概要
https://www.kahaku.go.jp/research/publication/sci_engineer/download/28/BNSM_E2803.pdf
これに載ってる手作り分光器を作成して蛍光灯とか太陽光を分光してスマホのカメラで撮影してみた。蛍光灯の水銀による輝線は割とくっきり見えるなど思ったよりも分解能が高かったのだが、太陽光を撮影したときのフラウンホーファー線(暗線)は肉眼ではギリギリ見えたがスマホカメラには映らなかった。実際に撮影した分光画像のスペクトル線でどれがどの波長に対応しているのかが分からない。ググってみたら、グレースケールに変換したスペクトル画像の画素値からプランクの輻射公式で求めた黒体輻射のスペクトルで割り、その比の値から分光感度曲線を求めることが出来るそう。[1]
この部分が分からないので詳しい人解説してくださったら嬉しいです。
引用:
[1]紫外線の可視化 花編
https://blogs.yahoo.co.jp/fushionotori1/53364550.html#53364550
簡易分光器の製作に関して
使った材料や道具は以下の通り
・回折格子DVD-R(4.7GB, 回折格子間隔0.47µm)
・工作用紙(厚紙)
・木工用ボンド
・カッター
・迷光対策用の艶消し黒アクリルスプレー300ml
工作用紙に寸法を測り作成した展開図
組み立て前に迷光対策(必須)で艶消しの黒スプレーを塗布しておく。のりしろ部分はテープなどでコーキングする。
あとは組み立ててDVDの差込口からDVDを挿入して観測窓を覗けば分光画像が見られる。
図1.蛍光灯の分光スペクトル観測結果
肉眼では画像左の青線よりも更に左の短波長側で紫のスペクトル線が見えていた。赤い波長帯域で青白いノイズが入っているのが見えるがこれは自作分光器の隙間から迷光が入っているせいである。
図2.太陽光の分光スペクトル観測結果
画像内の下の方の黒い線は入射光のスリット部分にゴミが詰まっていたのでそれが影になってしまっている。
(後日に再撮影を予定)
図3.太陽光の分光スペクトル画像をOpenCVでBGRに分解した画像
BGR画像→B,G,R(1チャンネル、グレースケール)に分離→B,G,R(3チャンネル画像)に合成。という過程で出力されたのが上の画像。BGRグレースケール画像に対しプランクの輻射公式を利用するとカメラの分光応答曲線が求まるそう。まだその導出ステップが分からないので後日載せたいです。
コメントなどで分光感度の求め方など教えて頂ければ嬉しいです。
※3/26追記
引用[1]のページでコメント頂いたところ、「スリット間隔が広い」「露光時間が長い」とご指摘を頂いた。スリット間隔は出来るだけ狭くするつもりで加工したみたがこれ以上狭くするのは難しそうだった。スリット間隔を定規で測ってみると大体1mm弱ほどになっていたがもう少し狭くすると分解能が上がるようだ。
ただしスリット間隔を狭めると光量が落ちる為、狭ければ狭いほど良いというわけでも無いそうだ。スリットと回折格子の間隔を長く取れば分解能が向上するとの情報が見つかった[2]。
分光スペクトルの分解能を N、スリットと回折格子の距離を L、スリット間隔を s と定義すると、分解能は
N=L/s
で求まるそう。
引用:
[2]http://seppina.cocolog-nifty.com/blog/2016/06/--7ce7.html#a03
スリットは狭ければ狭いほどよさそうに思えますが狭ければその分だけ光量が減るので実際はそうでもないです。分解能という意味では重要なのはスリットと回折格子間の距離 L をスリット間隔(スリット高、スリット幅) s で割った値 N=L/s です。Nが大きいほど分解能がよくなります。経験的にはNを大きくするためにはsを小さくするよりLを大きくした方がいい結果が得られるようです。
なお、Nが大きいほど分解能がいい、と言ってもCDを使った分光器のNとDVDのNを比較するのは反則です。
またスリットの間隔について、筆者はカッターでスリットを切って開けたのでスリット間隔は一定ではなく、同じ分光スペクトル線でも線が太い部分や細い部分が観測された。この辺はハンドメイドの限界というか(筆者が不器用なだけだが)微細加工の業者に依頼するなどしてパーツを作ってもらう必要があるかもしれない。最早簡易分光器とは呼べないかもしれないが。
露光時間を短くして再撮影してみた
スリット間隔は以前と同じで(微細加工が難しい)、露光時間やフォーカスを弄って撮影しなおしてみた結果が上の画像。以前よりも綺麗に輝線が見えるようになったがスリット間隔sやスリットと回折格子の距離Lは変わってない為分解能は変わらずである。今見えている輝線の波長を特定する為には理科年表に載ってる殺菌灯(水銀ランプor水銀灯)の輝線の位置と比較する必要があるそう。理由は水銀灯は輝線の位置が非常に明瞭に見え、波長を決定することが比較的容易な為らしい。一応蛍光灯でも輝線は見えるので波長の決定には使えるらしいが。
今後の予定では輝線の波長を特定し、線形近似?で分光感度を校正し、分光応答特性を求めるつもり。それに加え、より分解能の高い分光器を製作することも必要であると考える。
露光時間を更に短くして再撮影してみた
[1]より分解能を決定するにはまだ露光時間が長いとのご指摘を頂いたので更に短くして撮影してみた。ちなみにこれまでの画像とは違い、SONY製の一眼レフカメラが自宅にあったのでこれを使って撮ってみた。慣れない一眼レフで輝線がはっきり見えるまで苦労したがなんとか撮影できたので以下に掲載しておく。
デジタル一眼カメラα SLT-A57 主な仕様
https://www.sony.jp/ichigan/products/SLT-A57/spec.html
露光時間を更に短くして他の蛍光灯を撮影してみた
ここまでに掲載した蛍光灯には網状のミラーがかかっており、どうも連続スペクトルが観測できなかったので、別の場所でむき出しになっている蛍光灯を撮影してみると連続した帯スペクトルの途中に水銀の輝線が見える像が取れるようになった。緑の線が546.1nmの輝線らしいのでImageJでGray-Valueに変換して波長毎の強さを見てみたいと思う。