はじめに
IBM watsonx assistantは自社独自のチャットボットを構築するためのサービスです。
生成AIが話題になる機会が増えてきましたが、コスト面や回答の確からしさを考えるとルールベースのチャットボットとの組み合わせがまだまだ必要ではないかと思います。実際に構築を前提で進めているお客様にはチャットボットとの組み合わせを求める声も多く上がっています。
IBM watsonx assistantは頻出する質問に対して、ルールベースで事前に登録しておいたアクションを実施できることや、さまざまなツールと連携できることが特徴の製品となっております。
ルールベースで事前にアクションを設定することに対して工数の面から懸念を抱いている方もいらっしゃるかもしれませんが、テンプレートを利用すれば作成の労力と時間を削減することができますので、テンプレートを上手に活用してみてください。
ただし、注意点としてはテンプレートは英語のアシスタントでのみ使用できるという点です。
テンプレートがあっても活用するのが難しいのではないかと感じる方もいるかもしれませんが、こちらの記事でどのように英語のテンプレートを活用しながら短時間で日本語版のチャットボットの応答作成するのかに関するの手順を示しますので、ぜひ最後まで読んでください!
この記事を読むのがおすすめの方
- IBM watsonx assistantの構築方法に不安がある方
- 応答タイプの構築に手間を感じている方
- テンプレートを活用して応答タイプの例を参考にしたい方
テンプレートの機能一覧
テンプレートは会議の予約、サポート・チケットの作成、支払いなど、さまざまなユース・ケースで使用でき、以下に示しているのが活用できるテンプレートの一覧になります。
テンプレートには、アクションを構成するすべての部分 (ステップ、条件、および顧客の回答を収集するためのさまざまな応答タイプなど) が含まれていますので、ぜひテンプレートを使って効率的にwatsonx Assistantをカスタマイズして行きましょう!
テンプレートを活用した手順の全体像
冒頭で少し触れましたが、テンプレートは英語に対応していないという点に注意する必要があります。
そのため今回の記事では以下の5つのステップで実施していきます。
Step①:Assistantの英語版を新規作成する
Step②:英語版のAssistantで既存のテンプレートの型を選択し、保存しておく
Step③:反映させたい日本語版のAssistantにテンプレートをコピーする
Step④:日本語版のassistantに切り替える
Step⑤:DeepLを利用して英語で書かれているテンプレートの内容を日本語に翻訳する
テンプレートを活用したアクション設定の実践
先ほど記載した5つのステップをスクショ付きで実践していきたいと思います!
Step①:Assistantの英語版を新規作成する
画面上段のAssistantの選択から「Create New +」を押下し新規作成する
「Assistant language」をEnglish(US)に設定し新規Assistantを作成する
Step②:英語版のAssistantで既存のテンプレートの型を選択し、保存しておく
左側上部から2つ目の「Actions」を押下します。
画面中央の「Create action +」を押下します。
右側の「Quick start with templetes」を選択する。
テンプレート一覧から活用したいテンプレートを選択する
39種類の豊富なテンプレートが用意されています(2023/12/22現在)。
また、トピック別やインダストリー別に適したテンプレートにフィルターをかけることができます。
今回は情報を聞くための手段に関する問い合わせが来たと仮定して「Request contact information」を選択します
画面右上の「Select this tenplete」を押下します。
画面右下の「Add templete」を押下します。
これでテンプレートの選択が完了しました。
Step③:反映させたい日本語版のAssistantに英語で書かれたテンプレートをコピーする
コピーしたいテンプレートの右側にある縦の3点リーダーを押下する。
「Copy to assistant」を選択する。
コピーしたい日本語版のAssistantを選択する。
Step④:日本語版のassistantに切り替える
日本語版のAssistantに切り替える
左側上部から2つ目の「Action」を押下する
コピーしたテンプレートを開く
Step⑤:DeepLを利用してテンプレートの内容を英語から日本語に翻訳する
DeepLを起動する(https://www.deepl.com/ja/translator/l/en/ja)
最初の問い合わせ内容を翻訳する
各ステップの内容を翻訳する
(各ステップの「Response」や「Validation」も忘れずに!)
翻訳完了!
おわりに
今回はIBM watsonx assistantでアクションを作成する際に活用できるテンプレートについてご紹介させていただきました。
今回は問い合わせの手段に関するテンプレートを実際に試してみましたが、テンプレートとDeepLを活用することで、簡単に構築することができました。
今後さまざまなユースケースでテンプレートの活用機会があるかと思いますので、テンプレートを活用して効率的にチャットボットの対応範囲を広げていただければなと思いました。
IBM watsonx assistantでは生成AIとの連携も可能なので、頻度の高い質問に関してはルールベースで事前に登録する手法で対応し、頻度の低い質問に関しては新しい技術である生成AIを活用しながら、ユーザーが満足していただけるようなチャットボットを作って行きたいですね!
参考
IBM watsonx Assistantデモ・サイト
IBM Cloud, テンプレートからのアクションの作成
IBM Cloud, 顧客から情報を抽出