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Vulcanus in Europe / ヴルカヌス について

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ヴルカヌス.png

目次

0.はじめに
1.ヴルカヌス・イン・ヨーロッパとは
2.選考スケジュール
3.一次審査
4.二次審査
5.三次審査
6.合格後のスケジュール
7.奨学金と出費について
8.語学学校について
9.企業研修について
10.語学学校/企業研修以外のアクティビティ
11.オーストリア参加者へのTips
12.今後の進路
13.さいごに

0. はじめに

 本記事では、「ヴルカヌス・イン・ヨーロッパ」という経済産業省管轄の在欧企業研修プログラム(奨学金付き長期欧州留学プログラム)について実体験を紹介します。2023-2024年にかけて参加した経験なので、最新の動向は公式サイトを参照してください。
ヴルカヌス・WEBサイト:https://www.eu-japan.eu/ja/VIE-outline

私についての事前情報

  • TOYOTA自動車(株)の半導体工場で4-5年働いた後に休職(データアナリスト)
  • 豊田工業大学 知能数理研究室 学部3回生時に応募(4回生を休学)
  • 情報系学生:Kaggle・Signateに参加経験あり + G検定・E資格取得
  • 応募時点での語学
    • TOEIC 870点
  • 応募時点での海外経験
    • India, Singapore, Indonesiaへの短期研修や旅行
    • UCDavisへ短期留学

1. ヴルカヌス・イン・ヨーロッパとは

概要:奨学金付きEU加盟国への語学研修・企業研修プログラム
対象:日本の理工系学生(応募時大学三年生以上)
期間:1年間 (2023年4月~2024年3月)

  • 2023年4月~2023年8月:語学研修 (僕の場合はドイツ語 A1→A2)
  • 2023年8月~2024年3月:企業研修 (僕の場合はオーストリア AT&S)

定員:15-25人ほど

2. 選考スケジュール

選考フロー:
一次選考(書類選考)→二次選考(個人面接)→三次選考(企業マッチング)

  • 一次選考 9月中旬〆
  • 二次選考 10月中旬
  • 三次選考 10月下旬

3. 一次審査

提出書類:

  • 応募申込書(CVのようなもの)
  • 推薦状
  • 小論文
  • 英語能力証明書(TOEIC可)
  • 大学成績証明書

※ 以下私の経験と、個人的に感じたことです。
< 小論文 >
 私の場合、ここでほとんどの人が落ちると聞いたのと、8-9月は欧米での留学が決まっていたため、6月-7月で小論文のドラフト作成、8-9月でブラッシュアップや英文の添削を依頼する時期としました。添削は教授や教員の方、合格経験のある先輩、他大学の友達など合計10~15人ほどに添削してもらいました。ここが一番重要だと思います。

 内容を考える際には、大学で参加した先輩や6月上旬にあるプログラム説明会で先輩からいただいたり、WEBやXに落ちている小論文を参考にしました。

以下内容の大枠です。
夢や目標→自己紹介→志望動機→強みをプログラムにどう活かし夢へ繋げるか

 個人的に、ここで一番重要な要素は専門性ではなく、一貫性のある志望動機と知らない海外の地で強く生きていけることをアピールすることだと思います。もちろん、過去の経験をどうやって企業で活かせるかも重要だと思います。(三次審査は特に専門性を重視されると感じます)

< 推薦状 >
 当時は研究室に配属されていなかったため、担当教授にお願いをしました。ここでは自分のアピールできる全てのこれまでの経験をリストアップしておくのが重要だと思います。

< 英語能力証明書 / 大学成績証明書 >
 また、大学の性質上GPAが上位30%くらいでもGPA2.5ありませんが問題なかったため、GPAは重視されないと思います。英語力もあるに越したことはないですが2023年応募時には、TOEIC 650点以上 / IELTS(Speaking)6以上 / TOEFL iBT 70点以上 / TOEFL ITP(団体受験)Lv.1で525点以上 で応募可能で先輩方の話を聞いていてもそこまで重視しているようにも感じませんでした。

4. 二次審査

審査方法: オンラインで個人面接(1対3+1)
審査内容:

