##この記事について
基本情報技術者試験 午前問題を受験するに当たって、最低限知っておくべき情報をまとめました。
公開されている過去問や統計データから合格までに必要な勉強量と目安を端的に記します。
また、分野別の重要ポイント解説や勉強法についても記載しています。
午後対策はこっちで書きました。
##午前問題の傾向の分析
午前問題は一般的に過去問から一定数の問題がそのまま流用されていると言われています。
そこで、公開されている過去問から一体どんな種類の問題が、どれだけ出ているのかを分析して勉強のプランを立てていきたいと思います。
コロナの影響で試験形式がCBT方式に変更されてからの過去問は非公開となりましたが、それ以前の問題はIPA過去問題で全て公開されています。
### ・【出題傾向】
出典:基本情報技術者試験ドットコム 統計情報
以上の図は、基本情報技術者試験ドットコム 統計情報で行われた**「過去問がどの程度の割合で再出題されていたか」**という情報を引用したものです。
この図から令和元年の午前問題では、合格ラインの6割、48問程は丸々過去に出題されたものと同じものが出題されていることが分かると思います。(他の年に関しても大体似たような水準です)
このことから一般的に基本情報技術者試験 午前問題は過去問を丸暗記すれば合格できると言われていますが、
この図からは応用情報技術者試験(赤色)と情報セキュリティマネジメント試験(黄色)からも出題されていることが読み取れます。
つまり、市販の基本情報技術者試験用の教本や過去問道場に載っていない問題も一定数出題されているため、20問程は知らない問題が出題されてきたという過去があり、
今後もこのような形式で出題される可能性が高いと推察できます。
基本情報技術者試験ドットコム 統計情報では、平成21年春〜令和元年秋までの過去問出題率が全てグラフ化されているので、気になる方は覗いてみてください。
### ・【得点分布】
次に見るのは、得点分布です。
出典:https://www.fe-siken.com/pdf/fe01a_bunpu.pdf
Copyright © 2019 Information-technology Promotion Agency, Japan(IPA)
この図で注目してほしい点は、午前試験90点~100点がたった166人しかいないということです。
80点~90点に関しても午前試験よりも難しいとされている午後試験より少ない人数となっています。
そして、応用情報技術者試験と情報セキュリティマネジメント試験からも出題されているということから、満点を取ることが難しい設計になっていることが分かります。
(一般的に午前試験よりも難しいと言われている午後試験の1/7くらい)
また、50点~59点で不合格になっている人数が合格点ギリギリの60点~69点よりも若干多いことから大多数が合格ラインの60点前後で固まっていることも読み取れます。
### ・【まとめ】
ネット上ではよく**「午前は過去問覚えておけば満点取れる」**といった事がよく書かれていますが、
統計と仕組みから考えて基本情報の勉強だけで満点取れるわけがないので騙されないようにしましょう。(騙されました)
午前試験は、4択の選択問題なので運で当たることを考えても
10点~20点は基本情報技術者試験対策の勉強をしたところで解けない問題が存在している可能性があると考えて準備しておくのが無難です。
応用情報などからも出題されていた(今後も出題される可能性が高い)試験であるため
基本情報のテキストだけで100点は取れない。
##合格ラインまでの勉強量
このような試験形式でどのような勉強方法でどの程度勉強すれば合格ラインに達するかを考えていきます。
出るかも分からない応用情報技術者試験と情報セキュリティマネジメント試験の過去問までカバーは出来ないので、過去問同様に同じ割合で出る前提で考えます。
### ・【合格目安】
####得点率
基本的な方針としては、過去問道場でひたすら過去問の演習を行い、得点率8割~9割を目指します。
試験の合格ラインが6割だからといって、過去問道場も6割程度で済ましていると、、、
おそらく50点~59点組に入ってしまうことは傾向の分析から想像がつきます。
