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医療経済学入門 第1章

Last updated at Posted at 2020-02-25

医療データに触れる機会が増加してきたため、医療業界の方々と少しでも会話ができるように、知見を蓄えるべきかと思い、
医療経済学講義 補訂版 橋本英樹・泉田信行 著のサマリを書きながら学習することにしました。
とはいっても密度が濃い本なので、データ解析に関連しそうなテーマに絞ります。

第1章

医療サービスの特徴

「経済学」の視点から医療サービスの特徴的な点を挙げる。
(前提として、経済学上の「公共財」の定義と照らし合わせると、医療サービス・財は「私的財」である)
1. 貯蔵できない
 ・ 生産と消費が同時に行われる性質
2. 人的資源へ依存することが多い
 ・ 人手が必要である。さらに専門性が高いため、短期的に見たら人的労働力はとても固定的。
3. 商品ラインが多い
 ・ コンビニのように商品の種類が多いことから、顧客情報や商品の一元/一括管理の必要性が大きい。その上、疾病ごとに要素・性質が異なる財を必要とされるといったことまで考慮すると、複雑なモデルを構築する必要があることに注意するべき。
4. 質の不均質性
 ・ 同一のサービスを提供しても同一の効用・結果が得られるとは限らない。
 ・「原因」
  1. 医療業界の技術や知識の限界
  2. 医療サービス提供側の質
  3. 患者要因(年齢、生活体系、併存病)によるリスクの異質性
5. 情報の非対称性
 ・ 患者(消費者)はサービスの質に関して、情報を十分に生かした意思決定をすることが難しい。情報のアクセス自体はインターネットのおかげで易化したが、専門知識を噛み砕くほどの知識や経験がない。 => 医師の判断に従ってしまう。 <= 医師の判断は、その医師個人の経験・知識のみならず、単独orチームと行った環境にも左右される。
6. 外部性の存在
 ・ ある人への医療サービスまたは害が、その人の周辺の福祉厚生に影響を与えるが、把握が困難なためか、効率的なサービスの価格決定ができず、この「外部性」は市場機能の働きを阻害する。

医療市場の特徴

外部性、情報の非対称性、制度による参入の障壁、サービスの質のばらつきなどが原因で、医療市場は不完全と言える。

感想

・モデルを構築する際は上記の特徴を考慮する必要性があることがわかった。市場は制度により不完全であり、また、個人の状況などによってサービスに対する効用が大きく異なりそうなため包括的なモデルを構築することはとても難しそうに感じる。

・患者の効用は、患者本人の要因だけではなく、医療サービス提供側からも影響されそう。
・「外部性の存在」から、商品の値段と「効用」の関係性の把握は難しくなりそう。

参考文献
医療経済学講義 補訂版 橋本英樹・泉田信行

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