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アメリカのデータサイエンティストの給料を比べたら、やはりシリコンバレーが圧倒的に高いらしい

Last updated at Posted at 2019-09-12

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データサイエンティストの給料は高い!というのはこれまでも何度か紹介してきたと思いますが、最近Tony Yiuというデータサイエンティストが、アメリカのH1Bという労働ビザに関するデータを使って、アメリカの企業でデータサイエンティストとして仕事をしている人たちの給料を調べたものを公開してたので、ここで簡単に紹介します。

  • How Much Do Data Scientists Make? - Link
  • How Much Do Data Scientists Make Part 2 - Link

H1Bとは外国人がアメリカの企業で正規社員として仕事をするために必要な一般的な労働ビザです。グリーンカードのような永住権とは違い、一定の期間のみ(3年ほど)のビザですが、外国人は普通はまずこのH1Bのビザを取り、そのあとグリーンカードを申請することになります。私の場合もそうでした。

ちなみに、アメリカでは(他の国でも同じようなものだと思いますが)外国人を雇用する時には、まずは国内で採用の募集を行っているという事実が必要となります。アメリカ国内の企業が外国人を安いからといって雇っているわけではなく、募集している人材が国内には見つからないので外国人を採用するのだ、という事実を証明する必要があるのです。

そしてそれぞれの企業は政府の機関であるDepartment of Labor (DOL)に対して、その際の人材募集の情報をthe Labor Condition Application (LCA) という形で提出する必要があるのですが、それらがまとめられているサイトがあり、さらにその情報をとりやすくしているサービスがあります。

今回Tonyはここからデータを取ってきて分析しているのですが、以上のような背景から、このデータはおそらくアメリカ人や永住権を持っているデータサイエンティストの給料水準と比べてもおそらくほぼ同じだろうと仮定しています。

データサイエンティストの給料が高い企業

まずは、直近の2018年と2019年に採用があったデータサイエンティストの給料の中央値を企業ごとに高い方からリストしたのが以下のチャートです。

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アルゴリズムを使って洋服を選んで送るサービスを提供しているStitch Fixがトップですが、ここは中央値が190,000ドルです。だいたい2000万円くらいです。ぶっとんでますね。

Stitch Fixに関しては以前いくつかの記事で紹介したので興味のある人は見てみて下さい。

  • Stitch Fix - 好奇心ドリブンのデータサイエンスがイノベーションを生み出す - リンク
  • StitchfixがどうやってAIを使ってるのか覗いてみた - リンク

その次が、Airbnbの164,765ドル、Uberの競合の配車サービスのLyftが155,000ドル、そしてFacebookが150,000ドルです。

Airbnbに関しても以前いくつかの記事で紹介したので興味のある人は見てみて下さい。

  • Airbnbで必要とされる3つのデータサイエンスの仕事のタイプ - リンク
  • Airbnbがデータ・ユニバーシティによってデータサイエンスを民主化する仕組み - リンク
  • AirbnbのデータサイエンティストはなぜRが好きなのか? - リンク

もっと下の方に行くと、従来のエンタープライズ・テック企業のOracle、SAP、IBMとかが出てきますが、このへんはだいたい100,000ドル前後です。

このあたりの企業は、データサイエンティストという肩書を持っててもちょっと怪しい人たちが結構いたりするのも事実ですが。(はい、少なくとも私が昔いたOracleではある意味、言ったもん勝ちみたいになっていました。)

同じデータサイエンティストでも行く企業によってこれだけ給料が違うのであればよく検討してから言ったほうがいいですね。

一つ奇妙なのがGoogleがリストされていないことですが、これはGoogleはデータサイエンティストという職種の名前を使っていないからかもしれません。

データサイエンティストの採用の数

次が過去5年間のデータサイエンティストの採用の数です。

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これは、Facebookが圧倒的なトップで300人ほど。その次がMicrosoftの230人くらい、そしてUber、Airbnb、Amazonが続いています。

トレンディなテック企業 vs. それ以外の企業

かっこいいテック系の企業とそうじゃない企業にわけてそれぞれの中央地を過去5年にわたって比べたのが以下のチャートです。オレンジ色がテック系企業です。

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この「トレンディ」という基準は著者のTonyが主観的に決めたものですが、感覚的には私も同感です。

「平均的なエンジニアリング系の学校を卒業する人が行きたいと思う企業かどうか?」という質問に対する答えをもとにしているそうですが。。。

例を上げると、「トレンディ」なテック企業は、Google, Facebook, Apple, Airbnb, Uber, Lyft, Stitch Fix, Opendoorなどで、そうじゃないイケてない企業は、IBM, Cisco, Oracle, Boeing, Nordstrom, Schlumberger, とのことですが、ようはテック系とそうじゃない系に分けて、テック系から「終わってる」会社を除いたのが、「トレンディ」なテック系企業ということなのでしょうか。

で、もちろんのこと、トレンディなテック系企業ではデータサイエンティストの採用時の給料はこの5年間どんどんと上がっていっているのに対して、イケてない企業では給料はほぼ横ばいです。

