はじめに
MapLibre User Group Japanの@Kanahiroです。
MapLibreとは、モダンなWeb地図にまつわるOSSを傘下に収める開発者コミュニティです。本記事では、MapLibreとはなんなのか・設立経緯・主要なソフトウェア群を紹介します。
MapLibreとは
「モダンなWeb地図にまつわるOSSを傘下に収める開発者コミュニティ」と述べましたが、GitHub Organizationがあり、そこで活動する団体です。法的な根拠があるのかよくわからないですが、立候補・投票制の理事会(Governing board)、投票者(Voting Member)からなる、それなりにしっかりした組織です。主に欧州のメンバーが中心となって開発が進んでいます。2022年ごろからAWSやMetaといった大企業からのスポンサーも受けており、それなりに安定した活動をしている印象です。
設立の経緯
2020年12月に、Mapbox GL JSのv2.0.0がリリースされた際に、それまでのBSDライセンスからプロプライエタリへと移行しました。これに伴いフォークされて生まれたのがMapLibre GL JSです。このときに、MapLibreというOrganizationも同時に出来ました。これが設立の経緯で、この時点では現在までの展開はそこまで意識されていなかったと思います。実際、しばらくの間はGL JSのメンテナンスが主たる活動でした。
MapLibreの主なソフトウェア
当初はMapboxのOSSのフォークという位置付けでしたが、3年を経て独自路線へシフトし、ベクトルタイルを中心としたWeb地図のエコシステムを担うようになっています。これは、MapLibreのリポジトリをチェックすれば、現代のWeb地図に必要な基礎技術を利用できるということを意味します。
以下ではMapLibreの主要なソフトウェアを紹介します。
MapLibre GL JS
- ブラウザ向けの高パフォーマンスな地図ライブラリ
- 豊富な地図デザイン機能
- 地形表現
- TypeScriptで書き直されている
MapLibre Native
- Mapbox GL Nativeのフォーク
- C++で書かれている
- Node.js, iOS, Android, Qtなどのネイティブ向けの実装
- iOSではOpenGLからMetalへの移行を進んでいる
Martin
- PostGISバックエンドなベクトルタイルサーバー
- Rust/Actixで書かれていて高速
- glyph/spriteの動的配信に対応
2023年11月9日に開催したMapLibre Meetup Japan #01の筆者発表にてMartinの紹介をしました。詳しくは下記のスライドをご覧ください。
https://docs.google.com/presentation/d/1BKaVgIV1jO2rudI0UJHccs8RVLGotQpYdlWj1iVROMQ/edit?usp=sharing
maplibre-rs
- Rust/wgpuで書かれている
- WebGPUのPoCのための実験的リポジトリ
その他にも多数のリポジトリがあるので、ぜひOrganizationを覗いてみましょう。
終わりに
AWSなどのビッグテックのスポンサーも継続しており、今後も安定した運営が期待できます。
MapLibre User Group Japan(MUG-JP)
MUG-JPは、MapLibreソフトウェアの日本での普及を応援しています!