はじめに
巷では賛否両論の激しいテックキャンプ。筆者は2021年4月19日に第100期生として入学し、6月25日に学習期間を終えて就活期間に入りました。
「テックキャンプってどうよ?」と気になる方は多いと思うので、感想を本記事に載せておきます。
本記事のターゲット
下記1・2どちらかに該当し、Web開発へシフトチェンジのためにテックキャンプ入学を検討している方
- プログラミング完全未経験というわけではないが、エンジニアの肩書きはまだない
- 社内SEや業務改善ツール(ExcelVBAやRPAなど)の開発経験があるが、エンジニアの肩書きはまだない
もくじ
- 入学前後のスキル比較
- 率直な感想
- テックキャンプのよかった点
- テックキャンプの悪かった点
- 総評
- [<おまけ>入学を検討している方へのアドバイス](#<おまけ>入学を検討している方へのアドバイス)
入学前後のスキル比較
入学前後で私のスキルを比較してみました。スキルアップは一目瞭然です。
※私の例です。プログラミング経験ありで入学し、カリキュラム外の書籍や記事などでプラスアルファ学習したケースであり、個人の学習姿勢で差が出ます。
※詳しいカリキュラム内容は、公式HPからご確認ください。
対象スキル | 入学前 | 終了後 |
---|---|---|
フロントエンド | ①HTML/CSSをなんとなく読める ②CSSの属性値くらいなら編集できる ③JSコードをなんとなく読める |
①HTML/CSSでホームページを構成できる ②Sass(SCSS)を使用して動画背景の挿入や変数、繰返し処理まで実装できる ③JSを使用してAPI連携できる、TypeScriptやjQueryの導入編ならなんとなく理解し実装できる |
サーバサイド | 何も知らない | Ruby on Railsでオリジナルアプリケーションを制作できる ・カリキュラム外のGemを自力で導入できる ・N+1問題を自力で解決できる |
バックエンド | ①AWSクラウドプロティクショナーレベルの基礎知識はありサーバレス系は実装経験があるが、デプロイ経験はない ②SQL命令文を読める |
①EC2デプロイ、S3アップロードなど初歩までなら実装できる ①AWS初歩実装の経験を活用して、ElasticBeanstalkなどへのデプロイもできる ②5行程度のSQL文を実行できる |
率直な感想
入学してよかったと思っています。
おそらく、独学で進めていたら3~4倍の時間を費やしていたと思いますが、最短時間で転職活動への準備を進められました。
ただし、すべてがよかった訳ではもちろんありません。
よかった点・悪かった点に分けて掘り下げて行こうと思います。
テックキャンプのよかった点
1.最短経路でエンジニアに必要最低限のスキルが身につく
最短経路でエンジニアに必要最低限のスキルが身に付く工夫が施されています。
- アプリ制作という目的地に向かって順序立てられたカリキュラム
- テンプレートが用意されており、目的外の作業を徹底的に排除してくれる
- 緻密な理解が必要な箇所は、あえて非効率に思える作業に誘導してくれる
これは私が在籍中にカリキュラム外の書籍や記事で日常的に学習していたから、相対化できて分かったことです。
おそらく独学では、最低でも2倍以上の期間がかかるのではないかと思います。
2.受講生に成長を実感させる工夫
受講生に実感を感じさせる工夫や演出が施されています。
これによって途中離脱を低減させているのだなと感じました。
- 学習進捗やテスト点数などの、数字による可視化
- フェーズごとに最適レベルの課題を与え、クリアさせる
3.サーバサイドを主軸としつつ、フロントエンドもバックエンドも初歩までカバー
メインはサーバサイドで、フロントエンドからバックエンドも初歩までカバーできます。
言うまでもなく、カリキュラムだけで一人前の実力はつけられませんが、フロントエンドからバックエンド、フルスタックまで、どの道への可能性も開けるように準備ができます。
4.最大の挫折ポイントである環境構築へのサポート
