はじめに
マナビDX QUEST※の経験者の方ならわかる「企業協働」
企業協働のリーダーとして活動した経験(AI QUEST※※2021) や
こちらの企業側の準備(企業組成)に修了生のご縁で参加した経験や
本業の社内でも業務をだれでもわかるように標準化したり、自動化のために
業務フローを作成する、また出張時海外の同僚の作成した業務フローなどを見る機会があったときに、業務フローの作り方って意外にわかっているようでわかっていないと感じました。
また業務のデジタル化、自動化を考える上で業務フローは動くべき方向を
指し示す”地図”になるとも思います。
そこで本資料では簡単にではありますが「業務フローの作り方」について
あくまで「我流」の方法であり、常道では無いですがまとめてみました。
注釈:本投稿は10/26に実施されたI・TOP横浜さんのDX・データ活用セミナーで当方が登壇した原稿からの掲載になります。
※マナビDX Quest:経済産業省が実施する、デジタル推進人材育成プログラムのこと。
(https://dxq.manabi-dx.ipa.go.jp/)
※※AI QUEST:マナビDX Questの前身事業
(https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/manabi-dx-quest.html)
作業手順
①関係部門、関係者、各タスクを洗い出す
まず、関係している部門、関係者、各タスク(作業)を聞き出し書き出してみる。
下図のような大きな流れ、
下表のような細かなタスクなど
鳥の目、虫の目両方から洗い出しを進めてみる。
②タスクの分類と並び替え
聞き出したタスク(作業)を部門や関係者に分類。更には全体の時系列上どういう位置付けになるか
まずは箇条書き的にまとめてみる。
その際には部門や関係者、作業順などで並び変えてみることも
漏れや抜け、聞き間違いなどを防ぐのに有効である。
注意点:タスクとして書かれた文章の粒度に注意
・1タスクとして記載した文章が複数の部門の立場で書いてあったり
(例:メールの送信と受信がひとまとめに書かれている)
・複数のタスクが一つの文章として書かれている
などしていると後日の作業標準化や自動化プログラムの作成などでうまく業務が説明できなくなる。
できれば全く内容を知らない子供(職業経験をすることのある中学2年生程度を想定)でも分かる程度のステップバイステップの記載が望ましい。
特に熟練した人にとってはまどろっこしくて、端折りがちになるので
ヒアリングや、作成時に注意すること。
③スイムレーンの作成
ヒアリングした部門、関係者を作業の流れ・時系列順にならべて
スイムレーンを作成する。
スイムレーン (Swimlane)
プロセスを1つのプールに例えた場合、作業の役割を担う機能/組織グループごとに専用レーンで仕切る可視化表現手法。
一般的に役割(ロール)がこのレーンに割り当てられる。
https://www.bpm-j.org/keyword/s/544/
④タスクの配置
作成したスイムレーンに、各部門、担当者ごとにタスクを実施順に配置する。
もちろん作りながら
例えばデータの保管先としてのDBをレーンとして作るべき?だったり
配置していく中でタスクが抜けてるような場所は仮に一般的に想定されるタスクやレーンをはめ込んで、まずはすんなりいくようにしてみる。
⑤流れの記入
配置したタスクをつなげ、流れに違和感が無いかチェック
こちらも流れをつなぐ中で流れがすんなりいかなかったり何か足りないなって思う場合、④と同じくタスクを足してみたりレーンを増やしたり、流れを変えてみたりしてみる。
注意:多くの分岐のある判断に注意
一つの判断部分で多くの選択肢がある際には
本当に一回の判断で、分岐しているのか?
それとも複数段階の判断を行っていないか?(端折っていないか)に注意すること
(3つ以上の分岐の場合は注意してみること)
⑥作った「たたき台」をもとに再ヒアリング
たたき台が持つ、誤った解釈や、補足したりしたタスクやレーンの妥当性を
確認、修正していく。
ただ怖いのは形があるものができてしまうと「これが正しい」と思い込んでしまう危険性があるので 「たたき台」 であることを理解しておきましょう。
⑦話し合いをしながら修正していく
ラフでも形があってそれをもとに話をすると、
より明確にわかってくることがお分かりになると思いますが、
業務フローで同じで、さらに業務フローの妥当性を上げるためにも、関係者とさらに話を続けていくことをおすすめします。
⑧作った業務フロー(地図)を使っての探索
ここまでの手順を経て、相互に十分と思った業務フローを見てみると、情報や物の流れが滞っているような場所が見えてくるのはないでしょうか?
そういったところに、地図にマーキングするようにどういった問題があるのか?どういった改善ができそうか?など書き込んでいき、今後の調査や検討の方向が見えていくると思います。
対象は?
最後にどの程度の業務のパターン、例えばすべての顧客の発注から発送までの一連の流れを業務フローにすべきかのか?という対象の問題ですが業務には例外も多く、これをすべてフローにするのはフローが複雑になる、作れなくなる原因になります。
パレートの法則ではないですが、最大でも金額や作業量などで8割程度をカバーするケースなどを対応すればよいと思っています。
パレートの法則であれば8割の売り上げは2割の商品がカバーしているような状態であり、
後の8割の商品の例外的な対応を追いかけても、売り上げの2割をカバーするだけであり、最初の着手点としてはそこまで追うのは複雑になりすぎたり、作業量が増えるだけで、よろしくないと思います。
ただどの点を基準にすべきか、売り上げなのか?品目数なのか?この辺の仮定はしっかり考えないとうまくいかないので重要と考えます。
補足 登壇時質問と回答
質問(聴衆の方より)
各部署へのヒアリングはアポをとって行っているのでしょうか?
また、ヒアリングのときに確認することや注意している点はありますでしょうか?
回答(当方回答)
経験としては、代表者の方に聞いたので個々の部門に聞いたわけでは無いのですが
確かに各部門に聞くとするとアポをとって聞きに行くということになると思います。
ただ逆に、「こういったフローじゃないですか?」とたたき台を提示し、
それに指摘をしてもらう方が頭の中で理解されているフローを言葉にするのは難しい部分があるので、まず各部門に何も持たずにヒアリングするより良いかな?と思います。
(もちろん何も聞かないとたたき台も作れないという部分はあると思いますのでケースバイケースや部門によるかと思っています。)
参考/リンク
NTT東日本さまHP
【図解】業務プロセスとは|可視化から効果的な改善方法まで明瞭解説
https://business.ntt-east.co.jp/service/coworkstorage/column/gyoumu_process/index.html
NTTコミュニケーションズさまHP
若手プログラマー保存版!フローチャート徹底解説と作成カンニングペーパー https://www.ntt.com/business/sdpf/knowledge/archive_47.html
note 岩澤 樹/NPO業務Hack さん
スイムレーンって何?
https://note.com/iitsuki/n/n37df580a61c4