####勉強時間
勉強時間は一般的に、全く知識が無い状態から午前午後合わせて200時間と言われています。
特に時間がかかる点としては、午前問題では過去問演習の時間です。
80問を1問1分で解いても1時間20分、2分なら2時間40分、3分なら、、、
と、実際に問題を解いてみると思った以上に時間がかかります。
これに加えて、分からない問題の内容をテキストで確認、繰り返しの復習を80点~90点取れるようになるまで行うと0から始めた場合は50~100時間はかかると見積もっておいたほうがいいでしょう。
### ・【基本情報の特徴】
また、午前問題の落とし穴として、**「丸暗記でも午前は受かるが、午後で落ちる」**という定番のパターンがあります。
令和元年のデータでは、約1万人程が午前で合格したが、午後で不合格となっていることも読み取れます。
基本的には午前の内容の応用編が午後なので、
午前の知識が足りずに(丸暗記して内容を覚えていないなど)午後が解けない
午後の勉強時間を確保出来なかった(午前にだけ出る問題で時間をかけすぎ)
という理由が考えられます。
そこで、午後で午前と連動している箇所は丸暗記で済ませずにしっかりと理解して覚えておきたいところですが、
午後の学習を始めてみないとそもそも何が重要か分からないというジレンマがあります。
そのため次の章では、午後問題で必要になることを見越して、特に力を入れて学習したほうがいい分野とその理由を記していきます。
安定して合格を目指すためには過去問で80点〜90点を安定して取れるようになることを目指す。
##重要な分野の解説
###・【情報セキュリティ】※最重度★★★★★
この分野は完璧に理解して覚えておいたほうがいいです。午後問題で20点もらえます。
特に重要な点としては、暗号方式における公開鍵や共通鍵の仕組み、ディジタル署名やハッシュ関数などの仕組み、各種マルウェアの攻撃の種類(DDos攻撃は何をする等)です。
###・【アルゴリズム】※最重度★★★★★
これも午後問題でかなり重要な分野となってくるので、しっかりと学習しておいたほうがいいです。
具体的には、配列の仕組みと各種ソート機能の仕組みと動き(二分探索木、ヒープソート、マージソート、バブルソート、クイックソートなど)、整列の仕組み、は理解しておかないと午後問題がそもそも解けないです。
###・【コンピュータ科学基礎理論】最重度★★★★★
2進数や論理演算、応用数学などの分野です。重要な理由としては問題を作ることが容易な点にあります。
他の分野は決まった用語(CRM、OSI基本参照モデル、MTBFなど)を変えようがなく、その意味について問う問題形式が過去問では多いですが、2進数や論理演算などは数字を少しいじるだけで全く別の問題にしてしまえるので、
この分野を過去問道場で答えだけ覚える丸暗記で済ましてしまうと試験当日に数字が変わっていた場合に対応出来ません。
また、2019年から午前試験での数学問題に関する出題比率の見直しが行われ、「理数能力を重視し、線形代数、確率・統計等、数学に関する出題比率を向上」と発表があったことから、様々な問題に対応出来るようにしておく力が求められると想定できます。
基本情報で問われる中学数学レベルの基礎知識はしっかりマスターしておきましょう。
(市販のテキストでよく出てくるのは確率と分布)
###・【データベース】重要度☆★★★★
この分野は午後問題の選択問題に出てくるため、きちんと学習しておくと大きな得点源になります。
基本的なSQL文と正規化、グループ化が特に重要です。トランザクション系はあんまり力を入れなくてもいいと思います。
↓データベースの正規化について一発で理解できた動画を貼っておきます。市販のテキストだと意味不明でした。
https://www.youtube.com/watch?v=Frb8ZKG9YCo&t=3s
###・【ネットワーク】重要度☆☆★★★
午後試験のネットワークは出題傾向や特徴が無いのが特徴と言われており、あまり選択する人は多くありませんが、必須問題の情報セキュリティにたまに大きく関わってきます。
具体的には、OSI基本参照モデルのどの層が何をしているかを理解しているかを求められたり、IPアドレスのサブネットマスクが何をしているかといったことは理解しておいた方がいいと思います。
