はじめに
DXという流行りもあり昨今では様々な場面でシステム導入が進んでいる。
システム導入を進める理由や目的は様々だが、企業がシステムを導入する目的は「業務効率を上げる」という目的がかなり多いように感じる。
ただ、本当にシステムの導入は業務効率を上げるのか?
この点について考えてみたい。
システム導入の目的
一般的にシステム導入はどのような目的で行われるのだろうか?
JUAS(日本情報システム・ユーザー協会)の企業IT動向調査報告書 2024に約1,000社のアンケート結果がまとめられている。
これによると、企業規模や業種で違いはあるものの短期経営課題、長期経営課題いずれにおいても「業務プロセスの効率化」が最も多くの割合を示している。
何故システム導入は業務プロセスを効率化するのか?
一般にシステム導入により業務が効率化されるイメージは多くの人が持っていると思う。
ただ、実際にはどういったロジックで効率化されるのだろうか?
これは体系だったドキュメントが見つからなかったのでchatGPTに聞いてみた。
No | 観点 | 根拠 |
---|---|---|
1 | 業務の自動化 | 手作業よりシステムの方が早い |
2 | 業務の標準化 | 品質の高い最適なプロセスで業務遂行できる |
3 | データの一元管理 | 探す手間の削減やデータ不整合による手間防止 |
4 | ミス防止 | システムで間違った進め方にチェックがかかる |
5 | 業務可視化と改善 | データ集計が用意になり分析しやすくなる |
このように見ると、1の自動化はシステム自体が効率化をもたらすという観点だが、それ以外はシステムにより業務が変わり結果として効率化をもたらすという観点である。
後者の観点を逆に言うと業務が変わらないとシステムを入れても効率化されないということだ。
システムは本当に自動で動くのか?
それではシステム自体が自動化により効率化をもたらすとして、そもそもシステムは本当に自動で動くのか?
実際は、システムは命令を出さなければ動かず、命令の元となるデータが無ければ動かない。
そのためユーザーには自動で動いているように見えてるが、背後ではSEが命令を設計しスタッフがマスターデータを事前に入力して動いているに過ぎない。
結果として、ユーザー部門の業務をシステム、システム部門、スタッフ部門が肩代わりしてユーザーの業務は効率化されている。
これ自体は一般的なシステムの構図だが、個別ロジックが増えるとどうなるか?
SEが設計すべき命令は分岐が増え複雑になり、複雑な設計に耐える為スタッフがマスターを追加する。
ユーザー業務は効率化している代わりにSEやスタッフの負荷は上がっている。
結果的に、会社全体の業務としてはあまり効率化されていない状態になる。
結論
業務の効率化を目的にシステム導入されることは多い。
実際にはいくらシステムを入れても業務が変わらないと効率化はされない。
システムの導入をするなら業務の標準化と業務設計を行い、それを継続的に改善するプロセスも同時に稼働して初めて効率化される。
あとがき
ここまでシステム導入と並行して業務の変革する重要性の話をした。
ただ、現実にシステム導入と業務設計、改善プロセスを一緒に考えて導入するのはかなりハードルが高いとは思う。実際とりあえずシステムを業務に合わせて入れた後に、後から改善していくことだって多々ある。
何よりシステム導入は分かりやすくてカッコいいので業務フロー書いて設計してるより楽しい。なのでみんなのモチベーションになるのだ。
大事なのはシステムと同時に業務を標準化し変えていく重要性を常に認識し、実際に変えていく人と共にシステムを運営することで、それこそが効率化を生むのだと思う。