KDE Goals 2024 の候補について
そもそも KDE Goals とは
KDE Goals とは、KDE の今後2年間の開発や活動方針を決めるという内容です。
すでに多くのアイデアが出ており、現在選ばれている10個の中から、コミュニティーの投票によって最終的には3個のプロジェクトに絞り込みます。投票権は KDE の活動のをある程度行っている人にあるようです。(私は KDE e.V. の副リーダー: Lydia Pintscher さんからメールをいただき、投票できるということを知りました)
投票の結果は [Akademy 2024](- https://akademy.kde.org/2024/) にて発表されます。
10個のアイデア
それぞれの気になった点の概略となっています。一部解釈が誤っている可能性があるので、その際はコメント欄に記載していただけると幸いです。
Sandbox all the things!
<開発系> <アプリケーション>
概要
セキュリティーの向上のため、すべてのアプリケーションをサンドボックス化する。
We care about your Input
<開発系> <入力>
概要
文字入力、音声入力、タブレットなどの入力を強化する。
Plasma - A Beacon for Open Design
<デザイン系> <アプリケーション>
概要
デザインシステムの刷新。現在の HIG (Human Interface Guidelines) を進歩させる。
方法
- ビジュアル言語の作成
- コンポーネントの作成
ボタンやグリッドなど - レイアウトガイドラインの作成
- 資料デザインシステム
- フィードバックと改善
KDE Needs You! 🫵 - Formalise and boost KDE's processes for recruiting active contributors
<人材確保> <コミュニティー>
概要
KDE コミュニティーの活発的な貢献者を増やす。
現状
KDE のメインプロジェクトの常勤の開発者はおおよそ以下の通りである。
- Plasma (8-10人)
- Kdenlive (2人)
- GCompris (2人)
- Krita (だいたい7人)
かなり少ない人数で運営を行っており、他のプロジェクトでも人材が不足している。
方法
- 現在のコミュニティーを活用し、より積極的に採用活動を行う
- KDE 内に常設した採用チームを作り、有給の契約社員として管理を行う
- 学術機関とともに開発を進める
休暇中の学校や大学のインターンシップとして。また、いくつかのイベントの教師や教授からの課題として。 - 関連企業とともに開発する
FLOSS プロジェクトに関係する企業である MBition, KDAB, SUSE, Qt など。 - メンタリングの方法をより効率的で自立したものに変更する
- 強化した採用チームからメンタリングを行う
- 開発者同士でメンタリングを行う
- 外部組織から
- 指導者に対する指導を受ける人の人数を増やす
目標
以下のプロジェクトの一般的な貢献者の人数を2年間で50%増加させる。
- Plasma
- Kdenlive
- GCompris
- Krita
- KDE Connect
Freedom through Better Data and Workflow Organization and Management
<開発系> <運用>
概要
エコシステム全体でユーザーのデータやアプリケーションの利用に関して相互運用性を向上させること。
- KDE Plasma のアクティビティーログ、ビジュアルデスクトップ、タイルなどを編集する
- KConfig, Kiosk のような KDE ライブラリやフレームワークの向上
- UI や検索の向上
- KDE アプリのコンポーネントの向上
(文量が多く、内容が難しかったため、最終的な目標がよくわかりませんでした…)
KDE-based Text Snippet Expansion
<開発系> <入力>
概要
KDE 独自の Text Snippet 拡張を開発する。
Text Snippet とは?
規定されている略語を入力すると、全文が表示できるエディターの拡張機能です。
例)
-
kdedev
=>the folks on the KDE Development team
-
$isotime
=>2024-06-12T19:00:48.840326659-07:00
-
;sch
=>/ə/
現在
現在は、Espanso が存在するが、Wayland サポートが非常に弱いため、利用し難い。
(X11 の Plasma 5 では Espanso で問題はないが、Wayland が標準となった Plasma 6 では困るため、開発を行う必要があるという内容)
関連
Streamlined Application Development Experience
<開発系> <アプリケーション>
概要
アプリケーション開発を合理化することにより、ファーストパーティーとサードパーティーの両方のユーザーのアプリケーション体験を向上する。
コミュニティー
今までどおり、ユーザーの意見を取り入れて改善を繰り返していく必要がある。
- 継続的なレビューや機能向上の文化を作る
- Q&A やバグについてコミュニティーで会話
また、KDE 傘下外で KDE 関連のアプリケーション開発をする方法や、それを KDE とうまく統合する方法についても検討していく。
Unify the Plasma experience
<開発系> <デスクトップ環境>
概要
ディストリビューションごとに KDE Plasma のデフォルト設定を変更しなくて良いようにする。
変更
現在、それぞれのディストリビューションが異なるテーマを利用しており、パネルレイアウトやアイコンが変更されている。これにより、ユーザー体験が分断されていると考える。
例) Fedora では Breeze Light テーマが上書きされているため、テーマの変更を行ってもパネルが白にならない。
方法
KDE 側でガイドを作成、ディストリビューションの開発者と協力するなどし、この問題を解決する。
Enhancing control and automation: integrate KDE Plasma (and apps) with Smart Home Ecosystems
<デスクトップ環境>
概要
KDE Plasma やアプリケーションの強化により、ホームアシスタントやスマートホームプラットフォームとのシームレスな統合を提供する。また AI システムを音声制御などに活用する。
計画
- KDE Connect のサポートを拡張
- KDE Plasma との公式なホームアシスタントの統合
- プロモーション
など
Refining and Enriching KDE: Empowering Users with Convenient and Intuitive Features
<デスクトップ環境> <入力>
概要
ユーザー体験の向上。
関連リンク
など
感想
基本的に開発関係が多いですね。翻訳関連はそもそも Issue を作成する人がいないのかもしれません。(Discuss 内での応募ではなく、Phabricator なので)
個人的には KDE Needs You! 🫵 - Formalise and boost KDE's processes for recruiting active contributors がかなり気になっています。学生開発者の存在は、双方にとっても嬉しいことだと思います。(学生は開発経験を積めるし、KDE は人手不足を補えるため) また、大学で科学専攻の人に Labplot などのアプリケーションが広まるかもしれませんね!
これらの計画により、KDE 全体でかなりの進歩が望めそうです。今後も KDE に栄光あれ!