はじめに
私は仕事でフロントエンドを専門とした開発を行っています。
フロントエンドの領域のうち、特に興味を持っているのが見た目に関わる部分です。そのため、最近は開発に必要な知識だけではなく、デザインに関わる知識を学ぶための学習を進めています。
さて、デザインを行う上で重要な要素の1つに色の選択があります。
色の選択するには、情緒的な役割・機能的な役割、全ての人が識別できる色の組み合わせ、トーン等を用いた色の調子の調整など、考えることが様々あります。
私はそのうち「全ての人が識別できる色の組み合わせ」、つまり色のコントラストについて考える機会が多かったのですが、それがどのように求められるかの知識があやふやでした(わからない方は以前に書いたブログで解説しているのでぜひ)。考える機会の多いものですら背景を理解していないのですから、他の基準についてもっと知識がないはずです。
このことから私は「より体系的に色のことを学びたい。」、「なぜそのような選択を知るのか知りたい」と考えました。
そこで、色自体について・色とアクセシビリティについてをよく知るために色彩検定UC級の受験を行いました。
この記事はこのような背景で受験した色彩検定UC級についてのレポートになります。
色彩検定UC級について
色彩検定UC級は色のユニバーサルデザインについての検定です。「色覚の多様性」について正しく知り、誰にとっても見やすい色彩設計を社会に生かすことを学びます。
他の級として、色の世界に入門する人向けの3級、色を実務で応用する人向けの2級、色彩のスペシャリスト向けの1級があります。
画像は色彩検定公式サイトの検定レベル(各級の目安)から引用
検定の内容
検定の内容は基本的にマークシートの問題で一部記述式の問題が出題されます。
満点は200点で、例年は160点以上で合格です。得点率が8割以上と、難易度が高そうに感じますが、基礎的な問題も多く受験のハードルは高くないという印象です。
学習方法
受験にあたる勉強には、公式サイトで購入した公式テキストを利用しました。
勉強は5つのフェーズに分けて行いました。
- 試験範囲を確認する
- 知識が薄い章を読み込む
- 全体を読み直す
- 細かい部分・覚える必要があるところを身につける
- 全体を浅く読み直す
1つ目のフェーズは公式テストを最初から最後まで読みました。このときは用語を覚えるのではなく、どのような内容が書かれているか、自分の知識が浅い章はどこかを確認することを考えて読みました。私の場合は、「色が見える仕組み」・「色の表し方」・「色覚のタイプ」による色の見え方がそれに当たりました。
2つ目のフェーズは先ほど知識が浅いと感じた章を繰り返し読みました。自分の中で整理して説明できるようになるまで読みました。ただ読んでいるだけでは飽きるのでブログにまとめるなど休憩をいれつつ学習を進めました。
3つ目のフェーズは公式テキストを最初から最後まで再度読みました。学習が進んでから読み直すと、最初に読んだ時は目に付かなかった重要な内容に気づいたことが興味深かったです。ここでは太字で書かれている内容が理解できているか、「見分けにくい色の組み合わせ」のような覚えられていない箇所がないか考えながら読みました。
その後、さらにもう一度読み直しても理解できていない箇所、覚えてられない箇所はピックアップしておきました。
4つ目のフェーズは先ほどピックアップした問題を重点的に学習しました。ノートに書き出したり、公式テストで覚えたい部分を隠したりしていました。
5つ目のフェーズは試験直前(1日前くらい?)に覚えている内容に漏れがないかを確認する意味で何度も浅く読み返しました。
試験勉強は試験4週間前から始めました。
机に向き合って勉強したのは、最初の3週間は土日に2~3時間の合計約15時間、最後の1週間は平日に1~2時間の約6時間の合計約21時間行いました。フェーズ1~2を最初の2週間に、フェーズ3を次の1週間に、フェーズ4~5を最後の1週間でやりました。
その他にも、日頃から忘れやすいところは脳内で反復して記憶が定着するようにしていました。
私が合格するまでに行った勉強法であり、UC級を受験するにあたり最適な学習法を紹介しているわけではありません。
反省
過去問題集を購入すると、この検定を受験した目的が色彩についてを学ぶ試験に受かることに変わりそうだったので避けていたのですが、学習内容が明後日の方向にずれていて問題を解けなかった場合、受験料が勿体無いので直前の確認のために購入しても良かったと思いました。
試験体験
試験会場には受験票と身分証明書、筆記用具、時計を持っていきました。私が受験した会場には時計が設置されていました。
開始時間になると問題用紙とマークシートが配られます。
色についての問題が出題されることもあり、問題用紙には他の試験ではあまり使われないしっかりとした紙が使われていて新鮮でした。
マークシートは前面に個人情報と選択問題、背面に記述問題を書くようなシートでした。
私の場合は公式テキストだけを使用して学習をしていたので、試験開始前はどのような問題が出るか気になってドキドキでした。そのため、試験が開始すると問題数と内容を確認して、時間内で解ききれるかを確認しました。幸い、余裕をもって時終われたので良かったです。
出題された問題のうちいくつかは私の想定外の内容で点を落としてしまいましたが、公式テキストを読んでいれば答えられる問題で構成されていて良心的だと思いました。
試験は完全に終了するまで退出を行えませんでした。終了まで、ミスの確認を繰り返していました。
学んだこと
色の基礎的な知識としては、色とはなにか、人はどのようにして色を感じているか、色はどのように表されるのかを学びました。
ユニバーサルデザインに関わる知識としては、色覚異常を持つ人はどのような人か、その人たちがどの色の組み合わせがなぜ見えにくいのか、どのように検査するかを学びました。そして、その上でどのように色のユニバーサルデザインを進めていけば良いのか、どのように修正すれば良いのかのような実践的な知識を学ぶこともできました。
それぞれ全く知らなかったことは少なかったですが、なんとなくで知っているものや、知った気になっているものが、知識として埋められている感じがしてとても有意義に感じました。
何か色についての施策を相談する上で自信を持って話せるようになったのではないかと思います。
おわりに
久しぶりに検定のための学習を行いました。検定を取るための学習ではなく、検定の内容を学ぶための学習を行えたのは良かったかなと思っています。
色とユニバーサルデザイン、それを取り巻く環境について学ぶことで、日頃実践しているアクセシビリティのなぜに迫ることができます。少しでも興味があれば受験してみることをお勧めします。
私は今回の受験で色彩についてより興味を持ったので、時間を作って次は3級・2級・1級に挑戦してみようと思いました。