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LinuxAdvent Calendar 2024

Day 4

KDE のアプリケーションを翻訳しよう! on Linux

Last updated at Posted at 2024-12-03

Linux Advent Calendar 2024 4日目の記事です。

前作

1年半ほど前にも同様の記事を作成しました。

前作では Windows 環境を前提に記事を記載していましたが、本作では Linux であることを前提として記載しています。

翻訳作業

目次

  1. 翻訳する対象を決める
  2. 翻訳データの入手 (SVN を使用)
  3. 翻訳アプリケーションを設定 (今回の説明では Lokalize を使用)
  4. 翻訳を開始
  5. 提出

翻訳する対象を決める

本記事のタイトルは"アプリケーション"としていますが、ウェブサイトや Plasma などのソフトウェアの翻訳も可能です。

特に決めていない場合は、基本ソフトウェア (Plasma 関連、KDE System Settings, Discover, Dolphin, Konsole など) や知名度の高いアプリケーション (Krita, Kdenlive, Labplot など) をおすすめします。また、下記の翻訳の進行度も参考になるでしょう。

SVN のインストール

KDE では、翻訳データの管理で SVN というバージョン管理システムが採用されています。

バージョン管理の状態を維持しながら、翻訳データをダウンロードするため、svn コマンドを利用するため、先にインストールしておきます。

# インストール
# Debian
sudo apt install subversion

翻訳データの入手

次は、翻訳データを実際にインストールします。

はじめに https://websvn.kde.org/trunk/l10n-support/ja/summit/messages/ にアクセスしてください。

Screenshot_20241127_152934.png

次に、翻訳対象のページを開きます。今回は例として Filelight のページを開きます。

Screenshot_20241127_153059.png

Filelight のページの上部に記載されている Anonymous SVN Url をコピーします。

ローカルで、次のコマンドを実行することで、翻訳データを入手できます。(翻訳データがダウンロードされるので、適当なディレクトリで実行してください)

svn co リンク
# 例:
# svn co svn://anonsvn.kde.org/home/kde/trunk/l10n-support/ja/summit/messages/filelight

翻訳データがダウンロードできているのが確認できます。

tree
# .
# └── filelight
#     ├── filelight._desktop_.po
#     ├── filelight.po
#     └── org.kde.filelight.appdata.po

(今回は翻訳対象 (Filelight) のみダウンロードしていますが、全部 (svn://anonsvn.kde.org/home/kde/trunk/l10n-support/ja/summit/messages) をダウンロードしても良いです)

翻訳ツールの設定

続いて、翻訳ツールの準備を行います。

今回は、KDE で一般的に利用されている Lokalize を紹介します。

(KDE では PO Summit という、gettext を拡張した仕様を利用しています。そのため、Lokalize 以外で翻訳する場合は翻訳 - 日本 KDE を参考にしてください)

Screenshot_20241127_154940.png

インストールは Discover から簡単にできます。他の方法でもインストール可能です。詳しくはこちら

ここからは Lokalize の設定について記載していきます。

Screenshot_20241127_155727.png

まずは、Lokalize を開き、"設定"から "Lokalize を設定"を開きます。

Screenshot_20241127_160033.png

私は"個人情報"の項目のみ設定しています。

上記のように

名前: <自分の名前>
メールアドレス: <自分のメールアドレス>
デフォルトの言語: 日本語 (ja)
デフォルトのメーリングリスト: kde-jp@kde.org
デフォルトの言語チーム: kde-jp
ローカライズされた名前: 日本 KDE

で大丈夫だと思います。他の設定は任意です。

(翻訳メモリやプロジェクトの設定は推奨されていますが、私自身使ったことがないので、今回の説明からは省きます)

翻訳作業

ついに、Lokalize でダウンロードした翻訳ファイルを開き、翻訳を行うことができます。

便利なショートカット

  • 次の Fuzzy か未翻訳メッセージ: PageDown
  • 次のメッセージ: PageDown
  • 前のメッセージ: PageUp

(Fuzzy: 昔翻訳されたが、その後原文が変更されたため、再度翻訳が必要なメッセージ)

提出

翻訳データの提出は、メールで行われています。

ZIP にアーカイブ、またはクラウドドライブを利用し、日本 KDE のメール (kde-jp@kde.org) 宛に翻訳データを送信してください。

(SVN の隠しファイルがあるので、ディレクトリごと ZIP にアーカイブしたほうがいいかもしれないです)

(過去のメールはアーカイブから閲覧できるので、他の人の提出方法を参考にできます)

議論と今後

SVN 廃止に関して (KDE 本部)

SVN は開発者にとっても翻訳者にとっても厄介なシステムの1つでした。これは、バージョン管理システムとしては Git が主流となった現在、SVN を使うのは時代遅れであると認識していたからです。

今まで、SVN から Git に移行することについて度々議論されてきましたが、ついに Akademy 2024 では、KDE/Plasma 7 まで SVN を継続できないという判断がなされました。(大串さんによる説明)

これにより、SVN から Git に移行することがようやく決定事項となったのです。(しかし、Plasma 6 がリリースしてまだ1年も立っていないですし、Plasma 5 と Plasma 6 の間が9年空いたため、結局数年間は変わらなさそうですが…)

翻訳方法変更の検討 (日本 KDE)

日本 KDE では度々 Web ベースでの翻訳について検討されています。

しかし、Web ベースはどうしてもレスポンスの悪さが目立つことや、本部が SVN を Git に移行してくれないと使えない (これに関しては、日本 KDE として対処できる範疇を超えているので厳しそうです) など、課題が多く、現時点では採用の予定はなさそうです。

最後に

KDE 流行らせたい♡

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