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ビジネスにとって意味のあるデータとは

Last updated at Posted at 2022-12-02

お久しぶりです、7年ぶりくらいにQiitaに投稿します。

現在はプログラマーではなく、経営コンサルタントとして経営戦略立案から新規事業開発支援までを担当しています。

新規事業開発でもデータの重要性は増してきており、データアナリストやデータサイエンティストからの意見や提案が求められるケースも多くあります。

本日は、経営者や事業責任者から見た「意味のあるデータ」を生み出すためにデータアナリストやデータサイエンティストが心がけてほしいポイントを3点共有します。

新規事業の概要 (例)

今回は次のような新規事業開発案件をイメージしてみます。

  • サービスは検討の末、ECサイトでセレクトショップを運営することが決定
  • コンセプトは検討段階だが、一旦は「とにかく安い」ことに仮決め
  • 新規事業のメンバーは以下の7名
    • プロジェクトリーダー (事業責任者) 1名
    • ビジネスコンサルタント 2名
    • フルスタックエンジニア 2名
    • UI/UXデザイナー 1名
    • データアナリスト/データサイエンティスト 1名
  • 現在は取扱商品を検討しつつ、コンセプトが実現できるか検証中
    • 検討初期段階のため、メンバー全員で検証

① 俯瞰的な視点

利益を確保するため、最初は原価率の低い商品を取り扱いということになった。
商品カテゴリ別の原価率を調べたところ以下のような状況と分かった。
以下商品カテゴリのうちどれを取り扱うべきか。

  1. トイレットペーパー 定価200円 (原価率10%)
  2. ディッシュペーパー 定価100円 (原価率20%)
  3. ボタン電池 定価100円 (原価率80%)
  4. 米 定価1,000円 (原価率50%)
  5. ...

※商品カテゴリ・定価・原価率はイメージです

ここは安直にトイレットペーパーを選びたいところだが、思わぬところで落とし穴がある。
今回はECサイトの経営とのことなので、購入者に対して商品を配送しなければならない。
トイレットペーパーは嵩張るため配送コストがかかり、原価率が低くても赤字になる可能性が高い。

このような商品カテゴリが候補リストに入り込むとノイズとなり、正しい意思決定が困難になる。
ビジネスプロセスの全体像を「俯瞰的な視点」で見た時に不足している観点がないかを考えられることが望ましい。

② Apple to Apple

商品カテゴリが決まり、具体的に取り扱う商品を検討するため、ポテトチップスを例にコンセプトである「とにかく安い」が実現できるか検証することになった。マーケットデータを収集したところ、4つの商品が出てきた。
以下商品のうちどれを取り扱うべきか。

  1. カ○ビーポテトチップス (うすしお味) 80g 150円
  2. カ○ビーポテトチップス (うすしお味) 150g 200円
  3. 湖○屋 ポテトチップス (うすしお味) 80g 100円
  4. カ○ビーポテトチップス (もも味) 80g 230円

※商品名・値段はイメージで実在する企業・商品とは一切関係ありません

勘の良い方はピンと来たかもしれないが、この4つの商品はいずれも取扱商品となりうる。

  1. 他メーカーである3を除けば最安値
  2. グラム単価で見れば最安値
  3. この4つの中では最安値
  4. もも味では最安値

どんな「最安値」を取り扱うかによって、上記1-4の正解が変わるので事前に条件を擦り合わせておくか、意思決定できるようにデータを整理しておく必要がある。

ビジネスの用語では「Apple to Apple」というものがあり、「同一条件で比較」できているかという意味である。

意思決定する上では「同一条件で比較」されていることが非常に重要であり、データ項目も条件に従って選択されていることが望ましい。

③ 意思決定に本当に必要なデータ

サービスのコンセプトに見直しが入り、「とにかく安い」だけでなく「美味しい」商品を集めることに方向転換することにした。
商品ごとに「美味しさ」を調べ、値段×美味しさで評価すれば取扱商品を決められそうだ。

では、世の中にそういった「美味しさ」を測る定量データはあるだろうか。
個人的には炭水化物は美味しさと比例するというデブ特有の考え方を持っているが、実際にはそんなことはないだろう

そもそも、「美味しい」と感じるものは人それぞれではないだろうか。
正直にやろうとすると途方もない労力をかけることになるが、ビジネスの文脈を理解していれば「美味しさ」は関係なく、「皆に支持されている」商品を選べば良いことかわかる。
あとは、Amazonの口コミ件数を調べたり、販売量を調べれば、支持されているかいないかはだいたいわかるだろう。

このようにデータが見つからない (もしくは取得するのに多くの労力がかかる) 場合は、「意思決定する上で代替できるデータ」が何かを検討した上で変更することが望ましい。

さいごに

データに強いデータアナリスト、データサイエンティストがビジネス視点を持って意見・提案してくれることは、経営者や事業責任者にとって非常に強力な味方となるので、恐れずに発言していって欲しい。

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