目次
はじめに
この記事では、UTAUとAviUtlを使用し、配布されている連続音用USTを、別の単独音に変換し更に母音化して、自分の持っている別の音源に歌わせ、最終的にキャラクターを口パクさせるまでの一連の流れを、具体的な手順に沿って詳しく解説します。
こんな方におすすめ
配布USTを、自分の持っている別の音源で歌わせてみたい方
特に、FNF(フライデーナイトファンキン)というゲームのmodで使用されている、「Sans」や「Murder!Sans」のような音源を使って歌わせてみたい方
UTAUで作成した音声に合わせて、AviUtlのPSDToolKitでキャラクターを口パク(リップシンク)させたい方
「連続音」で構成されたUSTを「単独音」で構成されたUSTに変換する方法や、「母音化」の具体的な手順を知りたい方
使用させて頂いたもの
使用ソフト
使用ソフト_UTAU関連
- moresampler.exe (UTAU Engine)
- doppeltler64.exe (UTAU Engine)
使用ソフト_動画作成関連
- AviUtl version1.10
使用プラグイン
使用プラグイン_UTAU関連
- 歌詞を母音化
- 僕の考えた最強のry_Ver2
- HE_エンベロープ正規化0.4用
- 拡張エンベロープエディタ
- 拡張ピッチエディタ
使用プラグイン_動画作成関連
- 拡張編集プラグイン version 0.92
- PSDToolKit
- https://github.com/oov/aviutl_psdtoolkit/releases (配布ページ)
- https://oov.github.io/aviutl_psdtoolkit/index.html (チュートリアル)
-
https://www.nicovideo.jp/watch/sm32904901 (niconico動画 親作品登録用リンク & 解説)
- ごちゃまぜドロップス
-
https://github.com/oov/aviutl_gcmzdrops/releases (配布ページ)
- PSDToolKitに同梱されています
- https://www.nicovideo.jp/watch/sm33020019 (niconico動画 親作品登録用リンク & 解説)
-
https://github.com/oov/aviutl_gcmzdrops/releases (配布ページ)
音源
- Sans Assets by Draco
- 【波音リツ】シャルル【ust配布・UTAUカバー】
UTAU 手順
原音を変更する
連続音*1を単独音に変更する
- 下記プラグインが導入されている前提です
- 僕の考えた最強のry_Ver2
- 導入されていない場合は 使用プラグイン_UTAU関連 を確認して下さい
-
Ctrl + A
を押し、歌詞をすべて選択する
-
N
キー を押し僕の考えた最強のry_Ver2
を押す
-
連続音→単独音
を実行する
-
Ctrl + E
を押して、複数選択のプロパティ
を表示する
-
先行発声
とオーバーラップ
のクリアを実行する
-
STP
*2 を0
に設定する
母音(ローマ字)に変更する
- 下記プラグインが導入されている前提です
- 歌詞を母音化
- 僕の考えた最強のry_Ver2
- 導入されていない場合は 使用プラグイン_UTAU関連 を確認して下さい
-
Ctrl + A
を押し、歌詞をすべて選択する
-
N
キー を押す
-
歌詞を母音化
を実行する
-
N
キー を押し僕の考えた最強のry_Ver2
を押す
-
ひらがな→ローマ字
を押す
-
実行
を押す
-
ん → nn
が赤文字になっている場合があるが、音源にnn.wav
(エイリアスnn
)が存在しているなら、このまま変換してよい
-
-
実行
を押す
- 歌詞がすべてローマ字の母音に変換される
音階を調整する
-
Ctrl + A
を押し、歌詞をすべて選択する
-
選択部分を再生
を押し、高低がおかしくないかを確認する
- 高さの調整が必要な場合、
Alt + E
を押し、[編集]を開く
-
N
キー を押し、[選択部分を数値で移動]を開く
- 数値を入力し、音階を調整する
-
- 1オクターブあげる場合は、
+12
と入力する - 1オクターブ下げる場合は、
-12
と入力する
- 1オクターブあげる場合は、
-
- 音階が下がる
使用している音源に合わせた調整を行う
- 全体的なエンベロープの修正を行う のみでも十分な場合が多いですが、気になる部分を手動で調整する事もできます。
全体的なエンベロープの修正を行う
- 下記プラグインが導入されている前提です
- HE_エンベロープ正規化0.4用
- 導入されていない場合は 使用プラグイン_UTAU関連 を確認して下さい
-
Ctrl + A
を押し、歌詞をすべて選択する
- 左下のPを押す(やらなくともよい)
-
Ctrl + E
を押して、複数選択のプロパティ
を表示する
-
音量
を100%
、モジュレーション
を0%
に設定する
-
クロスフェードのエンベロープをp1とp4で設定
を実行する
-
N
キーを押し、HE_エンベロープ正規化0.4用
を実行する
-
選択部分を再生
を実行し、音を確認する
一部のエンベロープ及びピッチの修正を行う
- 下記プラグインが導入されている前提です
- 拡張エンベロープエディタ
- 拡張ピッチエディタ
- 導入されていない場合は 使用プラグイン_UTAU関連 を確認して下さい
修正した時の聴こえ方の比較
-
声量に違和感がある場合=>エンベロープの調整と音が単調・薄く聴こえてしまう場合=>ピッチの調整、発声する文字数を増やすを合わせて行った物
-
比較動画
-
実際のエンベロープとピッチの表示
声量に違和感がある場合=>エンベロープの調整
