リブセンス アドベントカレンダー12日目です。
表題の通り、ピープルウエアの輪読会を通してトム・デマルコ先生の言葉の言い回しに魅了されました。
ピープルウエア、という本について感想をまとめつつ、心に残ったデマルコ節を書きたいと思います。
読もうと思っている人の参考になれば幸いです。
ピープルウエアとは
ピープルウエアはトム・デマルコ、ティモシー・リスターの著書のタイトルです。
プロジェクトの失敗の原因について、考えていた両名が
「どうも、システムの仕事での大きな問題は、技術的なものというよりも、社会学的なもんもなんじゃないかな」
という発想に至り、その仮説の検証や二人の経験をマネジメントや組織文化の問題と原因を紐付けてまとめてくれている書籍です。
どんな本なの
直接的なエンジニアリングに関する書籍ではないです。
ですが、立場関係なく一度読んでみても面白い本だと思います。
組織運営のおいて望ましいこと、より良くしたい時の指針が載っているタイプの書籍で一見マネジメント層向けの書籍に思えるのですが、会社の属する以上、組織やチームに属することになるのでそれらを見るときの視野を広げることができるので非マネジメント職の方にもおすすめです。
また、人と意見を交わしつつ読むのもおすすめです。
今回、私は同僚にお声掛けいただき、ピープルウエアを読み進めて意見を交わす、いわゆる輪読をしました。
同僚はマネージャー寄りで、自分はプレイヤーであることから読んだ結果の感想も変わってくる状態で意見を交わすのがとても楽しかったです。
デマルコ節って?
オリジナル語です。輪読してた私ともう一人の間ではピープルウエアに出てくるユニークな言葉をこう呼んでいました。
ピープルウエアはとても勉強になる本です。
しかも、ただ勉強になるだけじゃなく本の随所に出てくる独特な言い回しが印象深く、記憶に刻み込まれます。
共同著書だから厳密にはそうじゃないのかもしれないですが、ここではデマルコ節で強行します。
デマルコ節を抜粋してご紹介
そんなデマルコ節で私が特にグッときたものを少し紹介させてください。
ページも載せますが、私が読んでいるのは第3版なので他の版では変わるかもしれません。
p.110 屍を支える仕事は人に満足を与えない
多くの手が支えようとするから、屍はすぐには倒れないが、屍を支える仕事は人に満足を与えない
特に大きな理由もなく、社員に画一性を求める文化についてばっさりと切り捨てる一文です。
例では服装規定が挙げられており、そういった画一性が定まり過ぎていることで従順であることが評価されて本当の自分を見てもらえないことに憤りを覚える人材は去ってしまう、とのことです。
どうやら服装規定はピープルウエア的には末期症状らしく、この状態の会社のことを「屍」と表していました。
p.136 最悪のクソ野郎である
これは専門用語を使うなら、最悪のクソ野郎である
専門用語#とは。
会社の移転に伴う弊害、という章の一文です。
他の著書の文を大胆に引用した直後にこの一文です。
ただ、実際に例に挙げられている移転の仕方については同ページで解説されている通り、あまりにも見落としが多く、社員に強いるものが多すぎるものの例として挙げられていました。
移転を続けて、社員の質を上げていく、という首を傾げてしまいそうな手法についての話なのでこれは確かに専門用語を行使したくなるのかもしれません。
それはそうと弊社も近々移転です。今後ともよろしくお願いいたします。
p.226 それほど多くないはずだ~~~せいぜい90%程度のものだろう
こんな政治的な理由で、早期に過剰人員を投入するプロジェクトはどれくらいあるろうか?それほど多くはないはずだ。全てのプロジェクトのうち、せいぜい90%程度のものだろう
早期の過剰人員投入について繰り出されたシニカルな一文です。
設計→開発という流れの中で設計の段階で多くの人員がいることはあまり意味をなさないが
マネジメントとして早期人員投入が決定されてしまうことは、せいぜい9割くらいらしいです。
ピープルウエアでは、知的労働者の仕事を従来のマネジメントと同じように仕事をマニュアル化し、人員を代替可能なものと考えるやり方をNGとしています。
なのに、上記のような人を増やそう、という発想が先行してしまうことに憤りを感じているのかもしれません。
ただ、ここに関しては輪読をする過程で当時の開発体制と今の体制は違いもあるため全てを鵜呑みにするのも違うのかもしれない、という意見もあり別の意味でも楽しめたページでした。
終わりに
ピープルウエアは私が初めてデマルコ先生と出会った本でした。
こんなに衝撃を受けた本は初めてだと思います。
また、Twitterにトム・デマルコBotなるものがあることを知りました。
https://twitter.com/demarco_bot_jp
次は「熊とワルツを」を読もうと思っています。