  • 自己紹介英語3分
  • 英語質問3分
  • 日本語質問9分

※ 面接内容は個人により異なる(2023年時点)

 所管として、英語質問は概要的な質問、日本語質問は小論文や応募申込書から少し突っ込んだ質問という印象を受けました。圧迫面接という記事も目にしたため少し構えていきましたが、全くそんな印象なく終わりました。

5. 三次審査

審査方法: 書類審査(CV, ML) + 面接(AT&Sは無)
審査内容: 最大3社までCV, MLを送り、企業から返答の早い順に15-25人ほど合格

※ 選考フローは企業により異なる(CV、ML + 面接の有無)

 2次審査合格発表後、約1週間後には3次審査の提出〆があり、受かったと仮定して3次審査用の書類を作成し始めていました。基本的にここからは自分の強みを企業でどのように活かせるかをアピールする場であり、修士、博士の人と戦うための自分の武器を洗い出してアピールしました。

6. 合格後のスケジュール

11月 上旬~中旬 : 最終合否獲得
12月 上旬 : 第一次奨学金 40万円 振込
12月 ~ 1月 : VISA / 滞在許可証取得のため案内された書類を収集
2月 ~ 3月 : VISA / 滞在許可証取得のために東京の大使館へ申請に
3月 下旬 : 第二次奨学金 40万円 振込
4月 中旬 : 渡航
5月 ~ 8月 : 語学研修
7月 下旬 : 第三次奨学金 2887.5€ 振込
8月 ~ 3月 : 企業研修
11月 下旬 : 第四次奨学金 2887.5€ 振込

 準備はどのプログラムよりも充実していると思う理由の一つとして、全てセンターから案内された書類を提出すれば、VISA/滞在許可証や保険についてもクリアな状態で現地へ臨めます。

7. 奨学金と出費について

< 奨学金 >
計: 約92万円/年 (160円/€ 計算)
内訳: 12月40万円 / 3月40万円 / 7月2887.5€ / 11月2887.5€ (全て振込)

※ 国による (企業から毎月もらえる国(イタリアなど)や、センターからまとめて支給の国がある)

< 出費 >
準備編
・ 航空券 : 往復約15-25万円
・ 保険1 (JI保険) : 約2万円
・ 保険2 (CareAustria) : 約9千円
・ VISA/滞在許可証申請費用など : 約3-4万円
(私の場合)
・ 一人暮らし部屋退去/引っ越し費 : 5万円
・ スーツケースやお土産、荷物やコンタクトなど諸々 : 約10万円

現地編
・ 食費 : 2万円~3万5千円/月
・ 家賃 : 0 円/月 (AustriaのAT&Sのみ)
・ 通信/洗濯/消耗品 : 1万円/月 (HoferSIM: 40G 9.9€)
・ 交際費 : 5千円~1万円/月
・ 旅費 : 5~10万円/月

※ 全て個人や国による

 オーストリアでは、貯金残高100万円程度の提出が求められたので(2023年時点)、自分の貯金と奨学金を合わせて100万円を超えた瞬間に写真を撮り、その後準備へ移りました。
私の場合、後ほど詳細を話しますが、旅費へ回すため基本全て自炊していました。(会社やレストランで食べると1品1500-2500円)

 結論を言うと、奨学金のみで1年間暮らせると思いますが、旅行をしたり現地での飲み会や集まり、アクティビティも参加したい人はそれ以上に必要です。この、それ以外の資金、を自分でどうにかしないといけない人は、私自身アドバイスができるかもしれないですが個人的にここでは書きたくないので個人的にコンタクトをとってきてください。
instagram : _koki_9972
X : UenokoukiS

8. 語学学校について

 各々研修言語を4ヶ月間学びます。オーストリアの場合は会社で英語を使用し仕事をするため、オーストリアへ来る途中の地球の歩き方でダンケシェーンがドイツ語だと知ったレベルに何も知識なく到着しました。先輩のアドバイスで簡単な文法書と単語帳を日本から持って行っていたため、現地で一通り勉強し、単語を増やしながら授業に臨んでいた形です。

