データ分析プロジェクトの大まかな流れについて 〜ウォーターフォールモデルとの対比〜
システム開発でよく用いられる「ウォーターフォールモデル」は、要件定義、設計、実装、テスト、運用といったフェーズを順に進める手法があります。この手法はプロジェクトの進行が直線的で、各フェーズが一度完了すると前のフェーズには戻りにくいという特徴を持っています。
一方、データ分析プロジェクトの流れは、ウォーターフォールモデルと似た側面もありますが、より探索的で反復的なアプローチが求められます。ここでは、データ分析プロジェクトの一般的なフレームワークとして用いられるPPDACサイクルを基に、その流れをウォーターフォールモデルと比較しながら説明します。
1. Problem(課題設定)/ 立ち上げと管理
データ分析プロジェクトの第一ステップは、解決したい問題や目標を明確にする「課題設定」です。これは、ウォーターフォールモデルにおける「要件定義」に相当します。システム開発と同様に、このフェーズが不十分であるとプロジェクト全体に影響を及ぼすため、慎重に進める必要があります。
ただし、データ分析の課題は、分析が進む中で新たな発見や洞察が生まれ、当初の課題が修正されることも多いです。したがって、ウォーターフォールモデルのように一度決まった要件から動かないのではなく、柔軟な見直しが許容される点が異なります。
2. Plan(計画) / データ種類と分析手法の検討
次に、データ収集の方法や分析手法を計画します。これはシステム開発における「設計」に似ています。プロジェクトのスコープ、必要なリソース、データの入手可能性などを考慮しながら、具体的な進行方法を定めます。
ウォーターフォールモデルでは設計が詳細かつ固定的であるのに対し、データ分析プロジェクトでは、計画フェーズも再考が可能です。たとえば、想定していたデータが不足していたり、より有効な手法が見つかった場合、計画を変更して柔軟に対応します。
3. Data(データ収集)
計画に基づいて、データを収集し、整理します。ウォーターフォールモデルの「実装」に相当しますが、ここではプログラムを書くのではなく、必要なデータを収集して準備する工程に重きを置きます。
データ分析では、収集データの質や量がプロジェクトの成否を大きく左右するため、このステップは特に重要です。システム開発と異なり、収集したデータの整合性や品質が低い場合、次のステップに進む前に問題解決を行う必要があり、反復作業が多く発生します。
企業で扱われるデータは大きく分けると、SCMやERP、CRMなどの業務ソフトウェアのデータベースで利用される「構造化データ」と、従業員の日常業務やユーザーへのアンケートで生成されるワード、PDFエクセルや、設計図面、画像、動画などの「非構造化データ」に分けられます。
4. Analysis(分析)/ 分析結果の評価と改善
分析作業は、ウォーターフォールモデルの「テスト」に相当します。ここでは、収集したデータを使って仮説を検証したり、モデルを使って予測やパターン認識を行います。このステップは探索的な要素が強く、ウォーターフォールモデルのように計画通りに進まないことも多いです。
新しい知見が得られた場合は、課題やデータ収集のステップに戻り、計画の修正や追加のデータ収集が行われることもあります。この点で、データ分析はウォーターフォールモデルと比べて非常に反復的であり、柔軟なサイクルを持つのが特徴です。
5. Conclusion(結論)/ レポーティングとBI
分析結果が出たら、結論をまとめ、成果を共有します。ウォーターフォールモデルでは「運用」にあたりますが、データ分析では結果が終わりではありません。実際のビジネスへの適用やフィードバックを基に、さらに分析を深めたり、新たな分析プロジェクトがスタートすることもあります。
まとめ
つまり整理すると
-「Problem:課題設定」
-「Plan:分析計画」
-「Data:データ収集」
-「Analysis:分析」
-「Conclusion:結論を出す」
の大まかな流れがあることがわかります。