###・【その他の分野】重要度☆☆☆★★~☆☆☆☆★
これら以外の分野は正直過去問道場の丸暗記でも全然問題ないと思います。
(意味で覚えたほうが覚えやすいし、勉強になりますが)
午後問題のソフトウェア、ソフトウェア設計、マネジメント系、ストラテジ系は知識無くても解けるレベルの問題が多いですし、午後問題の勉強を始めてから覚えても全然覚えられる範囲です。
ただ、マネジメント系とストラテジ系は80問中30問程を占めているので、午後問題では不要ですが、午前ではしっかり抑えておく必要があります。
セキュリティとアルゴリズムは午後でも超重要。
中学レベルの基礎数学も午前では抑えておきたい。
マネジメント、ストラテジ系は午後では不要、午前では得点割合が高い。
##過去問道場の効果的な使い方
午前問題最強の学習ツール過去問道場の効果的な使い方を最後に紹介します。
過去問道場だけでも多分受かりますが、参考書が一冊あると分からない問題の学習に便利です。
(オススメは合格教本かニュースペックテキスト。キタミ式や柏木先生は載ってない問題が多すぎて正直微妙。問題文見るだけで蕁麻疹が出る人向け。)
基本的に午前問題で少し考えて分からない問題はそもそも知らない知識の問題である可能性が高いです。
(午後問題は逆に思考力が問われる)
そのため、分からない問題で悩んでいるよりもどんどん問題を解いていってより多くの問題に触れることが重要になります。
###【1】ユーザー登録
まず始めに必ずユーザ登録をして、学習の記録をつけます。
メールアドレスなども不要で一瞬で作成できます。
###【2】出題形式
模擬形式問題で出題→平成21年以降から作成で問題を解きます。
###【3】問題の解き方
問題を解く時に理解度に応じて1問1問必ずチェックをつけます。
分からない問題はこの時に参考書でチェックしたり、ネットで検索、過去問道場の解説を読み込むなどして理解を深めます。
【緑】何回やっても余裕で正解
【黄】たまたま解けたけど次は危ないかもしれない
【赤】分からない そもそも用語を知らない 解き方意味不明
###【4】復習機能
赤や黄がある程度たまってきたら色ごとに復習機能を使って復習します。
###【5】復習方法
この時色の付替えは行わず、分かるようになった問題もしばらく赤、黄においておきます。(これによって分からない問題を学習する際に以前やった問題がランダムに入り込んできて自然と復習ができます。)
### ・【まとめ】
基本的には【2】〜【5】をひたすら繰り返します。
スマホでも簡単に出来るので、例えばiPhoneならばsafariで開いてホーム画面に追加し、アプリ化すると捗ります。
これを繰り返して8割〜9割を安定して取れるようになってきたら午前問題はよっぽど大丈夫です。
繰り返しているうちに流石に理解度が緑くらいまでは来たと思ったら色を付け替え、整理していきましょう。
【4】は最初のうちは溜まりまくると思うので、あまり溜めすぎず50問〜100問くらいがいいと思います。
模擬試験モードで過去問を解く→分からなかったら参考書や解説をよく見る→理解度に応じて色分けをする
ある程度回したらまとめて色別に復習する。
##おすすめしない勉強法
色々と試した中でおすすめ出来ない勉強法を紹介します。
###・ 参考書を一通り読み込んで知識をつけてから過去問を解く
最初はこの方法で取り組んでいましたが、範囲がとても広いので全部を一気に覚えきる事が不可能なのとキタミ式の様な簡単だと言われているものですら一冊読み切るのは中々にしんどくてやる気がなくなるのでおすすめしません。
参考書は過去問を解いて分からない問題の解説書として使用する。
###・ 一つの分野を完璧に理解して進めていく
最初はマネジメント系やストラテジ系をまず完璧にという考えで過去問を100点取れるようになるまでやったりしていましたが、後から振り返ると非効率でした。
まずは全体的に解いていきつつ、苦手分野を重点的にフォローしていく形が効率的な学習につながると思います。
過去問道場の模擬試験モードを積極的に利用する。
分野別で解くのは苦手分野がはっきりと見えてきてからでいい。