はじめに
BIM業界で注目されているIFC(Open BIM)ですが、RevitでのMEP要素(配管・ダクトなど)への変換はまだまだ課題が多いです。
私はこの課題にチャレンジし、IFCからMEP要素への変換アドインを開発しようと試みましたが、結果的に技術的な制約で断念することになりました。
この記事では、その詳細と背景、試したことをなるべく具体的にまとめます。
なぜIFCをMEP要素に変換したいのか?
- IFCは複数のBIMソフト間でモデルを共有できるフォーマットとして有用。
- しかし、現状のRevitのIFC読み込みはパラメータ等の情報が完全に反映されず、MEP要素として正確に扱えない。
- そのため、IFCモデルをRevitのMEP要素に変換するアドインがあれば業務効率化が期待できる。
取り組んだ内容と技術的背景
- Revit APIを使い、IFCから読み込んだ要素のジオメトリやパラメータを解析。
- 解析したデータを基に、RevitのMEPカテゴリ(Pipe、Ductなど)要素として作成しようとした。
- しかし、IFC由来の要素はRevit内部で一部特殊な扱いを受けており、APIから直接操作・変換ができないケースが多い。
- さらに、IFCの複雑なジオメトリ構造の解析は非常に難解で、API上で正確に再現することが困難だった。
試した方法と課題点
-
FilteredElementCollectorでIFC要素を収集
→要素自体は拾えるが、MEP要素の属性を付与・変換できない。 -
ジオメトリ解析による再構築
→ジオメトリの形状は取得できるものの、MEPとして必要なパラメータ(口径や中心点、システムタイプ等)を正確に設定できなかった。 -
APIの制約
→IFC由来の要素は編集不可だったり、Revit内部の管理形式が異なるためトランザクション処理で例外が発生しやすい。 -
既存アドインの限界
→サードパーティ製アドインも完全対応はされておらず、根本的なプラットフォームの制約が壁となっている。
結論と今後の展望
- 現状のRevit APIとIFC読み込み機能の制約から、完全自動でのIFC→MEP変換アドイン開発は難しい。
- 業界全体として、IFCの標準化とRevit APIの拡張が進むまでは実用レベルの開発は期待しにくい。
- 一方で、IFCを活用した他の効率化手法(モデル比較や属性抽出など)は可能性があるため、そちらに注力する選択肢もある。
個人的な感想
- この挑戦を通じて、Revit APIの奥深さと制約、BIM業界の複雑さを実感した。
- 同時に、自分が扱いやすいニッチな分野(例:配管・ダクトの長さ集計アドイン)を見つける重要性も認識した。
- こうした失敗や試行錯誤の経験が、今後の成長に繋がると信じている。
おわりに
IFCからMEP要素への変換はまだまだ未来の課題ですが、挑戦する価値はあります。
今後も情報発信やスキルアップを続けていきたいと思います。
この記事が同じ悩みを持つ方の参考になれば幸いです。