流れになります。

  • 設営(椅子の配置やカメラなどの設置)
  • イベントの概要説明(5分程度)
  • 経営層から事業計画や社員リクエストのテーマについて説明(15分程度x2)
  • Slido を使った議論やQ&A(60分程度)
  • 参加者アンケートのお願い
  • 撤収

イベントは1時間半ほどの時間で開催しますが、1&2回目は設営や撤収の作業がありましたが、3回目からはフルリモートでの開催となったので、設営がなくなり非常に楽になりました。

当日の議論や対話のテーマにはSlidoを利用し、POSTされたテーマに :thumbsup: が多くついたものを司会が拾い上げ、それについて経営層から回答をしてもらうという方式を通りました。回答が終わったものはアーカイブして、次に上に来たテーマをまた拾い上げるという形で回していきましたが、全てのテーマは拾いきれないので、そちらへの回答は後日にしています。

後日の流れ

イベント終了後も以下のような登壇した経営層への追加の依頼や社員向けの情報発信、スタッフ内での振り返りなどを行っています。

  • 参加者アンケートの集計
  • 当日Slidoから拾いきれなかったテーマを登壇した経営層に共有し回答を依頼
  • アンケート結果、質問への回答、動画をあわせて社内報に掲載
  • スタッフの振り返り

当日拾いきれなかったテーマに文章での回答を経営層(とその下の人たち)からもらいますが、当日拾えなかったテーマの数が多く、いくつかの質問にたいしてまとめての回答になっていますが、質問はすべて目を通してもらっています(多分)。

スタッフはSlackなどで開催後の振り返りを行い、KPT的によかったことや悪かったこと、次の開催はどういう改善をするかなどを話し合います。

例えば、1回目を終えたあとに「登壇者の回答にリアルタイムでフィードバックがしたいがSlidoにその機能がない」という話が出た結果、「Slidoクローンを作るか?」という方向になりました。

最終的にはひとまずMVP(Minimum Viable Product)で検証してみようということになり、SmartHRさんの取り組みを参考にさせていただき、「理解」と「もう一声」とかかれたうちわを作りました。(それを2回目に投入したら「もう一声」を上げると「何が分からなかったかお聞かせください」と質問されると警戒した人たちが「理解」を上げるようになり、また考え直すはめになりましたw)

やってどうなったか

現在は3回のイベントを実施しており、私個人 としての良かったことや課題などを下に挙げておきます。

良かった点

1. 経営層に現場の状況や声が伝わる

もともと現場と経営層の間で情報や課題の共有ができることを目的にして始めましたが、経営層側に直接質問やコメントできる場として一応機能していると感じています。実際、登壇していただいた経営層の方からも「現場がどういった悩みや不安を抱えているのかを知ることができた」という話もいただき、ひとまずの目標は達成できたのかなと思っています。

2. 経営層の悩みが社員にわかりやすく伝わる

先にも述べていたのですが、経営層の方も悩んでいることがあるものの社員に伝わっていないという感じがあったので、登壇される経営層の方に現状の事業状況や課題を説明してもらう際に、経営層の方が感じている問題や課題をなるべくお話いただけるようにお願いしていました。

実際に、イベントの序盤に事業計画などの説明の中で課題や悩みを語ってもらうことで、社員側に経営課題がより具体的に伝わったり、経営層の悩みを知ることで社員がもつ経営層のイメージに少し変化があったと感じました。

3. 現場の課題に対してアクションが生まれる

今の所、毎回とは行かないのですが、議論の中から解決へのアクションが生まれることもあります。

「メールや問い合わせ窓口から社内システムやセキュリティに対して質問を投げても対応がされているのか不明で困っている」という話があり、この件について議論が行われる中でクイックレスポンスが可能な場として、現在はYammer上に質問を投げる場ができ、飛んできた質問に対し担当部署や、有志の社員から回答が得られる様になっています。

課題

1. 登壇する経営層の心理的安全性が低い

これを経営層の方から言われたときはイベント主催側としてはかなり辛かったですw

色々理由はあると思うのですが、録画やメモ書きされている場で社員の不満などに対して正しく回答しなければいけないというのが一番大きいのかなと思っています。また、現状だと登壇される経営層が2名に対し、社員は200名以上が参加する形になっているので場合によっては 2対200以上 という状況になりかねないプレッシャーなどもあり、このあたりはスタッフも見直しを図っており、先日の3回目では質問はSlidoそのままにして、質疑は経営層と社員代表数名によるパネルディスカッション形式にしてみることで様子を見たりしています。

2. 経営層にアクションしてもらうところまでなかなか持っていけない

上の良かったことの3番目の反対で毎回課題解決につなげられていないということを反省中です。。。

「このイベントは社員のガス抜き」と言われないためにもなるべく課題に対するアクションまで持っていきたいと思っているのですが、ディスカッションが盛り上がり長引くと解決のアクションまで持っていけないこともあり、こちらもやり方を見直し中です。。。

3. 経営層と社員の質疑

質疑の時間はSlidoで拾われた質問に経営層から回答をいただくのですが、時々ふんわりしたフワッフワの回答があります。オフラインでやっていたときなどはそうしたフワフワの回答に対して社員側が納得していないという雰囲気を出すものの追加の質問をしない事が多くありましたので、空気を読んで(ある意味読まず)私が更問するなどを行っていました。

社員も経営層のどっちも一歩踏み込めないというのが今の状況かなとも思うのですが、こうしたところを改善できていければ思っています(上に書いたように2回目にうちわを導入してうまくいかなかったり)

挑戦したいこと

1. イベントの終わりに課題へのアクションが合意できている

課題2についてこの記事を書きながらどうしたらいいかなーと考えていたのですが、予めイベントのタイムテーブルに、アクションを決める時間を作れないかなーと思いました。
まだスタッフのSlackに投げ込んだだけで議論も何もできていないのですが、何らかの形でイベントの終わりに課題へのアクションが合意できているようにしたいと思っています。

2. 頻度上げる

現在、イベントは四半期ごとぐらいに開催しているのですが、これをもう少し短いスパンでやれないかと常々思っています。流石にGoogleのTGIFみたいに毎週は無理だとしても四半期を隔月や毎月レベルにまでやっていけないかと現在思案中です。

終わりに

本記事ではNTTコミュニケーションズで開催している、経営層と社員が対話をする KURUMAZA.exe について、その背景や開催までの流れ、実際にやって良かったことや課題などをお話させていただきました。

まだまだ我々も手探りのイベントではありますが、もしこの記事を見て自分の会社でもやってみたい・やってみようと思っていただければ幸いです。

また、疑問や質問などがあればコメントなどでお気軽にお尋ねいただければと思います。

それでは、NTTコミュニケーションズ Advent Calendar 2020 の1日目の記事はここまでとさせていただきます。

明日は @mshim03 さんの 「Threat Intelligenceの活用を促進するMISPの紹介」 です。お楽しみに!

21
1
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
21
1

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?