市販のRevitアドインにも「Excel/CSV連動」機能を持ったものは数多くあります。
しかし、実務の現場では自作するメリットも非常に大きいです。
この記事では、私が実際に感じた「自作アドインならではの強み」と、
それを実現する簡易的なC#コード例を紹介します。
1. 自社のパラメータ体系や命名ルールに完全対応できる
市販アドインは便利ですが、
- 「列名=パラメータ名」固定
- 「シートの並び」固定
など、データの形に制約があることが多いです。
自作すれば…
- 自社独自のパラメータ命名ルール(例:
PJ_
,BIM_
プレフィックス)に合わせられる - 部門ごとに異なるExcelフォーマットにも対応可能
- 列名や順番のマッピングを自動化 → データ整形作業が不要
2. 不要な機能を削って軽量化できる
市販アドインは多機能ですが、
その分UIが複雑になり、簡単な更新作業でも手順が多くなります。
自作すれば…
- 「CSVパス選択 → 実行」だけのワンボタン操作にできる
- 操作マニュアル不要、誰でもすぐ使える
3. 社外秘データを安全に扱える
一部の既製品はクラウド連携や外部通信を行う場合があります。
これがセキュリティ面で懸念になることも。
自作すれば…
- コードの挙動をすべて把握できる
- 社内サーバ上だけでデータを完結でき、情報漏洩リスクが低い
4. 更新や改修を社内で即対応できる
市販品は、RevitのバージョンアップやAPI仕様変更に対応するまで時間がかかることがあります。
自作すれば…
- API変更や業務ルール変更があっても、その日のうちに修正可能
- 試験運用 → 改良 → 本運用を短期間で回せる
5. 実務フローに埋め込める
外部データ連動は単体で便利ですが、さらに…
- 検図前に自動でパラメータ更新する処理と連動
- Dynamoスクリプトや工程管理システムと直結
- BIMワークフロー全体の一部として統合
簡易的なC#コード例(CSVからパラメータ反映)
以下は超簡略版サンプルです。
実務ではエラーハンドリングや型変換を追加してください。
using Autodesk.Revit.Attributes;
using Autodesk.Revit.DB;
using Autodesk.Revit.UI;
using System;
using System.IO;
using System.Linq;
[Transaction(TransactionMode.Manual)]
public class CsvParameterUpdater : IExternalCommand
{
public Result Execute(ExternalCommandData commandData, ref string message, ElementSet elements)
{
UIApplication uiApp = commandData.Application;
Document doc = uiApp.ActiveUIDocument.Document;
// CSV読み込み(形式:ElementId, ParameterName, Value)
string csvPath = @"C:\temp\update.csv";
var lines = File.ReadAllLines(csvPath).Skip(1); // ヘッダー除外
using (Transaction tx = new Transaction(doc, "CSV Parameter Update"))
{
tx.Start();
foreach (var line in lines)
{
var parts = line.Split(',');
if (parts.Length < 3) continue;
int id = int.Parse(parts[0]);
string paramName = parts[1];
string value = parts[2];
Element elem = doc.GetElement(new ElementId(id));
if (elem != null)
{
Parameter param = elem.LookupParameter(paramName);
if (param != null && !param.IsReadOnly)
{
param.Set(value);
}
}
}
tx.Commit();
}
TaskDialog.Show("CSV Update", "パラメータ更新が完了しました。");
return Result.Succeeded;
}
}
まとめ
既製品は「万人向け」で便利ですが、自作は「自社業務に特化」できるのが最大の魅力です。
外部データ連動を完全自動化できれば、パラメータ更新ミスや作業時間をほぼゼロにできます。
「市販アドインで十分」から一歩進んで、
自社専用アドインを持つことで、BIM運用の質とスピードは大きく変わります。