非同期処理がデータの整合性に与える影響は、使用する非同期メカニズムや設計によって異なります。適切に実装すれば、非同期処理でもデータの整合性を保つことができますが、特定のケースでは注意が必要です。
非同期処理によるデータの整合性への影響
## 1. レコードの競合と整合性
- 説明: 非同期処理では、複数の非同期ジョブが同時に同じデータにアクセスしたり、更新を試みたりする場合があります。これにより、競合が発生し、データの整合性が損なわれる可能性があります。
- 対策:
- 楽観的ロック: SalesforceのSystem.LockException
を活用し、競合が発生した場合にリトライを行う。
- 外部トランザクション管理: 競合しやすい操作をキューに入れて順番に処理するなどの管理方法を導入する。
- 重複防止の設計: 一意のキーやデータ検証ルールを使用して、意図しない重複データの作成を防ぐ。
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処理の順序
- 説明: 非同期処理では、処理が完了する順序が予測できないため、依存する処理がある場合、後続の処理が正しく動作しないことがあります。
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対策:
- キューアブルApexのチェーン: キューアブルApexを使うと、非同期処理をチェーンで実行できるため、処理の順序を制御できます。
- 状態管理: 各処理の状態を追跡し、前提条件が満たされるまで次のステップを遅らせる。
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トランザクションの分割
- 説明: 非同期処理は別のトランザクションとして実行されるため、前のトランザクションが成功しても、非同期処理が失敗する可能性があります。これにより、データが部分的にしか更新されない状況が発生することがあります。
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対策:
- 非同期処理のリトライ: 非同期処理の失敗を検出し、リトライの仕組みを実装する。
- エラーロギングと通知: 非同期処理でエラーが発生した場合、そのエラーをロギングし、適切な通知を行うことで、データ不整合を検出しやすくする。
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データの参照整合性
- 説明: 非同期処理が異なるsObjectを同時に更新しようとする場合、参照整合性が保たれないことがあります。例えば、親レコードの削除と子レコードの更新が競合するケースです。
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対策:
- トランザクションの順序を管理: 子レコードの処理が完了した後に親レコードを削除するなど、処理の順序を慎重に設計する。
- 依存関係の整理: データモデルの設計時に依存関係を整理し、非同期処理によって不整合が生じないようにする。
まとめ
非同期処理自体はデータの整合性に影響を与える可能性がありますが、適切に設計と実装を行うことで、その影響を最小限に抑えることが可能です。非同期処理を導入する際には、競合や処理順序、トランザクション管理に注意を払い、データの整合性が保たれるように設計することが重要です。