 学校としては、A1→A2終了まで通いましたが、良し悪しに関しては「先生による」に尽きると思います。時間としては9-12で、授業後はクラスメイトと美術館に行ったりカフェに行ったりもしました。が、ほとんどの生徒は1ヶ月ほどで帰ってしまうこともあり、クラス崩壊している先生の時などはIKEAのCafeコーナーで勉強していました。日本の学校との違いとして、習いに行くのではなく、自習してきたものを先生のレベルに合う子がその教室で先生と話す場なのだと感じました。(先生によりますが)

9. 企業研修について

AT&Sという半導体(PCB・IC Substrate)シェア上位の企業の、R&D(研究開発)チーム内でもバーチャルシミュレーションチームでデータサイエンティストとして働きました。
出社先としては、Leoben ,Austriaという少し田舎(体感岐阜高山より少し小さいくらい)にあります。

仕事内容としては、プロジェクト3つと社内コンペティション1つに参加しました。

  1. (PJT1) Training Surrogate Models --> モンテカルロで最適化

    • FEM結果を受けて、どのパラメータが電気抵抗に大きく関わっているかの分析、モデル作成、モンテカルロで最適値推定
  2. (PJT2) Probabilistic Process Monitoring

    • 既存手法(SMA+閾値) --> ベイズモデル(HMM、SSM)やRupturesの導入による自動変換点検出や未来予測を導入
  3. (PJT3) Analyze the Influence of Trace Width Measurements

    • SQLを使用し、様々な設備データからトレース幅に影響のある設備や原因を追求
  4. (社内コンペ) Reducing Energy Consumption

    • CO2排出量の低減を目指し、データ分析

休暇は合計14日(オーストリアの法律より月2日)取れます。また残業分は休みにできるので、合計23日休みました。
※年末年始は2週間ほど会社ごと休みで、そこで自動的に5-6日ほど有給を使用しました

チームによるかもしれませんが、私の配属したチームメンバーも上司も人当たりがよく、面倒見が良かったため楽しく仕事をさせてもらいました。仕事内容は、CV,MLの情報や6月の企業訪問時の内容からある程度決められ、さらに私は最後のPJT前にSQLを使用した仕事経験をしたいと相談しながら仕事をもらったため、割とフレキシブルで自由に仕事させてもらいました。

AT&Sには、過去のヴルカヌスの先輩が二人おり、よくご飯に連れて行ってもらったり、進路や仕事についてもよく相談に乗ってもらいました。初めての地でこれだけ不安や心配を最小化して楽しく活動できたのは間違いなく先輩方のおかげだと思います。その面一つとっても、AT&Sはおすすめの企業です。

10. 語学学校/企業研修以外のアクティビティ

  • 旅行としては、1年を通して20カ国,30の街へ旅行をしました
    ここで重要なことは、4月から予算と相談しながら旅行計画を立てることだと思います。一人でゆっくり回る旅も好きですが、ヨーロッパ各地に友達がいる機会なんてないと意気込んで4月末には旅行をスタートしていました。人生で見ても、みんなで見たキルナでのオーロラやマヨルカ島でのバケーションなど忘れられない経験を得たと確信しています

  • また、アルプス山脈でのスノーボードやハイキングなどかけがえのない経験をしました

  • 現地の友人と仲良くなるには以下の方法がおすすめです

    • タンデム会(Wien大学日本語学科の飲み会や交流会facebook.com/suiyotandemkai) <- おすすめ
    • タンデム(App)
    • HalloTalk(App) <- おすすめ
    • Tinder(App)
    • 語学学校の子と仲良くなる
    • 職場のインターン生と仲良くなってpartyなどに誘ってもらう

