①初めに
概要
- 日本の心理的安全性が世界と異なるのは、日本特有のスパイト行動によるものでは。
- 組織開発を試してみたが、スパイト行動を考慮した心理的安全性の確保が大切だと感じた。
活動の背景
- DX推進のために、社内で組織開発活動(風通しの良い組織作り)が行われていた。
- 上記活動の中で、社員側と管理職側は共に変わろうという変革の姿勢を見せた。
- なので私も変わろう。
- 社内で心理的安全性が重視されていたので、これを踏まえて行動しよう。
②理論
(1) 世界の心理的安全性
心理的安全性の定義と、測定するための7個の質問
⇒参考にはなったが、日本にはこれ以外の「物言えぬ文化 = 言ったもん負け」があるように感じていた
⇒仮に「無知・無能・ネガティブ・邪魔」でない、「博識・有能・ポジティブ・必要」なケースでも、日本では言えない場合があるのでは
心理的安全性: 心理的安全性とは、対人関係においてリスクある行動を取ったときの結果に対する個人の認知の仕方、つまり、「無知、無能、ネガティブ、邪魔だと思われる可能性のある行動をしても、このチームなら大丈夫だ」と信じられるかどうかを意味します。
(2) 日本の心理的安全性測定項目
日本で心理的安全性を感じられる4つの因子(話しやすさ・助け合い・挑戦・新奇歓迎)
⇒確かに日本ではこの4因子があれば、心理的安全性を感じられると思った
(日本ではこの4因子が特に不足しているので)
⇒ただ「どうして日本ではこの因子が重要なのか」が、わからなかった
因子 | 因子がない場合 |
---|---|
話しやすさ | 誰も何も言わなくなる/言えなくなる |
助け合い | 問題を抱え込む。困っている人がいても見て見ぬふり |
挑戦 | 先例主義。過去に例がないとやらない/やれない |
新奇歓迎 | 画一的な社員。異分子は排除 |
こうした研究とビジネスの現場の計測から見えてきたのは「日本の組織では、(1)話しやすさ、(2)助け合い、(3)挑戦、(4)新奇歓迎 の4つの因子があるとき、心理的安全性が感じられる」ということです。
(3) 日本特有のスパイト行動
日本特有の「スパイト行動」(自分が損してでも他人をおとしめたいという行動)
⇒日本と世界の心理的安全性が異なるのは、この日本特有のスパイト行動が原因では
①スパイト行動が顕著な日本では、周囲からのスパイト行動を恐れる人が多いのでは。
⇒極端な例だと、「どんな些細な言動でも、それを誰かが気に入らなければ、その人が利益度外視で個人攻撃(スパイト行動)してくる」など
②スパイト行動があるために、何らかの名目や周囲に言い訳できる理由(例えば人から指名された等)がなければ、ありとあらゆる言動が難しくなってしまうと。
⇒何がきっかけで周囲からのスパイト行動に繋がるか分からないので、「自発的には何もしない」が正解になってしまう
③日本で心理的安全性を感じられる4つの因子(話しやすさ・助け合い・挑戦・新奇歓迎)は、全てがスパイト行動に関係しているように思われる
⇒周囲から無知、無能、ネガティブ、邪魔だと思われるより、周囲から利益度外視で個人攻撃(スパイト行動)される方が怖いから?
④どの様な言動が、周囲からのスパイト行動のきっかけになるか
⇒本人の言動だけでなく、周囲の些細な反応でもスパイト行動のきっかけになってしまうので、周囲側も何も反応できなくなってしまう
因子 | スパイト行動がある場合の本人 | スパイト行動がある場合の周囲 |
---|---|---|
話しやすさ | 全ての言動が、スパイト行動のきっかけに ⇒ 何も言わない | 言動への反応が、スパイト行動のきっかけに ⇒ 何も反応しない or 必要最低限の応答 |
助け合い | 助けを求めることが、スパイト行動のきっかけに ⇒ 助けを求められない | 周囲に手を差し伸べることが、スパイト行動のきっかけに ⇒ 手を差し伸べられない |
挑戦 | 挑戦する事が、スパイト行動のきっかけに ⇒ 挑戦しない | 挑戦への賛同が、スパイト行動のきっかけに ⇒ 何も言わない or 賛同しない |
新奇歓迎 | 新奇な姿勢が、スパイト行動のきっかけに ⇒ 新奇な姿勢を見せない | 新奇を歓迎する姿勢が、スパイト行動のきっかけに ⇒ 何も言わない or 歓迎しない |
この実験によれば日本人は「スパイト行動」、つまり「自分が損してでも他人をおとしめたいという嫌がらせ行動」が顕著であったというのです。
③実践
社内の事は書き辛いため簡単に。
- 「心理的安全性のつくりかた」を見て、色々試してみた。(話しやすさ・助け合い・挑戦・新奇歓迎の姿勢)
- 大半の場合、上記の「スパイト行動がある場合の周囲」の反応が返ってきた。
④まとめ
感想
- 色々挑戦した事で学びと成長を得られたので、やってみた事自体は良かった。
- ただ組織変革のハードルは高いと感じた。(企業風土がある日突然変わるわけではないので。何かの活動で変わる姿勢を見せても、それだけで即座に変わる事は難しいのでは)
- 日本では、何かする際どうしても「周囲からのスパイト行動」リスクが残る。リスクを0にはできないが、なるべくリスクを減らす言動を取った方が良いと感じた。(周囲に十分説明する・周囲が不安に感じる要素を減らす・事前の根回し等)
考えた事
日本特有の風習や文化(根回し・忖度など)は、大体このスパイト行動で説明ができるのでは。
⇒根回しは周囲からのスパイト行動をなるべく減らすため、忖度は自分は何も言わず相手側に汲み取って貰う事で周囲からのスパイト行動を防ぐ
⇒こういう風習が好きでない人もいるかもしれないが、スパイト行動リスクを減らしたい場合は、やった方が良いかもしれない
ただこれだと本来不要だったコストが発生し生産性が落ちるし、VUCA時代への柔軟な対応や新しい事への挑戦が難しくなるため、スパイト行動がない世界と競っていくのは大変かもしれない。
因子 | 日本 | 世界 |
---|---|---|
根回し | スパイト行動を防ぐため、じっくり時間をかける | 不要 or スパイト行動がないので最低限で済む |
忖度 | スパイト行動を防ぐため、周囲の心中や考えを最大限推し量る | 不要 or スパイト行動がないので最低限で済む |
挑戦 | 困難 | 容易 |
生産性 | 上記要因で低くなる | 高い |
P.S. 時間なくて箇条書きになってしまったので、後日もう少し清書します。すいません。