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はじめに

59.94Hzを始めて知ったのは、NHKテレビジョン技術教科書だった。

白黒テレビ放送のこと

テレビ放送では、パラパラアニメのように1枚1枚の静止画像を高速に切り変えることで動画を表示している。かつてのテレビ受像機は、画像表示機としてブラウン管を採用していた。ブラウン管は電子ビームの当たった場所が当たった瞬間に明るく光ることで画像を表示する表示機でありブラウン管は電子ビームが当たった瞬間(と残光時間)しか光らないので、画面は常にチカチカしていた。このチカチカが1秒間に60回くらいになるとほとんどの人はちらつきに気がつかなくなる。そこで国内で放送が開始された白黒テレビでは画像の更新周波数(フレーム周波数 fH)に60Hzを採用した。(インターレース方式の説明は省略する)
また、音声信号を輝度(明るさ)信号と4.5MHz離して伝送していた。

NTSC方式のこと

その後、カラー放送が始まる。当時、同じ電波で既存の白黒テレビは白黒のまま映り、カラー放送に対応した受像機ではカラー放送が見られることを意図した画期的な放送方式がいくつか発表された。北米で開発され日本でも放送が始まったのが、NTSC方式である。白黒テレビ時代の受像設備(アンテナや受像機など)は全くいじらずにカラー化したこと、またアナログ技術だけで実現したその技術は今でもすごいなと思っている。

59.94Hzとはなにか?

当時のテレビ画像はブラウン管に表示されない分も含め、縦525本の走査線で構成されていた。これは白黒もカラーも変わらない。NTSCでは、隣り合う走査線上の色成分を市松状にずらすことにした。色成分は白黒テレビでは輝度の変化として表示されるが、市松配置とすることで平均化されて目立たなくなるという具合である。この色成分をきれいに抜き出すために、音声信号の周波数とフレーム周波数が整数倍の関係となるようにフレーム周波数を若干ずらすことにしたとのことである。(1000/1001倍)

fH = 60Hz×1000/1001=59.94005994...Hz
4.5MHz/fH = 525×143 → 整数倍

59.94Hzと60Hzの思い出

昔もっていたパソコン、PC-9801互換機のフレーム周波数は60Hzだった。このパソコンでメガCD用のとあるゲームのアニメーションを再生するプログラムを書いていた時、若干の違和感を感じた。口パクと音声が若干ずれるのである。この時、59.94Hzのことを思い出した。60Hzとの誤差はわずか0.1%と思いきや、計算してみると 16.67秒で1フレーム、2分間の動画で0.12秒ずれる計算になる。そこでシーチェンジの待ち時間に 60 : 59.94 の補正を入れることにした。このプログラムは高負荷時の描画間引きも行っており、時間補正の追加により口パクやシーンリンクをより向上させることができた。

おわりに

いろいろと懐かしく思い出したので記事にしてみました。
レトロゲーム機のゲームを移植する際の参考になれば幸いです。

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