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本日の微分方程式(22日目)

Last updated at Posted at 2023-05-26

前回の内容はこちら

問題

$n\neq 0,1$ とするとき,次の微分方程式は ベルヌーイの微分方程式 と呼ばれる.

\begin{align}\tag{1}
\dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}+P(x)y=Q(x)y^n.
\end{align}

以下の手順に従い,ベルヌーイの微分方程式は,適切な置換により一般線形微分方程式に帰着できる ことを確認せよ.

STEP1. 両辺を $y^n$ で割る
STEP2. $y^{1-n}=u$ とおき,STEP1で得られた式を, $x$ に関する $u$ の微分方程式に書き換える.

【参考】 一階線形微分方程式

\begin{align}\tag{2}
\dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}+P(x)y=Q(x).
\end{align}

ポイント

  • $y^{1-n}=u$ とおいたわけですから,$u$ も $x$ の関数であることに注意しまししょう.
  • ベルヌーイの微分方程式については,ヨビノリさんの動画もご参照ください.

解説

誘導通り変形していきます.


STEP1 両辺を $y^n$ で割る

$y^n\neq 0$ のとき,式(1)の両辺を $y^n$ で割ったものは以下の通りです.

\begin{align}\tag{3}
y^{-n}\dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}+P(x)y^{1-n}=Q(x).
\end{align}

STEP2. $y^{1-n}=u$ とおき,STEP1で得られた式を, $x$ に関する $u$ の微分方程式に書き換える.

式(3) を眺めてみると, 左辺第一項 $y^{-n}\dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}$ が厄介ですね.
今回は丁寧に誘導がついているので,$y^{1-n}=u$ の両辺を $x$ で微分し,$y^{-n}\dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}$ の形が現れることを祈りましょう(この分野では変数変換と微分は基本セットです).
$y^{1-n}=u$ とおいたわけですから,$u$ も $x$ の関数であることに注意して,次のように微分を行います.

\begin{align}\tag{4}
\dfrac{\mathrm{d}(y^{1-n})}{\mathrm{d}x}&=\dfrac{\mathrm{d}u}{\mathrm{d}x},\\
(1-n)y^{1-n-1}\dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}&=\dfrac{\mathrm{d}u}{\mathrm{d}x},\\
\therefore y^{-n}\dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}&=\frac{1}{1-n}\dfrac{\mathrm{d}u}{\mathrm{d}x},\\
\end{align}

少々難しいですが,1行目から2行目への左辺の変形では,合成関数の微分 $\left\{f(g(x))\right\}^\prime = f^\prime(g(x))g^\prime(x)$ および $(x^\alpha)^\prime=\alpha x^{\alpha -1}$ を用いました.
さて,有難いことに式(4)では,求めていた $y^{-n}\dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}$ の形が現れましたね.
式(4) および $y^{1-n}=u$ を式(3)に代入すると,次のようになります.

\begin{align}\tag{5}
\frac{1}{1-n}\dfrac{\mathrm{d}u}{\mathrm{d}x}+P(x)u=Q(x).
\end{align}

やりましたね!これは一階線形微分方程式です.わかりにくいよって方は,両辺に $1-n$ をかけてみましょう.

\begin{align}\tag{6}
\dfrac{\mathrm{d}u}{\mathrm{d}x}+(1-n)P(x)u=(1-n)Q(x).
\end{align}

$(1-n)P(x)$ や $(1-n)Q(x)$ は $x$ の関数ですから,紛れもなく式(5)および式(6)は一般線形微分方程式です.

【補足】 n=0 のときと n=1 のとき

本問では $n\neq 0, 1$ としていましたが,実はどちらも一階線形微分方程式となります.

  • $n=0$ のとき

式(1)に $n=0$ を代入すると,$y^n=y^0=1$ ですから,式(1)は次のようになります.

\begin{align}\tag{7}
\dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}+P(x)y=Q(x).
\end{align}

これはただの一階線形微分方程式です.

  • $n=1$ のとき

式(1)に $n=1$ を代入すると,

\begin{align}\tag{8}
\dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}+P(x)y&=Q(x)y,\\
\therefore \dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}+\left\{P(x)-Q(x)\right\}y&=0,\\
\end{align}

と変形できますから,これは一階線形微分方程式と扱ってもいいですし,変数分離形とも言えます.

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