必要なソフトのインストール、面倒な設定など、プログラミング学習に入る前につまづかせるのが環境構築。
このサポートを受けられるのはとても大きいですね。
5.自走力が身に付く
カリキュラム終了から転職活動までのあいだは、オリジナルアプリの制作に取り掛かります。
このフェーズではメンター相談NG。機能は自分で実装、エラーは自力解決が基本なので、強制的に自走力が身に付きます。
テックキャンプの悪かった点
1.メンターさんの品質が低い
正直言って、メンターさんの品質は残念でした。
私は70日間中、10回程度しか質問しなかったため、たまたまハズレが多かったのかもしれませんが、メンターさんへの教育は見直した方がいいと思います。
(※中には頼りになって親身なメンターさんももちろんいました。)
- エラー対処への相談は積極的だが、「これなんで?」の深掘り質問には驚くほど消極的
- 相談者の話を遮る人もいる
- そもそも知識量が低く、こちらの方が理解していると実感する方も中にはいた
2.教材に改善ポイントが多い
カリキュラムの順序には非常に工夫が感じられました。
それだけに残念だったのは、説明文や中身。以下の残念ポイントがありました。
- 話の飛びが多く、初登場の用語や概念がさも既出のように登場することが多い
- 教材中のサンプルコードに、学習者を混乱させる点が多い
- 同じアプリのサンプルコードで、段階1ではシングルクオーテーションだったにもかかわらず、段階2では突然ダブルクオーテーションになっている
- 同じアプリのサンプルコードで、段階1では引数にカッコを使用しているにもかかわらず、段階2ではカッコを使用していない(別のメソッドに引き足す場合はカッコを使い、その行で完結するならカッコを使用しないという文法に無頓着?)
3.肝心事項の入学前の説明が杜撰
結構大事な内容が入学前に説明されていない(または十分に受講生に伝わっていない)ことがありました。
- オリアプ制作期間のメンター相談が不可であること
- 定期的に社員研修目的の休校日(=メンター相談不可の日)があること
1は受講生の自走力を強化する意味で、2はサービスレベル向上の意味で、どちらもそれ自体は良い試みだと思います。
ただ、多くの受講生はメンター相談を目的に受講料を支払っていると思うので、これらの点は事前説明を今よりも充実しさせて欲しいと思いました。
総評
入学自体はお勧めです。
「短期間でエンジニアに」をモットーにしているだけあって、効率的に学習する点では最高です。
プログラミング学習経験があろうがなかろうが、短期間でプログラミング学習のための環境やサポートが欲しければ、高額費用を払ってでも通う価値があると思いました。
一方で、メンターさんの品質や物事の説明不足に関しては、SNSやyoutubeで酷評されている通りの感じでした。
全体を通してサービスそのものは素晴らしいのです。しかし、テックキャンプ側の説明不足により、受講者側の入学前後のイメージにギャップが生まれていることで、色々な批判が生まれている印象を私は抱きました。今後、サービスレベル改善がされていくとよいですね。
<おまけ>入学を検討している方へのアドバイス
1.「学習するのは自分。転職できるかどうかも自分次第」と肝に銘じていくこと
テックキャンプはあくまでも学習サポートのスクール。
受け身の姿勢だと必ず挫折してお金を無駄にするので、通わないほうがいいでしょう。
2.受講費用は自分へのコミット料金と捉えること
高額料金を支払っている事実が、自分を厳しい学習に奮い立たせてくれます。
自分へのコミット料金と捉えていいかも知れないですね。
3.転職保証金サポートは最初からあてにしないこと
転職保証金サポートを頭の中に入れているうちは、よい転職は実現しないでしょう。
このサービスは最初からあてにせず通うといいでしょう。
4.スクールが終わった後が本番勝負のつもりでいくこと
スクールの内容は「エンジニアになるための必要最低限」に過ぎず、
本当に多くを勉強していかなければならないのはそこから先です。
自主的に学習できないなら、いかない方がいいでしょう。