前回のあらすじ
ライブに行って,演者が手を振ったりするファンサービス(以下ファンサ)に関して,
1度でどれくらいの範囲まで届くのかを知りたくてファンサが当たるとは何かを分析した.
前回,早朝に成人男性が公園に行ってファンサを行う映像を収録した.
今回はそのファンサ映像に対して,前処理としてffmpegを用いて分割を行い,
それぞれの動画に対してファンサが当たったかどうかのラベルを付与する.
概要
前回収録した,ファンサ動画に関して当たったかどうかのラベルを付与する.
収録した動画は,以下のような形でファンサが撮影されている.
パラメータ | 値 | 備考 |
---|---|---|
演者からカメラまでの距離(m) | 6, 18 (2種) |
時間の都合上,2種になった. |
ファンサの角度(°) | 45,35,25,15,10,5,0,-5,-10,-15,-25,-35,-45 (13種) |
演者からカメラの方向を0とする |
ファンサの種類 | 手を振る,指をさす,投げキッス (3種) |
可能な限り笑顔で |
録画は1ファンサ1本という状態ではなく,演者からカメラまでの距離に対して1本の動画になっている.
評価時には状況をランダムにして視聴するために,
前処理として,動画をシチュエーションごとに分割する.
動画の分割処理をした後に,動画を視聴し当たったかどうかのラベルを付与する.
ラベル付けまでの手順
前処理:動画を分割する
まずは動画を分割するために,ffmpegを利用する.
windowsのデフォルトソフトや,動画編集ソフトを利用しない理由は,
とにかく簡易的で手っ取り早いからである.
win10環境だとcmdのコマンドとして利用できる.
ffmpeg -i C0030.MP4 -ss 00:00:02 -t 00:00:10 -c:v copy -c:a aac -strict experimental cut.mp4
-i ファイル名
は入力ファイルの指定
-ss 時間指定
は切り出す開始時刻
-t 時間指定
は動画の継続時間
-c:v copy
は再エンコードしない設定.この設定を入れると処理が早く終わる.
-c:a aac
はオーディオコーデックの形式変更.デフォルトだと出力時の形式と異なるため使えないというエラーが出たため追記している.
前処理の段階で気づいたが,6の-15°に関するファンサデータは,ピントがあっておらず今回は使用しないこととした.
視聴準備:ランダムで動画を表示する
ビデオプレイヤーのデフォルト機能のランダム再生を使えば,ランダムで再生できるものの視聴してラベルが付いた動画が何かわからなくなってしまう.
そこで,ランダムに再生するプレイリストを作成して,それを順番通りに再生する形式をとる.
すると,シャッフルされたプレイリストが作成できる.
評価時はこれを順番に視聴する形で評価を行う.
ラベル付け:動画を視聴する
ファンサ動画を視聴して当たったかどうかのラベル付けをする.ラベルは,1~4のリッカート尺度を利用する.
1が「当たっていない」
2が「どちらかと言えば当たっていない」
3が「どちらかと言えば当たっている」
4が「当たっている」
入力は,エクセルシートを利用する.
評価欄が空白の際は赤字で強調することで,入力ミスを減らすことができる.
また.評価者はいつでも評価値を参照できるように,評価指標を必ず見れるようにする.
動画を視聴して評価をする以上,一時停止をすると評価の公平性が失われるため紙でも記述できるようにしておく.
結果,75のファンサ動画に対して当たったかどうかのラベルが付与された.
まとめ
ライブでのファンサービス評価手法について詳しく紹介している.
前回の実験映像を基に,今回はファンサが届いたかどうかを評価する手順をまとめた.
動画はシチュエーションごとに分割し,ラベルを付与する手法を用いた.
評価者はランダムに映像を見ながら,ファンサが当たったかどうかの評価を行うことで,
75本のファンサ動画に対してラベルが付いた.
次回は,付与された当たり判定の情報を可視化する.