はじめに
Kです。
統計検定の準1級のCBT試験を受けてきたので、傾向と勉強方法をまとめていきます。
筆記試験を計5年分解いているので、筆記試験との違いにも言及します。
前提
学生時代から統計を使ってはいたものの、理論はおろそかになっていました。
準一級の範囲の分析手法(回帰分析・因子分析・クラスタリングなど)は、
概要は理解していて、RやPythonでパッケージを利用して分析可能なレベルです。
2級は過去に取得しており、2021年6月に、準1級としては最後となる筆記試験を受験して不合格となりました。
2021年7月からCBTの受験が開始されたので、CBTの傾向と勉強方法をまとめます。
CBT試験は、制限時間が90分、大問が21問でした。
結果
70点で、合格できました。(合格ラインは60点)
時間は結構ギリギリでした。
わからない問題は少なかったので、もう少し高得点かと思いましたが、思ったよりも減点されていました。
もしかするとですが、CBTになって、ケアレスミスを誘うような問題が増えているかもしれません。
CBTだと解き直しができないのが痛いですね。
準1級 CBT試験の傾向
CBTの問題の傾向は、公式ワークブックに近いように感じました。
全く同じような問題も、いくつか出題されまています。
ただ、ワークブックを理解しているだけでは解けないような問題も、一部ありました。
全体の構成としては、
2級までの知識で解けそうな問題が25%、
ワークブックの問題と全く同じような問題が25%、
ワークブックの細かめの部分からの問題が30%、
応用問題が20%、
くらいのイメージです。
ワークブックを隅々まで、導出も含めて完璧にしておけば、
間違いなく合格できる試験だと思います。
筆記試験と比較した、CBT試験の難易度について
筆記試験と、問題の難易度は大きくは変わらない印象です。
2021年の筆記試験は難化しており、それと比較すると、CBTの方が簡単です。
また、ワークブックの問題に近づいているので、対策がしやすく、
資格取得の難易度は少し下がったように感じます。
あとは、推定や検定の成り立ちをしっかりと理解していないと解けないような問題も一部出題されており、
難しい問題の難易度は、2019年までの過去問よりも上がっているように思いました。
全体的な難易度でいうと、ワークブックと2021年の筆記試験の中間くらいだと思います。
おすすめの参考書、勉強方法
学習におすすめの参考書を、3段階評価で挙げていきます。
A:必要
B:余裕があればやると良い
C:やらなくて良い(筆記試験対策ではおすすめされているブログもある)
2級レベルの知識がある前提で、おすすめの本をおすすめ順に挙げていきます。
2級を持っていない人や、2級の知識に不安がある方は、まずは統計学入門をやって下さい。
(もう少し簡単な本から始めても良いです。)
辞書的に持っておくと、何かと便利です。
〇日本統計学会公式認定 統計検定準1級対応 統計学実践ワークブック 重要度A
こちらはマストです。
これをやらずに合格を目指すのはかなり遠回りになりますので、必ずやって下さい。
この本をマスターすれば、合格ラインには届きます。
この本だけでは理解しきれない部分を、ネットや以下の書籍でカバーするような勉強方法を取ってください。
〇日本統計学会公式認定 統計検定1級対応 統計学 重要度B
他のブログだとあまりと触れられておらず、むしろ評判が悪いくらいかもしれませんが、私はおすすめです。
統計検定の1級と準1級では範囲が共通している部分があり、
その部分の理解を深めるのに適しています。
実際CBT試験の問題には、この本の記載内容から選択肢が作成されている問題もありました。
数式はすべて理解できなくても、流し読みしておくだけで、解ける問題が増えると思います。
個人的には、十分統計量の説明が分かりやすかったです。
ワークブックや現代数理統計学の基礎を読んでも理解しきれませんでしたが、この本を読んで理解する事ができました。
十分統計量がよくわからないという方がいらっしゃいましたら、是非その部分だけでも見てみて下さい。
〇データ解析のための統計モデリング入門 一般化線形モデル・階層ベイズモデル・MCMC 重要度B
言わずと知れた名書です。
AICの考え方や一般化線形モデルの説明、MCMCの説明が非常にわかりやすいです。
上記の範囲で、ワークブックの説明がわからない部分があれば、この本を参考にして下さい。
サンプルコードがWinBUGSを使って書かれている事が残念ですが(WinBUGSはアップデートが終了しているので)、理論の説明は一番わかりやすかったです。
〇統計検定1級・準1級公式問題集 重要度B
意外に思われる方も多いかもしれませんが、個人的には、過去問はそこまで重要が高くないです。
というのも、ワークブックが過去問の傾向を反映したものになっており、CBTの問題はワークブックから出題される傾向が強いためです。
私は2016~2019年の4年分のPBTの過去問を解きましたが、CBTの問題で過去問に似たような問題は、ほぼすべてワークブックでも問題になっていたものでした。なので、ワークブックを完璧にすれば十分だと思います。(CBT試験は2021年からであり、2020年のPBT試験は中止でした。)
とはいえ、ワークブックの理解を深める助けになる部分はあると思うので、
余力がある方はやって下さい。
時間配分が気になる方は、マークシート部分を目安90~100分くらいで解いてみるのも良いかもしれません。
〇自然科学の統計学 重要度C
勧めているブログもありましたが、CBT合格には必要ないと思います。
〇心理統計学の基礎 重要度C
上と同じく、勧めているブログもありましたが、CBT合格には必要ないと思います。
〇Udemyの講座 重要度C未満
統計検定準1級の対策としてUdemyを挙げているブログがありますが、
準1級を受けた事がない、統計を勉強した事がない人が書いているものに違いありません。
私が探した範囲では、Udemyで学べるのはせいぜい2級の範囲(のサポート)までです。
最後に
私は仕事柄マーケティングサイエンス系の論文を読む事があるのですが、
準1級を取るために数理統計の勉強をした事によって、論文を読むのがすごく楽になりました。
分野によらず、統計が関わる論文を読む機会がある方には、
統計検定準1級の勉強はおすすめです。
準1級がCBT方式になり、試験の難易度は、若干ですが易化したように思います。
また、試験をいつでも受けられるようになった事により、資格保有者が増加し、
準1級の価値は次第に薄れていってしまうのではないかと考えます。
データサイエンス職として本気でやっていきたい方は、1級の学習も進めましょう。
(資格は持っている必要はないですが、知識を持っている事は役に立つと思います。)
私は準1級の勉強を通して、統計の面白さを知る事ができました。
11月の1級の試験も、挑戦したいと思っています。
ブログも書いてるので、見てもらえたら嬉しいです。