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iRICv4:グラフィックボードを搭載していないマシンで、ソルバーを選択した瞬間にiRICが落ちるという問題-->推奨ハードウェア要件

Last updated at Posted at 2024-05-28

久々に記事を投稿します。今回は2023年にリリースされたiRIC version4について、「ソフトウェア起動直後、ソルバーを選択すると落ちる」という問題の解決方法について紹介します。

■問題について

iRIC v4を起動後、「新しいプロジェクト」でソルバーを選択すると、ソフトウェア全体が落ちる。という非常にクリティカルな問題です。

image.png

はじめこの症状を聞いたときは「またiRIC更新に伴うバグか…」と思いましたが、私が利用しているマシンでは全くその症状が生じておらず、特定のマシンでのみ生じる問題ということが確認できました。

問題が生じるマシンについて

調査を進めていくと、 グラフィックボードを搭載していないマシン で問題が生じることを確認できました。

■原因

原因は、ソルバーを選択した直後に行われる可視化画面等の初期化処理の中にありました。

  • プリ・ポストの可視化には、vtkというライブラリを利用しています
  • iRIC v4では、vtk8.xを利用しています
  • ソルバーを選択した直後、プリ・ポスト画面の初期化が行われるのですが、そのタイミングでvtkの初期化が行われます
  • vtk8.xではレンダリング機能のパフォーマンス向上のためOpenGL 2バックエンドが導入されており、グラフィックボードの性能を引き出すための仕様が実装されているようです(推奨はOpenGL 4.5以上をサポートするGPUだそうです)
  • そのため、グラフィックボードを搭載していないマシンではvtkの初期化処理で「あれっ、グラフィックボードがない。。。」という状態になり、上記のような問題が発生したようです

vtkは可視化専用のライブラリですので、グラフィックボードが必要なことは理解できますが、グラフィックボードがなかったら落ちるという状態はイケてませんね。

vtkについて
vtkはデータ可視化と処理のためのオープンソースのライブラリで、様々なプログラミング言語から利用でき、マルチプラットフォームで動作し、コンターやベクトルなどiRICソフトウェアの様々可視化を実現するのに利用しています。
ハードウェアの進化とともに、vtkも日々、高度化、高速化、多機能化され、バージョンが更新されています。iRIC v3からiRIC v4へのバージョンアップにともない、利用しているvtkのバージョンを6.xから8.xに更新しました。

■問題解決方法

調べていくと、グラフィクボードがない環境でも、性能は落ちるものの、vtk 8のレンダリングできることがわかりました。以下にMesa3Dというソフトウェアレンダリングを利用することで問題解決する方法を紹介します。

image.png

image.png

  • 3.x64フォルダの中に格納されているすべてのファイルをコピーし、iRIC v4の"iRIC.exe"が格納されているフォルダにペーストする。
%userprofile%\iRIC_v4\guis\prepost

以上で問題を解決できるはずです。お試しください。

■iRIC v4 推奨ハードウェア要件

改めてiRIC v4を利用するための推奨ハードウェア要件を整理ました。ご参考まで。

グラフィックボード (GPU)

グラフィックボードがない場合は、上記の対応をお願いします。

  • 推奨モデル: NVIDIA GeForce GTXシリーズなどの最新世代のGPU
  • メモリ: 4GB以上のVRAM(大規模なデータセットを扱う場合は8GB以上を推奨)
  • OpenGLサポート: OpenGL 4.5以上をサポートするGPU

プロセッサ (CPU)

多くのソルバーがIntel One APIでコンパイルされていますので、Intel系のCPUを推奨します

  • コア数: 4コア以上のマルチコアプロセッサ(Intel Core i7以上を推奨)
  • クロック速度: 3.0GHz以上のクロック速度を推奨

メモリ (RAM)

  • 容量: 16GB以上(大規模なデータセットを扱う場合は32GB以上を推奨)
  • タイプ: DDR4 RAM

ストレージ

  • タイプ: SSD(ソリッドステートドライブ)を推奨
  • 容量: 講習会では500GBもあれば十分ですが、業務では必要に応じて容量を増やしてください

ディスプレイ

  • 解像度: フルHD (1920x1080) 以上の解像度を持つディスプレイ
  • 4Kなど高解像度ディスプレイは問題が生じる場合があります
  • サイズ: 24インチ以上のディスプレイを推奨

マウス

  • iRICでは左クリック、右クリック、ホイールクリックなどさまざまなマウス操作がありますので、必須です

以上です。

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