11. オーストリア参加者へのTips

  • 自炊(日本食): WienのNippon-yaに行けば調味料や具材も大抵なんでも買える(醤油くらいならどこにでもある)
    • みりん、料理酒、醤油、顆粒だし、麺つゆ、うどん、ラーメン、カレー、シチュー、納豆、蕎麦, etc
  • レストラン(日本食):
      1. Kojiro 3 : 鯖塩焼き, 日本酒, etc
      1. 日本橋 : 天ぷら, etc
      1. まことや : 豚骨らーめん、坦々
      1. もちラーメン: 豚骨ラーメン
  • スーパー: SparやBILLAは割高で品揃え ○ / LidlやHoferなどのdiscountスーパーは安めで品揃え △
  • SIM: A1は大手だけど割高 × (約10€ 約7G) --> Hot(Hoferで買える) 40G 9.9G
    • 契約時Passport必要
    • Hotアプリから自動引き落とし上限を下げておかないとクルーズ、飛行機、スイス、イギリスなどで60€自動引き落とし有
  • Wien外で勉強するおすすめ場所(夏):
    1. IKEA(west Bahnhof) : ファミリープラン無料に入れば無料でgreen tee を飲める
    2. Jonas Reindl Coffee Roasters: 雰囲気がいい
    3. Café Votiv : 広い (wifiは弱い)
    4. Welt Café : レモネード美味しい
  • 鉄道関係:
    • お得にÖBB(鉄道)チケットを買う方法(50%off): Vorteilscard Jugend(26歳未満)
    • 地下鉄側の機械でmonthly ticketを買うとÜBB側の1/2くらいの大きさ
    • 空港行く時はWien内で買ったMonthly ticket で行けないから注意
    • 3ヶ月ウィーンに住んで4回ほどチケット確認されたから買った方が吉(Wienを出るとよく確認されてる)
      • 罰金120€...
    • Leoben ↔︎ Vienna (片道価格)
      ・ ÖBB ノーマル→36€
      ・ ÖBB 割引→18€
      ・ Blablacar→9-13€
      ・ Flix bus(from Graz)→19€
    • Leoben ↔︎ Vienna (時間)
      ・ ÖBB→2-2.5h
      ・ Blablacar→2.5h (田舎だと特に売り切れやすいため早めの予約必須)
      ・ Flix Bus→2-2.5h
  • 企業研修次の注意点 (AT&S):
    • 6月に会社訪問で自分のプレゼンをした --> そこで仕事内容や割振を上司が考える
    • 宿代 無し
    • カトラリー、包丁、フライパン、鍋など全部揃えてくれる (食器や包丁をWienのIKEAで買ってしまった)
    • 送迎 有り(無料シャトルバス)
    • 以下のようなイベントを早めに抑えて旅行が被らないようにする
      • 毎年9月中旬辺りにあるcharity run event 有
        • 色んな部署の方と話す機会が出来るから、AT&S残りたい人は走るの苦手でも参加するのおすすめ
      • 毎年10/5? 第一木曜? にLeoben中の人が集まる大きなイベント有
      • 12月は3,4回クリスマスパーティー有
      • 2月中旬にはカーニバル(仮装フェス)有
  • 英語をこっちへ来るまでにどのくらい何をやればいいか分からなかったためTips
    • TOEICでリスニング満点程度有り聞き取れたが、データ分析に必要な単語力(説明力)は皆無
      --> 自分のやるであろう仕事内容を英語で説明できるといい
  • イギリスで移動経路検索に有用なアプリ 『Citymapper』
    • Google Mapで検索すると、全鉄道キャンセルなど有
  • ウィーン空港やヘルシンキ空港は空港泊可能だけれど、サントリーニの空港は夜間閉まるので宿泊できないなど下調べが必要

12. 今後の進路

 様々な大人が関わり複雑なので、今はまだ書くべきでないと考えるため今後順番に追記します。

13. さいごに

 私は大学1年生の時に先輩からこのプログラムを知り、合格のために約2年間準備してきました。(海外経験や英会話、TED式プレゼンテーションコンテストなど)これは、私の場合、金銭的な問題で中学卒業後、企業内訓練校で働き就職することで、大学費や留学費など全て自分で賄ってきました。そんな私には喉から手が出るほど合格したいプログラムであり、将来海外に挑戦したいけれど長期間暮らせるか不安、海外のコネクションがない、お金がない、英語で仕事できるか不安、など私の将来を様々な部分で助けるプログラムであり、字の如く人生を変えるプログラムでした。是非、興味のある方は挑戦してみてください。

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