#はじめに
この記事は「ファシリテーター Advent Calendar 2019」の20日目の記事になります。
今年、ファシリテーション知識の必要性を感じてガオリュウさんの勉強会に参加したのを機に
お声がけを頂いたので参加させて頂きました。
お誘い頂いて参加者を見ると実践者のツワモノの方々がズラッと並んでいたので
お仕事で使える素敵ファシリテーションなお話は皆さんにお任せして
自分は家でこんなことやってるよ!で攻めたいと思います。
尚、前日の河原あずさんのアドカレにありますように
自分も意外と打たれ弱いので、お手柔らかにお願いします!
#自己紹介
社外コミュニティでは「Kaz」で参加しています。
品質保証部に所属。
社内にてアジャイルを導入したいチームを支援するひよっこアジャイルコーチをしています。
また、アジャイルで良く使われるプラクティスなどを学べる勉強会を社内で開催しています。
ファシリテーターとして呼ばれる場は主にふりかえりが多く
次点でプロジェクトに関する何かしらの相談事などになります。
社外活動として普段こちらのコミュニティに参加者としてお世話になっております。
・アジャイルひよこクラブ
初心者歓迎のにわとり(経験者)がひよこ(初心者)を支える素敵コミュニティなので
アジャイルをこれから始めたい方はぜひご参加を。
#ファシリテーション?ファシリテーター?
あまり形式張った知識は特に持ち合わせていないので
「なんとなくイイカンジに場と話をまとめる&可視化する技術」と「それをする人」
と言うざっくりとした理解で捉えています。
なので「これファシリの話ちゃうやんかー」と言うご指摘ありましたら
こんな認識で書いた人のお話として流して頂ければと思います。
#このお話の背景
家族で会話をしていても仕事と同じく価値観が合わない事や何かを決めるに
意見がなかなか出ない事とかありますよね?
我が家でも夫婦間で意見の投げ合いになって結論出ず!ただ怒って泣いただけ!
なんて事もありました…
というわけでそんな意見の投合の場を良い感じにしたであろう進め方のお話です。
#全ては掃除の話から始まった!!!
我が家は自分に妻に2才児後半の怪獣の3人家族。
仕事は帰りが遅いので世の中で言う所のワンオペ育児に近い状況です。
とはいえ、家事はやらねばならぬので我が家では家事の分担が行われています。
- 平日の夕飯は妻が担当、土日祝の夕飯は夫が担当
- 洗濯物は妻が担当、食器の洗い物は夫担当
- シンク等のネット交換は妻が担当、ゴミ捨ては夫担当
- 部屋掃除は妻担当、トイレ掃除は夫担当
- お風呂は2日目の最後に入った人が担当 などなど
要は日中でなければ難しい物が妻、そうでない物が夫といった具合に分担がされていて
緊急時は片方がそれらを巻き取るとしています。
そんな分担の中で1つだけ双方の価値観が一向に合わないモノがありました。
それは**「部屋の掃除」**です。
自分は平日にまったく時間が取れないので部屋の掃除は妻が担当していたのですが
掃除をしたと言っても、どこをどう掃除したのか自分にはさっぱりわからず…
とは言え妻側にも主張があり、一向に噛み合わず。
ちょっとした喧嘩の原因にもなっていました。
#よろしい、ならば対話をしよう!!!
あまりにも噛み合わないので、どうした物かと思っていたところ
アジャイルの神が降りてきてこう囁くわけです。
……きこえますか…きこえますか…
…私は今…あなたの心に…直接…呼びかけています…
…お掃除のプロセスやツールに…拘っている場合ではありません…
…妻と対話をしなさい…対話をするのです…
なるほど、**よろしいならば対話をしよう!!**というわけで
仕事で使っている付箋紙やカード、シールなどを持ち込ち帰り
**「おそうじについて考える会」**が行われる事になりました。
ありがとう!アジャイルマニフェスト!!
