1.背景 ―― なぜ今さら “メール連携” なのか?
弊所では
- 契約書の締結(ベクターサインなど)
- 発注・請書の発行(Misocaなど)
をSalesforce外のSaaSで運用しつつ、
案件管理・売上予測はSalesforceの商談で行っています。
課題の整理
やりたいこと | 障壁 |
---|---|
契約完了通知が届いた瞬間に商談ステージを更新したい | AppExchange製品は高価/API開発はリソース不足 |
通知メールも証跡として残したい | メールを手動でコピー&ペーストは手間 |
そこで着目したのが、Salesforce標準「メールtoSalesforce」。
本文または件名に ref:{18桁レコードId}
を書くだけで、メール内容が対象レコードへ自動紐づけされます。
(公式ヘルプ→https://help.salesforce.com/s/articleView?id=sf.email_my_email_2_sfdc.htm&language=ja&type=5)
2. 全体アーキテクチャ
2. 実装ステップ
2-1. 事前設定(初回のみ)
手順 | 作業 | 詳細 |
---|---|---|
1 | メール to Salesforceアドレス取得 | 個人設定 → メール → 私の メール to Salesforce |
2 | 許可ドメイン登録 | Googleの転送確認通知用アドレス(noreply@google.com )及び通知元 (system@contractsaaS.co.jp 等) を “私の受け入れ可能メールアドレス” に追加 |
3 | Gmailフィルタ転送 |
from:system@contractsaaS.co.jp subject:"契約完了" → Mail to Salesforce アドレスへ自動転送 |
2-2. SaaS側メールの完成イメージ
件名: 【契約完了】◯◯社_□□ref:006ABCDEF123456789案件
本文:
ご契約ありがとうございます。
契約管理や注文管理のSaaSでは完了時にメール通知する機能がついていることが多いです。
案件名等を登録する際に末尾にSalesforceのレコードIdをref:006ABCDEF123456789
の形式で入れておけば仕込みは完了です。
2-3. Salesforce フロー(完全ノーコード)
-
オブジェクト :
Task
- 開始条件 : 新規 Task 作成時 & 件名に「契約完了」などを含む
-
Get Records :
Task.WhatId
でOpportunity
を取得 -
Update Records :
StageName = 'Closed Won'
(またはCommit
など任意)
安全策 : Decision ノード で「すでに
Closed Won
ならスキップ」などのガードを入れると安心です。
3. メリット早見表
観点 | メリット |
---|---|
完全ノーコード | Gmail フィルタ + Flow だけ |
導入スピード | 最短 30 分・追加費用ゼロ |
証跡管理 | 通知メール全文・添付を Task に保存 |
セキュリティ | API 連携なし。許可アドレス制御でスパム耐性◎ |
4. 実践 Tips
Tip | 概要 |
---|---|
添付ファイル活用 | 契約PDFが Task 経由で商談 「ファイル」 タブに表示 |
ダッシュボード化 | Task レポートで “月次契約完了数” を KPI 可視化 |
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5. まとめ
- 本文/件名に
ref:{18 桁 ID}
を書くだけ - Gmail で Mail to Salesforce 宛に転送すれば Task → 商談 が自動で紐づき、ステージも更新
- 開発・追加コスト ゼロ
まずはサンドボックスで 1 通送信し、Task に Opportunity が紐づくことを確認してみてください。