はじめに
だいたいタイトルに詰め込みましたが、より具体的にはこういう構成です。
- ローカル開発
- docker-composeでRailsとDBを立ち上げて開発
- CircleCI
- docker-composeでローカルと同じ構成でのテスト
- deploy
- masterブランチをpushするとCircleCIがテスト後にHerokuへ自動でdeploy
- Heroku
- Railsが動くdockerコンテナがそのままdeployされる
特筆すべきはCircleCI上でdocker-composeを使っているところです。
これによりローカル開発と差が無い環境でCIを回すことができ、CircleCI用のDBを設定するなどのCIに依存した設定をする必要がなくなります。
今回使用したdockerとRailsの構成はほぼdocker公式のサンプルを紹介しているドキュメントのままです。
ただ何も変えていないのもつまらなすぎるかなと思い、Railsでuserというモデルだけscaffoldしてあります。
https://docs.docker.com/compose/rails/
実際にできあがったリポジトリはこちら
https://github.com/Kesin11/docker_rails_sample
Dockerfile
FROM ruby:2.3.3
RUN apt-get update -qq && apt-get install -y build-essential libpq-dev nodejs
RUN mkdir /myapp
WORKDIR /myapp
ADD Gemfile /myapp/Gemfile
ADD Gemfile.lock /myapp/Gemfile.lock
RUN bundle install
COPY . /myapp
CMD ["rails", "server", "-b", "0.0.0.0"]
この記事を書いてる時点(2017/10/21)で既にRuby 2.3.3とRails 5.0.0.1は若干バージョンが古いですが、公式ドキュメントがそのバージョンだったのでそのままにしてあります。
特筆するところは特にない最小構成となっており、最後の. /myapp
をADD
からCOPY
に変更したのと、最後のCMD
を追加した以外は公式ドキュメントのままです。
Herokuにdeployされた後、Railsを起動する必要があるのでCMD
を追加してあります。
最小構成のDockerfileでは足りないという場合は、探せばRailsのためのDockerfileはいくらでも見つかるので必要に応じてカスタムしていきましょう。
docker-compose.yml
version: '3'
services:
db:
image: postgres:9.6
ports:
- '5432:5432'
volumes:
- postgresql-data:/var/lib/postgresql/data
web:
build: .
command: bundle exec rails s -p 3000 -b '0.0.0.0'
volumes:
- .:/myapp
ports:
- "3000:3000"
depends_on:
- db
volumes:
postgresql-data:
driver: local
主にローカルの開発が便利になるようにdocker公式ドキュメントからpostgresqlの設定を少し変更しています。
DBのバージョンは固定しておきたいのでpostgres:9.6に変更。
開発中はpostgresqlに接続して中身を確認したいのでローカルから接続できるようにports
を追加。
公式のままだとdocker-compose down
で終了するたびにDBの中身が消えてしまうのでvolumes
を使ってローカルに永続化します。
docker-compose up
でDBとRailsが立ち上がるので後はローカルで開発するのとほぼ変わらずに開発することができます。
CircleCI 2.0
今回のメインとも言える部分です。
version: 2
jobs:
build:
machine:
image: circleci/classic:edge
steps:
- checkout
- run:
name: docker-compose build
command: docker-compose build
- run:
name: docker-compose up
command: docker-compose up -d
- run:
name: sleep for waiting launch db
command: sleep 1
- run:
name: "before_test: setup db"
command: docker-compose run web rails db:create db:migrate
- run:
name: test
command: docker-compose run web rails test
- run:
name: docker-compose down
command: docker-compose down
deploy:
machine:
image: circleci/classic:edge
steps:
- checkout
# see: https://devcenter.heroku.com/articles/container-registry-and-runtime#using-a-ci-cd-platform
- run:
name: "build docker image"
command: docker build --rm=false -t registry.heroku.com/${HEROKU_APP_NAME}/web .