##場作り
というわけで、帰宅して息子も寝静まる中「おそうじについて考える会」がスタート。
まずはふりかえりなどでの場作りと同じく、向かい合いでは意見の投げつけになるので
お互いに横並びに座ってテーブルに向かって考えるという、我々vs問題のスタイルで座りました。
check-inとして「それでは"おそうじについて"をテーマにお話をしましょう」と宣言をして
テーマを書いた付箋紙をテーブルの真ん中にドンと貼り
お互いの主張や理由をカテゴリーとして付箋に書いてその下に貼り、場を形成。
- テーマ
- そうじについて
- 夫カテゴリー
- 掃除ができていないと思う理由について
- 妻カテゴリー
- 掃除ができない理由について
そして、これに意見とかを書いていこうとペンと名刺サイズのカードを配りました。
見るからにカードゲームのプレイマットとデッキな組み合わせな気もしますが
サブカルに身を委ねて育った我ら夫婦には何の違和感もない場が出来ました。
##双方の意見を発散する
このテーマをそのまま会話するとおおよそ過去の経験からも
「なんで出来ないんだ!」****「こうだから出来ないんでしょ!」と
言葉の投げつけ合いになるわけで、それではただの主張の言い合いで進歩がありません。
職場のギスギスっとした会議でたまに見かけるイヤな感じの場が我が家に生まれるだけです。
なので、「何故そう思うのか」をひたすらカードに書き並べていくということをしました。
ひたすら書き並べると何が起きるか?というと、お互いの意見がぶつかり合うことがなくなります
自分の言いたい主張だけが誰にも邪魔されず書き並べられるので
双方共に言いたいことは全て言ったという状況が作られるわけです。
こうして書き並べたカードを見ていくとお互いに
気になるカードや理解できてなかった気づきのカードが出てきます。
-
妻カテゴリー:掃除ができない理由
- 妻カード:汚れてからが掃除だと思う
- 妻カード:掃除しても綺麗になるだけで達成感がないのでやる気がでない
- 妻カード:基本的にコロコロに付かない物は後回しにするから
- 妻カード:収納したい物はあるが収納する物のアイデアがない
- 妻カード:しっかり掃除する時に眠ってた息子の眠りが浅い
-
夫カテゴリー:掃除できていないと思う理由
- 夫カード:髪の毛の量が凄く多い
- 夫カード:キッチンに使ったままのペーパータオル放置
- 夫カード:食べかすが毎日落ちてる。コレとか。
- 夫カード:ゴミかどうかはわからないが何故かビニール、使ったティッシュが多い
他にも出てきましたが、育児的事情からの理由などざっとはこんな感じのカードが出てきました。
ここからなるほどねーとお互いの主張を確認していくと
双方の意見の食い違いになっている可能性のある**「気になるカード」が発見されます。
それは「汚れてからが掃除だと思う」**カード。
このカードがどんな気になる事の発見だったかと言うと
**「何がどうなっていると汚れていて、何がどうなるとゴミであるという価値観の違い」の発見でした。
(世の中の夫婦はこんな価値観すぐ気がつくのかもしれませんが・・・)
また掃除を「達成感がない家事である」**と妻が捉えていた事もわかりました。
お互いが「汚れている/ゴミである」と認識して「掃除をする」と思い立つタイミングが違う
という事がわかったわけです。
##理解を掘り下げ整理する
掃除をすると思い立つタイミングが違うというのはわかったわけですが
どう違うのか?はこの時点ではよくわかりませんでした。
というわけで、妻が思うゴミってなぁに?という理解の掘り下げを行いました。
夫側のゴミであると言う認識は既にカードに主張済なので
この夫側のゴミだ!主張を使って妻が認識ごとに分類するという事をするわけです。
これで夫側の主張に対して**「私はこう感じている」**が表せます。
分類分けするカテゴリーはこの3つにしました。
- ゴミだ
- 見えてないor気にしていない
- ゴミではナイ
私の主張は当然ながら全て「ゴミ」なわけですが妻の分類はこうでした。
- ゴミだ
- 夫カード:髪の毛の量が凄く多い
- 見えてないor気にしていない
- 夫カード:キッチンに使ったままのペーパータオル放置
- 夫カード:食べかすが毎日落ちてる。コレとか。
- ゴミではナイ
- 夫カード:ゴミかどうかはわからないが何故かビニールが多い
掃除できていないと思う理由のうちの大半が
「見えていないor気にしていない」「ゴミではナイ」と言う結果に。
