業務改善をやる機会が多いので、備忘録として、本記事を書いています。
品質マニュアル、規定、標準(手順書)の関係
標準、フォーマットに対する要求事項
作業者にヒアリングした結果、↓の意見を多く頂きました。
- 読むべき標準がわからない。
- 標準を読みたくない。
- 標準を読む時間がない。
- 読んでも、作業内容がわからない。
- 読んでも、該当する作業がない。
- フォーマットがない場合、文書作成、審査に手間がかかる。
- フォーマットに重複があり、何回も同じことを記載している。作成も改版も手間がかかる。
上記の意見の背景や原因(=要求事項) は、↓
- 規定・標準が多すぎて、自部署が関係する規定・標準が把握できていなかった。
- 他部署の標準に自部署の業務が記載されている場合、把握できていないかった。
- 標準が別の標準を参照しており、複数の標準を読まなければ作業できない状態だった。
- 冗長的だったり、細かかったり、無駄な記載が多かった。
- 法律・規格の内容が転記してあるだけで、作業内容があいまいだった。
- 似たような言葉が使われており、理解しづらかった。(要求事項、要求仕様、仕様など)
- ある作業パターンの記載がヌケていた。
- 標準に「〇〇文書には、~~などを記載」と書いてあるが、フォーマットはなかった。
- フォーマットがなく、作業者はレイアウト、記載内容を考えながら作成しなければならなかった。(記載ヌケ・モレのリスク)
- フォーマットがなく、作業者が自由に記述しているため、審査者の負担が大きかった。(作成者によってレイアウトが異なる、ヌケ・モレ確認など)
- 記載の重複があり、転記したり、連動改版が必要な状態だった。(不整合、改版忘れのリスク)
標準作成のポイント
上記の要求事項を、満たすように作成ポイントを考えてみました。
- 目的、適用範囲、責任、定義、概要、手順、改訂履歴を記載。
- 標準+OJTで作業できるレベルで作成。
- 見れば作業できるレベルだと改版頻度が多くなる。(共有マニュアルか個人メモに記載)
- 概要には、作業内容、作業者、成果物、タイミングを明記。(フローチャートまたは表が望ましい)
- 手順を設定した経緯は記載しない。
- 標準が長くなる。
- 作業内容がわかりにくくなる。
- 経緯を残す文書は、改善に役立つため、別途用意する。(共有マニュアルか個人メモに記載するなど)
- 『〇〇書には、以下の内容を記載する。』は、記述しない。
- フォーマットを作成し、手順書は『〇〇書を作成』と記述。
- 標準が長くなる。
- フリーフォーマットは作成者、審査者の負担になる。
- 以下のような混同されやすい用語、人によって解釈が異なる用語は、使う用語を選択し、定義に記載。
- 品質マニュアル、規定、規則、標準、手順書、マニュアル、作業標準
- 様式、フォーマット、テンプレート
- フェーズ、プロセス、アクティビティ、タスク
- イベント、マイルストーン、ゲート、レビュー
- 要求事項、要求仕様、仕様、設計仕様
- 原理設計、機構設計、システム設計、外部設計、内部設計、基本設計、詳細設計
- 検討、検証、試験、検査、動作確認、妥当性確認
フォーマット作成のポイント
- 法律・規格の文書化要求は必ず入れる。
- 自由記載は極力避ける。
- 人によって記載が変わるため、審査しにくい。
- ヌケ・モレの原因になる。
- フリーフォーマットは作成者、審査者の負担になる。
- フォーマット間の重複はできる限り減らす。
- 記載する場合、どちらかの文書を参照にする。
- フォーマットを見れば記載内容がわかり、標準や手順書を見なくて済むように作成。
- フォーマットの内容をデータベースに登録できるようにすると効率化しやすい。
- テーブル形式で記載など
- フォーマットを利用する人に必要な情報が含まれていること。
- 作成者が、作成しやすいか検討。
- 文書を閲覧者(審査・承認者、他部門、監査員、顧客、エンドユーザーなど)に必要な情報はあるか。
監査対策
- 標準、手順書までは監査員が閲覧。
- 共有マニュアル、作業メモは見せない。
- 実務レベルなので改版頻度が多く指摘されやすい。
- 作業メモ、共有マニュアルのフォーマットには様式番号を振らない。(監査員に存在を悟らせない)
- 監査員は、規定、標準を確認後、それに従った作業成果物の提出を求める。つまり、すべての規定・標準の成果物である文書リストを作成しておくと監査が楽になる。また、その文書リストでプロジェクトの進捗管理などが可能になる。
業務改善、システム開発・導入するために意識すること
- 業務を見える化しておく(フローチャートなど)
- 作業のインプット情報、作業者、作業内容、成果物(アウトプット)を明確にする。
- 成果物が次の工程で、誰が、どのように利用するか考える。
- フローチャートの判断作業は、データベースを作っておくと効率化される。
- 経験に基づいて判断されることが多いため、データベースが有効的。
- フォーマットからデータベースに登録できるようにする。
- 業務改善→システム開発・導入が効率的かつ形骸化しない。