- 状態
- 「ええ」の、最初の『え』が弱く、最後の『え』が強い事に違和感がある為修正する
- 元々一つながりだった音をパート分けしてしまった為に、声量に違和感を覚えるようになってしまった部分の調整
- 違和感のある部分を選択する
-
N
キーを押し、拡張エンベロープエディタを起動する
-
フリーハンド
を選択し、エンベロープを調整する
- 線がある場所をクリックし、音量の波をかくイメージでドラッグする
- 点をドラッグし、波を微調整する
- 調声が完了したら
OK
を押す
-
選択部分を再生
を実行し、音を確認する
音が単調・薄く聴こえてしまう場合=>ピッチの調整
- 状態
- 元は 無声歯茎摩擦音である
そ
を、母音のみの歌詞に変えている為に、単調に聞こえるようになってしまっている - ピッチを調整する事で、母音のみでも単調に聞こえないようにする
- 元は 無声歯茎摩擦音である
- 違和感のある部分を選択する
-
N
キーを押し、拡張ピッチエディタを起動する。
-
点の移動
を選択し、ピッチを調整する
- 発声の山、谷を増やしたい場合は、線の部分をドラッグする
- 音素同士の点を合わせると音のつながりが滑らかになる
- 調声が完了したら
OK
を押す
-
選択部分を再生
を実行し音を確認する
発声する文字数を増やす
- 分割して、発音する文字数を増やしたい音符の右端を
Ctrl + Shift
を押しながら押す
- 分割したい位置までドラッグする
- 分割した音符を選択する
-
N
キーを押し、拡張ピッチエディタを起動する
- 音を滑らかにしたい場合はピッチ線をつなげる
- 編集したら
OK
を押し、音を確認する
音声を出力する
音声をAviUtlで合成する
複数のパートを合成する
- メインメロディとハモリの音量比率は7:3くらいが良い
合成した音声をwavとして出力する
歌詞に合わせて口パクするように設定する
- 下記プラグインが導入されている前提です
- PSDToolKit
- ごちゃまぜドロップス
- 導入されていない場合は 使用プラグイン_動画作成関連 を確認して下さい
- 使用する立ち絵のアニメーション効果(
*.anm
ファイル)を、AviUtl
のscript
フォルダに追加している前提です - 追加されていない場合は、口パク動作及びPSD アニメーション効果の設定を確認して下さい
- 使用したいPSD形式の立ち絵を拡張編集にドロップする
- 立ち絵用のアニメーション効果を
描写@PSD
の上に追加する
- スライダーで口パクオブジェクトが指定されている番号を選択する
- 立ち絵の
lipsync
オプションで、口パク準備オブジェクトを置くレイヤー番号を指定する
-
メディアオブジェクトの追加 > PSDToolKit > 口パク準備
から、口パク準備オブジェクトを追加する
- 口パクさせたいパート以外の音声が存在するレイヤーを全て非表示にする
-
ファイル
からwav出力する
- 手順6 及び 手順7は、再生位置を移動している(AviUtil側で頭出ししている)場合、口パク動作がずれてしまう為に必要な物
- 再生位置をずらしていない場合は、手順6 及び 手順7 は必要ない
- 口パク準備オブジェクトの参照で、口パクさせて歌わせたい音声データを指定する
- 手順6 及び 手順7を行っていない場合は、口パク準備オブジェクトの開始位置を音声データの開始位置とそろえる
- これを行わない場合、口パク動作がずれてしまう
- これを行わない場合、口パク動作がずれてしまう
- 手順6 及び 手順7を行っていない場合は、口パク準備オブジェクトの開始位置を音声データの開始位置とそろえる
- 歌詞に合わせて口パクするようになる
補足
連続音について
連続音とは
- 単独の音韻ではなく、音韻のつながりを有し音素として構成されている原音の事
- 前の母音が付属した状態で、構成されている原音
-
(前の言葉の) 母音 + 子音 + 母音
の組み合わせ
-
- 前に音が存在する場合は、前の母音に合わせて選択する
- 前が
そ
の場合はo れ
の様になる
- 前が
- 前に音が存在しない場合は、単独音と同じ
-
-そ
等 で表現されている
-
- 前の母音が付属した状態で、構成されている原音
STPとは
- 原音をどの位置から再生するかを設定する為の値
連続音が使われている場合の表示例
単独音に直さず母音の歌詞にした場合どうなるか
- 比較
- 以下のどちらも、エンベロープの設定及び正規化は行っている
-
連続音を全く直さずに、又は
連続音→単独音
以外の単独音変換処理を行わずに歌わせた場合 -
連続音をプロパティの部分まで直して、歌わせた場合
- 完全に連続音を修正しないまま歌わせている方は、発音できない音が発生している
- 1秒未満の単独音を原音として使用している為、
STP
が設定されている事が影響して、音が出なくなってしまっている
- 1秒未満の単独音を原音として使用している為、
- 以下のどちらも、エンベロープの設定及び正規化は行っている
口パク動作
口パク動作の設定 (AviUtlで行う操作)
- 詳細は以下の記事を確認して下さい
PSDアニメーション効果の設定
- 詳細は以下の記事を確認して下さい
- PSDアニメーション効果
- *.anm ファイルを作成する (スライダーの有効化)
-
他のスライダーを有効化する (
*.anm
ファイルの構成例) -
口パク 開閉のみ@PSD (口パクオブジェクトの出力)
- 口パクオブジェクト設定時の注意点
- フォームから作成した口パクオブジェクトを
*.anm
ファイルに追記する際、,
の追加を忘れないようにする - 口パクオブジェクトを追加した分、
スライダーの範囲
を増加する事を忘れないようにする
- フォームから作成した口パクオブジェクトを
参考