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組織のオンボーディングについて本気出して考えてみたら、プロダクト開発に活かせそうだった話

Last updated at Posted at 2019-12-23

こちらは、GLOBIS Advent Calendar 2019 23日目の記事です。

こんにちは、グロービスでプロダクトマネージャーをしている神崎です。
今回は、新規入社者受け入れ時のオンボーディング改善プロジェクトを進めてみての気づきなどについてお話をさせていただきます。

オンボーディング改善プロジェクト誕生の背景

私たちの組織では、規模拡大に伴い多くのメンバーが加わっていく中で「新規入社者が適切なインプットができていない」という課題がありました。

入社者には、eラーニングの形で好きな時間に組織や事業についてインプットが可能なオンボーディングプログラム(以降、eオンボーディングと呼びます)を提供していましたが、その内容についても改善が必要な点が多くありました。

そこで様々なチームから職種の異なるメンバーが4名招集され、
「オンボーディングプロセスを最高によくする」
というシンプルなミッションのみが与えられ、プロジェクトが始まりました。

そもそもなぜオンボーディングに力を入れるのか

オンボーディングとは「新規入社者がスムーズに社内で良好な人間関係を構築し、仕事でパフォーマンスを上げるためのプロセス」です。

これがうまくいくと
・組織の理念と個人のキャリア、スキルが合致しパフォーマンスを高められる
・さらに、双方の成長に貢献しあう関係をつくれる=エンゲージメントが高まる

のですが、うまくいかないと
・疎外感を味わう
・期待されたパフォーマンスを発揮できなくなる
・退職リスクが高まる

といったことが起こりうるため、非常に大切なプロセスと言えます。

image.png

当時のオンボーディングはどうなっていたか

入社前オンボーディング
施 策:Welcomeメール(受け入れチームから新規入社者へ)

初期オンボーディング【入社日〜入社後1週間】
施 策:初日挨拶、Welcomeランチ、総務系のオリエン、マンツーマンサポート制度、部門長オリエン
ねらい:歓迎、規定や制度について知る、業務プロセスを知る、会社のミッション・戦略・プロダクトについて知る

初期・再オンボーディング【入社後3ヶ月まで】
施 策:eオンボーディング、2ヶ月後面談
ねらい:自身のビジョン・スキルと会社のミッションとの整合性を確認する

オンボーディングに対するフィードバックや改善要望

オンボーディングを体験したメンバーの声を集めてみると、オンボーディングの施策はいくつかあるものの、それらがきれいに整理されていなかったり、ひとつひとつのクオリティに課題があることがわかってきました。

オンボーディング全体をアップグレードする必要がある
・期待に胸を膨らませて入ってくる新入社員が「ワクワク」する要素が少ない…
・組織のビジョン、ミッション、ウェイの浸透が弱い…

eオンボーディングを「読ませる」「理解してもらう」ためのものにする必要がある
・資料に一貫性がなく、文字数も多いため頭に入ってこない…
・資料がところどころ未完成、組織図が更新されていない…

オンボーディング改善プロジェクトのゴール設定

課題はたくさん見えてきたものの、プロジェクトは期間限定。メンバーも本業がある中でのことなのでプロジェクトのスコープを以下の3つを達成すること、としました

A. 理想のオンボーディングを定義する(施策はできるとこまで)
B. 現状のオンボーディング施策を整理する
C. 現状のeオンボーディングの課題点を改善する

理想のオンボーディングとは…

プロジェクトメンバーでアイディエーションと議論を行い、理想のオンボーディングが達成された状態を言語化することにしました。

以下が、私たちが定義したものです。
『入社時のやる気を維持しつつ、コミュニケーションに対する不安を軽減させる。
3ヶ月後に組織と事業を理解し、パフォーマンスを最大化させるための自信がついている状態にする。』

この言語化を行うことで、プロジェクトメンバーが何を目指すのかが明確になり、その後のプロジェクトについても各自が主体性をもって進めることができました。

理想のオンボーディングを達成するために

次に、理想のオンボーディングを達成するために、新規入社者がたどるであろうフェーズと各フェーズにおいて達成したい状態を以下と定義しました。

※デザイナーがきれいに整理してくれました

①期待と不安
 心理的安全性への不安が解消されている状態を達成したい
②理解
 組織のビジョン、ミッション、ウェイについて理解して興味をもっている状態を達成したい
③信頼と自信
 小さな成功体験を積み、自信と周囲からの信頼を獲得している状態を達成したい
④覚悟
 会社や組織のやっていることを自身の言葉で他者に説明できる状態を達成したい

プロジェクト内で行う施策

各フェーズにおいて何があれば達成したい状態に近づけることができるのか、再びメンバーで施策についてのアイディエーションを行いました。

下記の赤文字の箇所が施策として実施するものになります。

フェーズごとに施策を見ていきます。

期待と不安フェーズ

『入社一日目の感情を大切にする』

【背景】
・入社日はどの人にとっては、人生の一大イベントであるはず
・良い思い出となるように入社日を大切に扱いたい
【施策】
入社時に受け取るモノをWelcomeBoxに詰めて手渡す

※ラフスケッチとプロトタイプ
image.png

『迎える側も心づもりをする』

【背景】
・オンボーディングの中で、マンツーマンサポーターも大事なミッションを担っている
・マンツーマンの役割が一箇所にまとまっているとヌケモレが発生しない
【施策】
マンツーマンサポーターマニュアルを作成し、必要なToDoをまとめておく
image.png

理解フェーズ

『組織の方向性を明確に伝える』

【背景】
・組織が今後、何に取り組むかを示す
・方向性を示すときには『なぜ』を必ず伝え、メンバーに理解と納得を促す必要がある
【施策】
組織のビジョン、ミッション、ウェイに関する資料を整備する
具体的には、背景説明を加えストーリー形式で読み手に伝わるものにする

信頼と自信フェーズ

『感謝していること伝える』

【背景】
・正式にチームのメンバーとなってくれたことへの感謝の気持ちをダイレクトに伝える
・メンバーが、自身のことを見てくれていたんだという安心感や信頼感を感じてもらいたい
【施策(案)】
3ヶ月の試用期間を終えたタイミングで、チームからThanksカードを送る

まとめ

オンボーディング施策としては、今回のプロジェクト期間内では未実施のものもあり、今後は次のメンバーに引き継いでいくことになります。

プロジェクト開始当初を振り返ると、それまでは業務で絡みのなかったメンバーもおり、元コンサル、デザイナー、エンジニアリングマネージャーといったそれぞれの背景も異なる中で、お互いに期待していることがわからずモヤモヤしてしまうときもありました。

話し合いを重ねる中で期待役割を言語化し、お互いを信用することで結果的には協力してプロジェクトを進められたと思います。

また、今回プロジェクトリーダーを担当させてもらったことで、「常に全体像と具体(施策) を意識すること」「プロジェクト外の関係者とは、行っていることの背景を丁寧に伝えつつコミュニケーションをとること」の大切さを学びました。

この学びを本業であるプロダクト開発に活かしていきたいと思います。

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