はじめに
今回私が読んだ本は「遅考術 じっくりトコトン考え抜くための「10のレッスン」」です。
それを読んで重要だと思った部分を簡単に紹介したいと思います。
遅考術 じっくりトコトン考え抜くための「10のレッスン」
なぜ読んだか?
私は社会人4年目のエンジニアです。
最近これまで得た知識や経験を少し積んだからか起こった事象に対して原因や背景を推測できるようになって行きました。
しかし、それにとらわれて結論を急ぎすぎる、1つの可能性に固執する、記憶で会話するといったことがあり、
それによる失敗が増えてきました。
よってこの本でじっくりゆっくり考えるコツを学びたいと思い読みました。
本の形式
この本は3人の登場人物が会話してストーリーが展開していく対話形式の本です。
遅考術について教えてくれる教授と、教授への相談者が一人、相談者の付きそいでアドバイザーが一人です。
本はテーマごとに分かれており、それに沿った問題→回答・ポイント紹介→問題 といった流れで進みます。
自身も考えながら本を読む必要があります。
本の内容
以下で本の核心部について述べていきます。
二重プロセス理論
まず、前提としては考えるプロセスには2種類あります。
- 直感 例)連想、パターン認識
- 熟慮 例)順序立てた計算
直観は頭にポン!と思い浮かんだ、連想やことわざクイズのようなもとからの知識や経験からはじきだすものです。
対して熟慮は、129×295といった複雑な計算など順序だて考えるときに使います。頭を使って考えるといったときは大体熟慮が当てはまると思います。
同じ事象に遭遇しても人によっては直観で回答を出し、人によっては熟慮が必要になります。
今回は 遅考術=熟慮を行う方法 として解釈してください。
なぜ熟慮が必要なのか?
直観に頼りすぎてしまうと、うっかりミスやはやとちり、思い込みによる間違いが多発してしまいます。
これを思考のエラーと言います。
思考のエラーを防ぐためにも熟慮が必要です。
熟慮する方法(遅考術)
ではどのように熟慮を行えばいいのでしょうか?
基本的な方法は以下です。
- 思いついた考えや言われたことを否定する
- Aではないのではないか
- 条件を何度も確認する
- もっともだと思える仮説に辿り着くまで、粘り強く考える
- 想像力を働かせる
- 文献を参照する
- 人に聞く
書いてみれば簡単かもしれませんが、これが意外に難しいです。
考えてもよくわからず放棄してしまったり、直観が誤作動して間違えた答えをはじき出してしまったり…。
訓練することによってこれを習慣化することができます。
否定の仕方
ただ単に否定するにも方法があります。
基本的な構文としては、思いついたことに対して「〜ではないのではないか」「〜は間違いなのではないか」とポジティブに 事実を否定する 形にします。
思考のエラーを引き起すバイアス
直観が誤作動しやすいバイアスというものがあります。日本語訳すると先入観となります。
以下は本で紹介されている一部のバイアスです。
- 代表性バイアス:「頭に思い浮かびやすいものほどその数や起こりやすさを大きく見積もってしまう」思考の傾向
- 利用可能性バイアス:「記憶から呼び出すのが容易なものの方がそうでないものに比べて実際に起こる確率が高く、発生件数が大きいととらえてしまう」思考の傾向
代表性バイアスの代表性とはステレオタイプとも言い換えられます。例えば美術が好きな人なら、経済学部と美術学部では美術学部の可能性が高いだろうと思い浮かべるかもしれませんが、実際は創設学部の数や全学生の比率から経済学部の可能性の方が高いことが分かります。
利用可能性バイアスは、例えば直近で飛行機の事故が発生すると飛行機を避け別の交通手段(車とか)に切り替え出すことです。実際に飛行機と車で言えば圧倒的に車の方が事故件数が多いんですけどね。
本記事で紹介したものは一部ですが、このようなバイアスがあることを知り、それに対して対策を行うことが重要です。
本書ではこれ以外にも複数のバイアスや思考のエラーを起こしやすい状況を紹介し、それに対しての対策を説明しています。
さいごに
遅考術は思考プロセスを変えていく必要があるので、それなりの訓練を継続する必要があります。
この本とともに遅考術をさらに学び、マスターしたいと思います!