- run:
name: setup heroku command
command: bash .circleci/setup_heroku.sh
- run:
name: heroku maintenance on
command: heroku maintenance:on --app ${HEROKU_APP_NAME}
- run:
# HEROKU_AUTH_TOKEN is generated by `heroku auth:token`
name: "push container to registry.heroku.com"
command: |
docker login --username=_ --password=$HEROKU_AUTH_TOKEN registry.heroku.com
docker push registry.heroku.com/${HEROKU_APP_NAME}/web
- run:
name: heroku db migrate
command: heroku run rails db:migrate --app ${HEROKU_APP_NAME}
- run:
name: heroku maintenance off
command: heroku maintenance:off --app ${HEROKU_APP_NAME}
workflows:
version: 2
build_and_deploy:
jobs:
- build
- deploy:
requires:
- build
filters:
branches:
only: master
ビルド・テスト
CircleCIではテストを実行する環境として任意のdockerイメージを複数指定することが可能なので、今回のようなRailsアプリならrubyとpostgresなどのdockerイメージを一緒に立ち上げればdocker-compose.ymlで設定したのと似たような環境を作ることは可能です。
ruby+postgresのCircleCI公式のサンプルリポジトリ
ですがdocker-compose.ymlで設定したのと同じような設定を今度はCircleCIのyamlで書き直すことになり、dockerの設定を2重に管理することとなるためできれば避けたいです。
CircleCI上でdocker-composeが動いてくれれば全て解決なのに・・・ということはCircleCIも分かっているようでちゃんとドキュメントがあります
https://circleci.com/docs/2.0/docker-compose/
最初に目に留まるサンプルコードがdocker-composeを自分でインストールするという方法なので面倒くさそうな雰囲気なのですが、下の方まで読むとどうやらmachine
を使えば最初からdocker-composeが使えるらしいということが書いてあります。
このmachine
が何者なのかというと、これはCircleCIの環境をdockerではなくて従来の1.0と同様に仮想マシンで動かすためのパラメータです。
https://circleci.com/docs/2.0/executor-types/#using-machine
つまり仮想マシンならdocker-composeが既にインストール済みなので自分で何もしなくても最初から使えるというわけです。
ちなみに仮想マシンのdockerのバージョンはちょっと古めなようなので、ローカル開発のdockerとバージョン違いで問題が出ないようにmachine: true
ではなくて
machine:
image: circleci/classic:edge
とすることで最新バージョンの仮想マシンを指定しています。
docker-composeさえ使えてしまえば、あとはローカル開発と同じようにdocker-composeを使ってビルドしてDBをセットアップし、rails test
が実行できます。
deploy
dockerが出始めの頃、Herokuはまだdockerコンテナを動かすことはできませんでしたが、素晴らしいことに現在ではbuildpackの代わりにdockerコンテナをそのまま動かすことができます
https://devcenter.heroku.com/articles/container-registry-and-runtime
ただし、ドキュメントの下の方のKnown issuses and limitationsに書かれているようにHerokuにはコンテナをビルドする機能が無いです。
なのでCircleCIにコンテナをビルドさせましょう。ビルド後はHerokuのドキュメント通りにdocker push
でHerokuにコンテナをdeployすることができます。
コンテナのdeployはこれで完了なのですが、Railsアプリの場合はDBのマイグレーションが必要です。これもCircleCIで行わせたい。
CircleCI 1.0のときはheroku
コマンドがそのまま使えたのですが、残念ながら2.0では標準機能としてサポートはされていません。
ですが、CircleCIのドキュメントにheroku
コマンドを使う方法のサンプル1があるので今回はこれを使わせていただきました。
手順が多いので.circleci/setup_heroku.sh
というファイルに分割しています。
これでheroku
コマンドが使えるのでrails db:migrate
などdeployの前後に必要な処理を書いてCircleCIでdeployも完結させることができました。
リポジトリのREADME.mdに書いてありますが、HEROKU_APP_NAME
やHEROKU_AUTH_TOKEN
は各自の設定をCircleCIのサイトから設定してください。
Workflows
deployはmasterブランチのときだけ実行されてほしいので、2.0から導入されたWorkflows機能を使います。
今回は詳しく解説しませんが、buildのジョブが終わったあとにmasterブランチのときだけdeployのジョブが走るような設定になっています。
詳しくはCircleCIのドキュメント参照してください。
https://circleci.com/docs/2.0/workflows/#workflows-configuration-examples
https://circleci.com/docs/2.0/configuration-reference/#workflows
Heroku
本来はCircleCIの設定の前にHerokuでappを作っておく必要があるので順番が前後してしまっていますが、Heroku側の設定にも軽く触れておきます。
ローカルで開発が終わってdockerコンテナをビルドしたら以下のコマンドを実行します。
Herokuにアプリを作り、postgresqlアドオンの無料プランを接続してDBのセットアップをしています。
# dockerコンテナをdeployするためのプラグインをインストール
heroku plugins:install heroku-container-registry
# herokuのコンテナレジストリにログイン
heroku container:login
# 新しいappを作成
heroku create
# Railsが動く`web`のビルド済みdockerコンテナをdeploy
heroku container:push web
# postgresqlアドオンの無料プランを追加
heroku addons:create heroku-postgresql:hobby-dev
# DBセットアップ
heroku run rails db:migrate
# 実際にアクセスして/usersを確認してみる
heroku open
Herokuにdeployされたコンテナは起動するとDockerfileのCMD ["rails", "server", "-b", "0.0.0.0"]
が実行されます。
今回はサンプルなのでこのままにしてありますが、実際にはunicornなどに置き換えて運用することになるでしょう。
まとめ
ローカルではdocker-composeで開発、CircleCI上ではdocker-composeでローカルと同じ環境でテストを行い、そのコンテナをHerokuにdeployするというサンプルを紹介しました。
今回はサンプルということで可能な限りシンプルにすることを心がけました。そのためパッと思いつくような以下の問題は今回扱っていません。
- 今どきRailsでもReact使うのが普通なのでjsはどうする?
- CircleCIでテスト動かす前のセットアップだけで数分かかるのでキャッシュを使えないか?
- deploy時のアセット周りどうするのか
- HerokuでRAILS_ENV=productionになってないけど??
実際に運用に乗せるとなるとこのあたりの問題も解決する必要があると思いますが、プロダクトによって状況が異なるはずなので各自でいい感じに設定していきましょう。
-
docker-composeのサンプルコードと同じように自分で
heroku
コマンドのインストールから行うという・・・
https://circleci.com/docs/2.0/deployment_integrations/#heroku ↩