こんにちは!
ourly株式会社という3期目のスタートアップでEM兼BEとして働いている相澤と申します。
ourlyはインターナルコミュニケーション(社内コミュニケーション)活性化を通した従業員エンゲージメントの向上を目的とするWeb社内報やプロフィール機能を提供しているSaaSです。
この記事は、株式会社PHONE APPLI様が協賛するQiita Enginner Festa 2024の「組織」や「チーム」でのコミュニケーションについて、あなたの考えをシェアしよう!というテーマで「振り返り」について書いたものです。
「振り返り」って何のためにやるんでしょうね?
みなさん、日々個人やチームで振り返りをしていると思いますがなぜやっているのかを明確に答えられますか?
なんとなくやった方が良いことだとはみなさん思っていることでしょうし、自己啓発本なんか読めばさも当たり前のように「振り返りをして反省点を洗い出して...」なんて書いてあります。
でも改めて問われると意外と言語化難しいのではないでしょうか?
よくある回答として例えば以下のようなものが挙げられます。
- 失敗したことの反省点を洗い出して次は失敗しないようにするため
- うまくいった要因を分析してチーム全体に共有するため
- 学びを次に活かせるようにNext Actionを決めるため
どれかが間違っていて、どれかが正解とかいう話はなく、基本的には全部正解なのですがあえて僕自身の言葉で伝えると振り返りは 「経験」を「スキル」に昇華するため に行います。
「経験」と「スキル」の違い
僕は野球が好きなので、野球で例えましょう(分かりづらかったらすみません)!
以下の2つの例を比較してみます。
- 私が振ったバットの真芯にボールが当たってホームランを打った
- 私は振ったバットの真芯にボールを当ててホームランを打った
1と2の違いは狙ってホームランを打ったかどうか、つまりラッキーパンチではなく自分自身のスキルを使った結果かどうかという点にあります。
1は「ホームランを打つ」という経験は積んでいますが、次同じ状況になった時に同じようにホームランを打てるとは限りません。対して2の場合であれば、次同じ状況になった時にまたホームランを打つ可能性は高いと言えます。つまり、1と2の違いは再現性があるかどうかにあります。
では再現性を持たせるために必要なことはなんでしょうか?
そう、言語化です。
なぜあの時自分はホームランを打てたのか?
→ ボールを真芯で捉えることができたから
→ なぜ真芯で捉えることができたのか?
→ 自分が狙ったコースに狙ったボールがきたから
→ なぜコースとボールを予測できたのか?
→ 相手の決め球が内に食い込んでくるスライダーということを知っていたから
というところまで分析できれば自分が対戦する投手の決め球とコースを予習しておけば、追い込まれた状況で狙い球を絞りやすくなるということが分かります。あとは真芯で捉える練習を積めば同じ状況でのホームランの再現性が高まります。つまり 「ホームランを打った」という経験が「ホームランを打つスキル」に昇華した ことになります。
※ 偉そうに言ってますが実際の野球の世界ではそんな単純な話じゃないと思っています。あくまで例え話と捉えていただけると幸いです。
まとめると 「経験」と「スキル」の違いは再現性があるか( = 言語化できているかどうか) です。
元々の質問に戻ると、なぜ振り返りをするのか、に対する回答は振り返りをすることでうまくいった要素/うまくいかなかった要素を言語化し、再現性を持たせるためと考えています。
振り返りといえばKPTとかってよく聞くけど...
振り返りをする際に便利なのがフレームワークです。最も著名なものの一つにKPT(けーぴーてぃー, けぷとと読みます)があります。
- Keep: 成果が出ていて継続すること
- Problem: 解決すべき課題
- Try: 次に取り組むこと
上記3つの頭文字をとって命名されたフレームワークです。
振り返る事象の細かい要素をKeep, Problemの2つに分類していき、それらを元にTryを決めるというのが一般的な流れになります。
確かにKPTは有効な振り返り手法の一つではありますが、振り返りの経験が少ない人や振り返りの設計が苦手な人ほど、とりあえずKPTで振り返っておけば大丈夫と考えがちだなと思います(印象なので事実ではないです)
例えば新卒1年目の仕事始めたての新人がKeep, Problemを判断できるでしょうか?
目に見えた成功や失敗があればそのくらいは雰囲気で分かるかもですが、細かい行動/事象に関してはおそらく判断できないでしょう。
そうなると振り返りの目的である再現性を持つ、は達成できません。そもそも言語化ができていないのですからね。
新人に必要なのは自分の行動をKeep, Problemに分類することではなく、まずはやったことを洗い出し、それぞれに対して分かったことを書き出してみることが必要です。
分かったこととして、自分の行動がどういう結果につながるかを言語化していくとそれが良かったのか修正が必要なのかを徐々に判断できるようになっていきます。
実は上記のやったことと分かったことにフォーカスした振り返りは YWT( Y:やったこと、W:分かったこと、T:次やること ) というフレームワークとして存在しています。
あくまで一例を挙げましたが、自分のスキルレベルやチームの状況などによって最適なフレームワークは変わります。
つまり、とりあえずKPTで振り返りましょう!は、辞めましょうということが言いたかったのです。
※ KPTとYWTの違いは以下の記事で分かりやすく解説されています。
まとめ
この記事をまとめると以下2行になります。
- 振り返りの目的は「言語化によって再現性を獲得し、経験をスキルに昇華すること」
- 上記目的を達成するために状況に応じて最適なフレームワークを選択すること
タイトルの回収という意味では、やった感だけが残る意味のない振り返りを辞めるために上記2点を意識しましょうということが言いたかったです。
最後までお付き合いいただきありがとうございました!!