ちょっと前に、「データサイエンティストはセクシーだ」と言ってた記事などがあったりしましたが、それは「セクシー」な会社でデータサイエンティストしてるからであって、そうでない会社でデータサイエンティストをしててもセクシーではないということなのでしょうか。

ただ、ちょっと真面目な話をすると、OracleとかIBMといったイケてない企業はデータサイエンティストを採用しようとしているわけでもないのに、データサイエンティストだといって募集している場合があるというのが、こうした企業でのデータサイエンティストの採用時の給料が伸びていない理由なのではないかと疑ってしまいます。

ちなみに、私は個人的にはすべての企業にデータサイエンティストが必要だということはないと思いますし、データサイエンティストをたくさん採用しているからいいということでもないと思います。データに関わる仕事はたくさんあり、データを使ってビジネスを成長させるにはどれも重要な仕事です。

しかし、データサイエンティストといって採用したあげく、実際にはいわゆるデータサイエンティストとして期待されている仕事をするような状況にない、もしくはそんな仕事が用意されてもないというのでは、それはただの詐欺だと思います。

逆にこの「トレンディ」と言われている企業たちは、実際にデータサイエンティストが活躍できるような基盤や仕組みがすでに整っているのでしょう。すでにデータが集積されていて、さらにそれを使ってビジネスやプロダクトを成長させるための文化や仕組みがすでにあるのではないでしょうか。

そうであれば、データサイエンティストがより多くの価値をデータから生み出すことが可能なわけですから、彼ら彼女らにどんどんと高い給料を払っていくのも、それは効率の良い投資と考えることができるのではないでしょうか。

そこで、給料を高くして優秀なデータサイエンティストを雇うというのを目的としてしまうのではなく、データサイエンティストが活躍できるような仕組みを先に作ってから、優秀なデータサイエンティストを雇うための手段として給料を高くするというのが順序ではないでしょうか。

この仕組みというのは、まずは技術的な話として、データが集まっているか、それを分析するための基盤が整っているかといったものが重要なのはもちろんです。

しかし、それ以上に重要なのはデータを使ってビジネスを成長させていくという文化があるのか、データを分析して仮説を構築したり、実験したり、検証したりといったことが意思決定のプロセスに組み込まれているのか、経営層、部門のリーダー層が「データを使う」ということを理解できているのかということだと思います。

データサイエンティストに限らず、データに関わる仕事を探す際には、給料はもちろん重要な要素ですが、それ以上に自分が活躍できるための、データを使ってビジネスを成長させるという文化や仕組みがすでにあるのかということをしっかりと調べることが重要だと思います。そうでないとだいたい入社してから半年くらいで失望することになります。

シリコンバレー企業とそれ以外

日本に行った時にシリコンバレーのテック企業の話をすると、日米の差として捉えられることがあるのですが、そうした時によく強調するようにしているのが、シリコンバレーはアメリカの中でもかなり特別な場所だという事実です。

シリコンバレーのテック企業がソフトウェアやデータに関して、いかに進んでいるからといって、日本はいかに「アメリカ」や「海外」に比べて遅れていると悲観的になってしまう必要はないと思います。

というのもアメリカの中でさえ、例えばニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴなどといった大都市でさえ、シリコンバレーと比べればかなり遅れているというのが現実だからです。

ようはシリコンバレーがかなり先に行ってしまっているということだと思います。

そこで、アメリカの主要都市とシリコンバレーでのデータサイエンティストの採用時の給料の中央値を比べたのが以下のチャートです。

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そして、シリコンバレーとそれ以外の地域での給料の中央値の過去5年の推移を表したのが以下のチャートです。オレンジ色がシリコンバレーの企業です。

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こちらはシリコンバレーのすべての企業の中央値なのでOracleのようなイケてない企業のデータも入ってきていますが、それでもシリコンバレーのデータサイエンティストの給料が伸びていっているのに対してそれ以外の地域ではあまり変わっていないのがわかります。

ところで、一つ注意が必要です。というのも、これはベースの給料のみのデータを比べているからです。例えばニューヨークにある金融系の企業などはボーナスが全体の収入に占める割合が大きかったりするので、最終的に手取りで比べるとどうなのかはここからはわかりません。

給料高いけど家賃は高くなく快適に暮らせる場所は?

それでは、データサイエンス関係の仕事を探すなら給料の高いシリコンバレーに行くべきなのかというと、そんなに単純ではないかもしれません。

というのもこのあたりの家賃はものすごく高騰していていまやニューヨークよりも高いからです。

シリコンバレーとアメリカの主要都市の家賃の中央値は以下のようになっています。

City / Area レントの中央値
Bay Area (Silicon Valley) $3,300
Seattle $2,100
New York City $2,700
Los Angeles $2,400

そこで、データサイエンティストの給料を家賃で割ったものがこちらのチャートになります。

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シリコンバレー(ベイエリア)は家賃の3倍ほどであるのに対して、シアトルは4倍から5倍くらいです。

ということで、給料という点からは、シアトルでデータサイエンティストの仕事を見つけることができれば、より快適な生活が送れるということですね。

以上、Tonyのレポートからおもしろいなと思った部分を抜き出して簡単にまとめてみました。

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