なるほど、それでは確かに妻側は「掃除した!」と主張をするし
夫側は「どこ掃除したの?」と主張する訳です。
また、何故そのカテゴリーになったのかは妻に1つ1つ説明してもらいました。
この時も相手の主張の理解を深める為にまずは全て聞くというのが大事です。
こうやってお互いの主張を分類して対話していった事で双方に気づきが生まれ
そもそもの価値観の違いなどの発見をもたらし、結果的に「なるほどね」という
お互いの理解に繋がりました。
めでたしめでたし・・・
では、解決したとは言わないのでここまで進んだ理解を元に今回の問題をどうするか収束させていきます。
##まとめてズバッとルールを決める
理由などを聞いて、ここまでの理解をまとめていくとこんな感じです。
- 汚れてからが掃除だと思うが、どこからが汚れなのか?基準がお互いに異なる
- 恐らくこの価値観はゴミの種類ごとに考えていくとキリがない
- そもそも見えていない物があるものを見えるようにするのもムリゲー
- お掃除は綺麗になるだけで達成感がない
- 話を聞くとどこまでやれば掃除が終わりとなるのかがわからない
- 綺麗にはなるが終わりが見えない仕事なので達成感が感じにくい
なるほど、まずはこれらを解決すれば結果的に全体最適されそうな予感がします。
どうやら終わりが見えないのは、どこもかしこも掃除しなければならないという
広大に広がった原野に掃除機1つで掃除をかけるようなイメージを狭める所から始めました。
カードに掃除をするべきエリアを書き並べて行きました。
こうする事で延々と広がる荒野に国境が生まれ、終わりという範囲が決定します。
- 定期的にお掃除しましょうエリア
- トイレ
- 寝室
- 息子ルーム
- 玄関
- ベランダ
- キッチン・リビング
- 階段
- 脱衣所
気持ちは豪邸なだけにエリアは多いですね(我が家は狭小住宅)
次にそれぞれをこなすのにかかる時間と行う回数を決めていきます。
- 定期的にお掃除しましょうエリア
- トイレ(汚れに応じて適宜)
- 寝室(汚れに応じて適宜)
- 息子ルーム(汚れに応じて適宜)
- 玄関(月1回)
- ベランダ(月1回)
- キッチン・リビング(週2回1時間)
- 階段(週2回30分)
- 脱衣所(週1回30分)
「汚れに応じて適宜」とある物は全て夫である私が担当で土日祝にやるとして引き取り。
それ以外について平日のありよう等を元にどうするか話をして回数や時間を決めました。
時間はタイムボックスがないと延々と終わらない掃除という感覚からの脱却
回数はいつから掃除をスタートしたらよいかわからないので最初から行う回数を決める
といった所からになります。
これにより**「この回数をこの時間、必ず綺麗だろうが汚いであろうが掃除をやる」と言う
ルールが決まりました。
また分担した主担当がわかるように顔マークのシール**をカードに貼っています。
だいたい妻側は1週間の中でお掃除に合計3時間30分をなんとか提供する
腰を据えてやる場所は夫側が土日祝を使ってやるといった形ですね。
##まとまった事を可視化をする
我が家では月間イベントを書き込むホワイトボードがあるので
そこに貼り付けられるお掃除用マグネットを作成。
掃除をいつやる予定かを決めたり育児事情で出来ない場合に別日に移動させたりできるようにしました。
今はこのカレンダーとルールをベースに2ヶ月回っています。
#まとめ
今回は身近な対立事案を元に、こんな風に進めたらまとまったよ!として書いてみました。
仕事でも何かしらが原因で対立関係になり、空中戦が繰り広げられる会議の場などあると思います。
そんな時、こういった場作り→発散→整理→収束の流れとカードなどの道具を活用することで
言葉の殴り合いだった場をもうちょっとイイカンジの場に変えることができます。
道具がちょっとしたクッションになってくれます。
また文字として書く事でお互いの意見が空中で霧散せず、カードにすることで
出た意見を整理したり、全体像を俯瞰したり、見る角度を変えたりすることができるようになり
新たな発見や相互理解が進むことで建設的な話をする場を作ることが出来ます。
そして家族間で試してみることで良い練習になったり、関係の質が上がったりします。
というわけで、長々と我が家の恥部にお付き合いありがとうございました!
皆さんも道具を上手く使って良い場と流れを作ってみてください!
明日は私のふりかえりの心の師匠、森一樹さんです。