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エンジニア不足にも関わらず企業が実務未経験のエンジニアを雇うのをためらう理由を考察してみた

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1.自己紹介と背景

私は新卒でエンジニアになることを目指している学生です。就職活動をして感じたのは、昨今のエンジニア不足(参照)にも関わらず実務未経験のエンジニア(以下、駆け出しエンジニア)を雇うことをためらっている企業が多いということです(つまり、自分が落ちまくったということですね笑)。本記事では企業が駆け出しエンジニアを雇うのをためらう理由と実務未経験からエンジニアを目指す人たちがどのようにしていけばいいのかを考察してみました。また、考察の材料として企業が駆け出しエンジニアを雇うときの資金収支のシミュレーションをしました。

2.シミュレーション

2-1.シミュレーションの内容

一般的に、エンジニアを1人育成するときの投資を企業が回収できるまでに2~3年かかると言われています。企業がエンジニアの育成をして投資を回収するまでにどのような資金の動きをするのかをモデルケースを作って考えてみました。
会社や育成されるエンジニアの能力等に応じて数値が大きく異なるのは重々承知していますが、単純化して考えるために以下のようなモデルケースを作ってみました。

2-2.モデルケースの条件

一人前のエンジニア

・1人あたり年間600万円の売り上げが出る
・企業は1人あたり年間300万円の給料を払う

駆け出しエンジニア

・駆け出しエンジニアは売り上げを生まない
・企業は1人あたり年間300万円の給料を払う
・育成して一人前のエンジニアにするには200万円のコストが必要
・1年育成すれば一人前のエンジニアになれる

2-3.シミュレーション結果

それでは企業が駆け出しエンジニアを雇った場合の企業の資金収支をシミュレーションしていきます。結果をグラフで表すと以下のような感じです。
スクリーンショット (28).png

1年目(-500万円)

1年目は駆け出しエンジニアなので、会社の稼ぎには貢献できません。しかし、給料は支払わなければいけないので、300万円のコストがかかります。
また、一人前の先輩エンジニアが駆け出しエンジニアの質問の対応をすることによって先輩エンジニアの生産性が下がったり、駆け出しエンジニアのミスによって仕事全体が遅延したりすることもあります。そのため、駆け出しエンジニアには追加で200万円の育成コストがかかります。

1年目は合計で給料に300万円、育成コストに200万円の計500万円のコストがかかるのに対し、駆け出しエンジニアは売り上げに貢献できていないので全体の収支は-500万円になります。
つまり、企業は駆け出しエンジニアに対して500万円の投資をしたことになります。

2年目(-200万円)

駆け出しエンジニアは1年間育成されて一人前のエンジニアになることができました。そのため、300万円の給料を支払えば600万円の売り上げを生み出してくれます。
その結果、2年目は企業に対して(売り上げ)-(給料)= 600 - 300 = 300万円の儲けをもたらしてくれます。しかし、1年目の-500万円があるので全体としては-500 + 300 = -200万円となり、企業はまだ駆け出しエンジニアに投資した資金を回収できていません。

3年目(+100万円)

3年目も2年目と同じように育成したエンジニアは差し引き300万円の儲けをもたらしてくれます。
その結果、駆け出しエンジニアとして雇い始めてからの企業の収支は-200 + 300 = +100万円となり、企業はやっと駆け出しエンジニアに投資した資金を回収してプラスにすることができました。ここまで来ると、企業にとっては駆け出しエンジニアに投資した意味が出てきます。

2-4.シミュレーション結果に対する考察

実際の企業でどのようになっているかは分かりませんし、シミュレーションの数値は適当ですが、大まかな資金の流れとしては1年目で駆け出しエンジニアに投資し、3年目くらいで回収できるという流れではないかと考えています。このシミュレーションは完全に想像で書いています。そのため、上のシミュレーションの内容に関して会社の経営陣の方などからの反論等があれば受け付けておりますので、TwitterのDMからお願いします。

3.実務未経験でエンジニアになりたい人たちはどうすべきか

3-1.企業が駆け出しエンジニアを雇いたくない理由

以下では、上のシミュレーションの内容が正しいという前提で話を進めていきます。
上のシミュレーションから考えてみると、エンジニア不足という状況にも関わらず企業が駆け出しエンジニアをあまり採用したがらない理由としては以下のような理由を考えました。
・駆け出しエンジニアの育成にコストがかかるから
・実務未経験から育てたエンジニアがすぐに辞めてしまい、投資した資金を回収できない場合があるから

・駆け出しエンジニアの育成にコストがかかるから

特にベンチャー企業は体力があまりないため、このようなコストを避けたいところが多いと思われます。

・実務未経験から育てたエンジニアがすぐに辞めてしまい、投資した資金を回収できない場合があるから

駆け出しエンジニアを雇う企業にとって一番大きな問題がこの点であると私は考えています。駆け出しエンジニアを雇うことで多少コストがかかったとしても後でそのコストを回収してプラスにできる可能性が高いなら喜んで駆け出しエンジニアを雇う企業も多いと考えています。

しかし、実際はそうではなく育成してエンジニアが一人前になったらすぐに辞めてしまい、結果として駆け出しエンジニアを育成した会社が損失を被っている場合も多いのではないかと思います。上のシミュレーションだと駆け出しエンジニアが一人前のエンジニアになった時点(1年後)で辞めてしまった場合、会社は500万円の損失を出してしまいます。
自分を一人前のエンジニアにして市場価値を高めてくれた会社に対して多額の損失を出させてしまうのはあまりにも不義理ではないでしょうか。
(例外としてパワハラを受けていたり、自分の市場価値が全く上がらない雑務ばかりをさせられていたりする場合などはすぐに辞めた方がいいと思います)

3-2.駆け出しエンジニアがすぐに辞めることによる悪循環

エンジニアとして最初に入った企業を1年程度で辞めることを推奨している発信者もいますが、それは物事を短期的、一面的にしか捉えられていないと思います。駆け出しエンジニアが1年で辞めると育成してもらえた本人は最速で成長できるかもしれませんが、IT業界全体で考えると自分たちの首をしめることになりかねないと考えています。

駆け出しエンジニアがみんな1年で辞めてしまうと以下のような悪循環に陥ると私は考えています。

駆け出しエンジニアがみんな1年で辞めてしまう
→駆け出しエンジニアを育てた企業が損失を被る
→損失を被った企業が駆け出しエンジニアを育てることをやめてしまう
→新規でエンジニアになる人が減る
→エンジニア不足がさらに深刻になる(*)
→現場が炎上する
→炎上した現場を嫌ってエンジニアを辞める人が増える
→(以下、*に戻ってループ)

このような悪循環に陥らないようにするためにも企業が駆け出しエンジニアに投資した資金を回収し、駆け出しエンジニアを雇ったことが企業にとってプラスになるまでは育成してくれた会社で働き続けるべきだと思います。

結論

エンジニア不足が今後さらに悪化すると予想されている中で駆け出しエンジニアを育ててくれる企業を極力増やすためにも駆け出しエンジニアを雇ったことが企業にとってプラスになるよう最低3年間は最初の企業で働くとよいと思います。また、企業で働くにあたって企業が駆け出しエンジニアに投資した金額以上の利益を企業にお返しすることを意識して働くとよいのではないかと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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