この記事を書いた目的
教育現場では自校や他校との間で情報科担当先生の授業方針や計画が全く共有されていないので、結果的にクラスごとに全く違う内容を教えていたり、本来教えるべき内容を教えなかったりする認識の違いが発生した。この記事を通して情報科の意義を再確認したうえで適切な教育を行いたいと考えた。
(このような事態に陥っているのは私の学校だけなのかもしれない。)
参考教材
萩谷昌己 実教出版 最新情報Ⅰ (文部科学省検定済教科書)
学習指導要領から考える情報科の目的
情報科の目的は以下の3つ
1.情報活用能力の育成
2.プログラミング的思考の育成
3.情報社会の倫理観と責任感の育成
情報活用能力の育成
・必要な力を取集・整理・分析し、目的に応じて効果的に活用する力(情報リテラシー)。
・データの分析や問題解決における論理的思考力(データサイエンス的思考)。
・情報モラルやセキュリティ意識を持ち、責任ある情報社会の一員として行動する力。
プログラミング的思考の育成
・課題を分解し、アルゴリズムとして具体化する能力(論理的思考力)。
・プログラミングを使って問題を解決する想像力と実行力。
・プログラムの動作や構造を理解し、他者と協力して開発する協働力。
情報社会の倫理観と責任感の育成
・情報技術が社会や生活に与える影響を多面的に理解する力。
・情報倫理を守り、責任をもって情報を活用する力。
・持続可能な社会の実現に向けて、情報技術を活用する責任感。
課題点
生徒から見た学習上の課題
・得にくい学びの実感
→学んだものがどう社会で使われているのかわからない・想像できない。
・スキル差の拡大
→学校では最低限度の知識や技能、人間性を育成する。
・抽象概念の難しさ
→アルゴリズムやネットワークの難解さ。
教員から見た指導上の課題
・教科の新しさ
→受験勉強にも一定程度の影響。
・設備と時間の不足
→情報科=つまらない、役に立たない だけは避けたい。
・指導力の二極化
→どのあたりまでを学ばせるべきかの下限を定義する。
今後の指導方針
1.実践・段階を踏んだ学びの提供
→実務で用いられている問題解決のプロセスやプロジェクトを使うことで生徒の興味を引き出す。
2.教師間のスキル向上と協働体制の構築
→現実的な開発手法を用いて業務の効率化を目指す。
3.環境整備とICT機器の活用
→授業環境に適したICT機器やソフトウェアを整備
→システム開発の例を挙げ生徒の興味を引き付ける。
最後に
私も2024年に教育実習で母校に訪れたことがあるが、情報Ⅰという未知数の科目に対して生徒・教員は非常に困惑していた。2025年の共通テストにも導入される情報Ⅰ。副教科だから数学免許のついでに情報免許を与えようという短絡的な考えではいけないだろう。専門性の高い教員や講師の採用が急務となっているのは間違いない。