概要
ここ数年で Windows/ubuntu環境(WSL)を容易に使えるようになりましたが、最近、組込み向けマイコンシミュレータ環境(athrill)もPC上で簡単に構築できるようになったようです。
そこで、WSLを使ってathrill(アスリル)環境を簡単に使えるようにできたので、ご紹介します!
必要なもの
- WSL (ubuntu 16.04)
- VS Code
- Athrill本体
- V850 クロスコンパイラ
1. 各種ダウンロード
WSLのインストール
- [プログラムと機能]から[windowsの機能の有効化または無効化]を開き[Windows Subsystem for Linux]にチェック。再起動。
- Microsoft storeから「Ubuntu」で検索し、Ubuntu 16.04インストール。
VS Codeのインストール
以下からダウンロード
Athrillのダウンロード
ここの手順はWSL上で行う。
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cd /mnt/c/
でWSL上からCドライブ直下に移動する。 -
mkdir project
projectフォルダを作成。 - Athrillをprojectフォルダにクローンする。
$ cd ~/project
$ git clone https://github.com/tmori/athrill.git
V850クロスコンパイラのダウンロード
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https://gcc-renesas.com/ja/v850/v850-download-toolchains/ のインストール
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GNUV850 v14.01 Windows Toolchain (ELF)を選択。
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アカウントの作成が必須となります。
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インストーラーの途中で求められる"Activate Code"は公式サイト左上からアクセスできるレガシーコードを使用すること。
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2. 環境設定
WSL側の手順
1. dash → bashに変更
$ ls -l /bin/sh
で dashが表示される場合、以下のコマンドでbashに変更する。
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$ sudo dpkg-reconfigure dash
→NOを選択。
参考:
2. Athrillフォルダへのショートカットリンクを作成
$ ln -s /mnt/c/project/athrill ~/athrill
3. Athrillのbinのパスを通す
.bashrc末尾に以下を追加する。
export PATH=/mnt/c/project/athrill/bin/linux/:${PATH}
export PATH=${HOME}/bin/:${PATH}
V850クロスコンパイラ
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空白文字を含むフォルダを避けるため、Windows上から
C:/Program Files(x86)/KPIT
をC:/KPIT
に移動。
===以下WSL上で作業=== -
$ mkdir ~/bin
でbinフォルダを作成。 -
binフォルダ内に
get_cmd.sh
を以下の内容で作成。#!/bin/sh echo "${1}" | awk -F\.exe '{print $1}' | awk -F\/ '{print $NF}'
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$ ls /mnt/c/KPIT/GNUV850v14.01-ELF/v850-elf/bin/*.exe > list.txt
でテキストに書き出す。 -
binファイル内で以下のコマンドを実行することで、シンボリックリンクを作成する。
$ for i in `cat list.txt`; do ln -s $i `sh get_cmd.sh $i`; done
VSCodeの設定
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起動し、左下歯車マーク→Settingから設定画面を開き、上部検索欄に「terminal.integrated.shell.windows」と入力。
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パスに以下を設定する。
C:\\WINDOWS\\System32\\bash.exe
(以下、直接ユーザ設定ファイルを編集する場合のサンプル)
{
"team.showWelcomeMessage": false,
"terminal.integrated.shell.windows": "C:\\WINDOWS\\System32\\bash.exe",
"terminal.integrated.rendererType": "dom",
"git.ignoreMissingGitWarning": true,
"window.zoomLevel": 5,
}
Makeする
$ sudo apt update
$ sudo apt install make gcc
$ cd /athrill/trunk/src/build/target/linux_v850e2m
$ make clean
$ make
動作確認
athrill2をオプションなしで実行し、以下のような表示がでればインストールの完了です。良いAthrillライフを!
$ athrill2
Usage:athrill -m <memory config file> [OPTION]... <load_file>
-i : execute on the interaction mode. if -i is not set, execute on the background mode.
-r : execute on the remote mode. this option is valid on the interaction mode.
-t<timeout> : set program end time using <timeout> clocks. this option is valid on the background mode.
-m<memory config file> : set athrill memory configuration. rom, ram region is configured on your system.
-d<device config file> : set device parameter.