NGSデータのマッピングとデータ処理のための汎用スクリプト
次世代シーケンシング(NGS)データの処理は、ゲノム解析の重要なステップです。ここでは、Minimap2とSAMtoolsを使用してNGSデータのマッピングとデータ処理を行うための汎用スクリプトを紹介します。
背景
NGS技術は、短時間で大量のデータを生成するため、データ処理の効率化が求められます。Minimap2は、高速かつ正確なリードマッピングツールとして広く使用されており、SAMtoolsはSAM/BAMファイルの操作に便利なツールです。本スクリプトでは、これらのツールを組み合わせて、効率的なデータ処理を実現します。
使用ツール
本スクリプトでは以下のツールを使用します:
- Minimap2 - 高速かつ正確なリードマッピングツール
- SAMtools - SAM/BAMファイルの操作ツール
これらのツールは、以下のコマンドでConda経由でインストールできます:
$ conda create -n mapping_env
$ conda activate mapping_env
$ conda install -c bioconda minimap2 samtools
スクリプト
以下に、Minimap2とSAMtoolsを使用した汎用スクリプトを示します。
#!/bin/bash
# ログファイルの設定
LOGFILE="path/to/mapping.log"
# Minimap2を使用したマッピングとSAMtoolsの処理をバックグラウンドで実行し、ログファイルに記録
{
echo "Indexing reference genome with minimap2"
minimap2 -d path/to/consensus.mmi path/to/consensus.fasta
echo "Mapping reads with minimap2"
minimap2 -ax sr path/to/consensus.mmi path/to/sample_R1.fastq.gz path/to/sample_R2.fastq.gz > path/to/mapped.sam
echo "Converting SAM to BAM"
samtools view -S -b path/to/mapped.sam > path/to/mapped.bam
echo "Sorting and indexing BAM"
samtools sort path/to/mapped.bam -o path/to/sorted.bam
samtools index path/to/sorted.bam
echo "Getting read counts for BAM"
samtools idxstats path/to/sorted.bam > path/to/idxstats.txt
echo "All tasks completed"
} &> $LOGFILE &
echo "Script is running in the background. Check the log file for details: $LOGFILE"
スクリプトの簡単な説明と使用方法
このスクリプトは、以下の手順でNGSデータのマッピングとデータ処理を行います:
- 参照ゲノムのインデックス作成(Minimap2)
- リードデータの参照ゲノムへのマッピング(Minimap2)
- SAMファイルをBAMファイルに変換(SAMtools)
- BAMファイルのソートとインデックス作成(SAMtools)
- BAMファイルのリードカウント取得(SAMtools)
スクリプトを実行するには、必要なファイルパスを適切に置き換えた後、以下のコマンドを実行します:
$ bash path/to/run_mapping.sh
スクリプトはバックグラウンドで実行され、進捗状況はログファイルに記録されます。
出力ファイルの例と見方
スクリプトの実行後、以下の出力ファイルが生成されます:
-
mapped.sam
- マッピング結果のSAMファイル -
mapped.bam
- SAMファイルをBAM形式に変換したもの -
sorted.bam
- ソートおよびインデックス付けされたBAMファイル -
idxstats.txt
- BAMファイルのリードカウント情報
例えば、idxstats.txt
の内容は以下のようになります:
seq1 50000 12345 6789
seq2 60000 23456 7890
...
各行は以下の情報を含みます:
-
seq1
- シーケンス名 -
50000
- シーケンスの長さ -
12345
- マッピングされたリード数 -
6789
- マッピングされなかったリード数
このようにして、マッピングおよびデータ処理結果を詳細に確認することができます。
まとめ
本記事では、NGSデータのマッピングとデータ処理のための汎用スクリプトを紹介しました。このスクリプトを利用することで、Minimap2とSAMtoolsを効果的に活用し、効率的なデータ解析が可能となります。是非、あなたのプロジェクトにも活用してみてください。