概要
このページでは、プロセスが exit
される時にどのように処理されるかについてまとめている。
リンクされた 生 プロセスが終了するときの挙動一覧
リンクされたプロセスが終了される時の挙動についての説明は 本:プログラミングErlang を見るとわかりやすい。
下の表はプログラミングErlangを参考に少し修正している。
(trap_exitで対比できるようにtrap_exitがtrueの時に終了シグナルnormalが飛んできた時を終了シグナルXの場合と分けて書いている。)
trap_exit | 終了シグナル | プロセスの生死 | 動作 |
---|---|---|---|
true | normal | 続行する |
{'EXIT', Pid, normal} をメールボックスに追加する |
true | kill | 死ぬ | 終了シグナル killed をリンクセットにブロードキャストする |
true | X | 続行する |
{'EXIT', Pid, X} をメールボックスに追加する |
false | notmal | 続行する | 通常終了シグナルは無視される |
false | kill | 死ぬ | 終了シグナル killed をリンクセットにブロードキャストする |
false | X | 死ぬ | 終了シグナル X をリンクセットにブロードキャストする |
kill
の使い方
終了理由 kill
は上の表にもある通り、 process_flag(trap_exit, true)
で補足できないことにある。
例えば、無限ループに入っていたり、 receive
で終了メッセージにマッチングしないメッセージのみで待ち受けていたりするときである。
具体的な例を次に示す。
> process_flag(trap_exit, true). % 終了理由を取得するために exit をトラップする
false
> Loop = fun Loop () -> timer:sleep(5000), Loop() end. % ループする関数
#Fun<erl_eval.44.54118792>
%% 終了シグナルをトラップするようにしたうえで無限ループをするプロセスを生成する
> Pid = spawn_link(fun () -> process_flag(trap_exit, true), Loop() end).
<0.46.0>
> exit(Pid, reason). % 終了理由 reason で終了させようとする
true
> erlang:is_process_alive(Pid).
true % 終了しない
> flush().
ok % 終了理由も送られていない
> exit(Pid, kill). % 終了理由 kill で終了させようとする
true
> erlang:is_process_alive(Pid).
false % 終了している
> flush().
Shell got {'EXIT',<0.46.0>,killed} % 終了理由は killed で終わっていることがわかる
ok
もちろん、終了を補足していない時は終了理由 reason
でも終了する。
> process_flag(trap_exit, true). % 終了理由を取得するために exit をトラップする
false
> Loop = fun Loop () -> timer:sleep(5000), Loop() end. % ループする関数
#Fun<erl_eval.44.54118792>
%% 無限ループをするプロセスを生成する(終了シグナルはトラップしない)
> Pid = spawn_link(fun () -> Loop() end).
<0.46.0>
> exit(Pid, reason). % 終了理由 reason で終了させようとする
true
> erlang:is_process_alive(Pid).
false % 終了している
> flush().
Shell got {'EXIT',<0.46.0>,reason} % 終了理由は reason で終わっていることがわかる
ok
exit(Why)
と exit(self(), Why)
の違い
リンクしているプロセスが受け取るメッセージの終了理由が kill
と killed
で異なる。
exit(kill)
の場合
リンクしているプロセスは kill
を受け取る
> process_flag(trap_exit, true).
false
> spawn_link(fun() -> exit(kill) end).
<0.35.0>
> flush().
Shell got {'EXIT',<0.35.0>,kill}
ok
exit(self(), kill)
の場合
リンクしているプロセスは killed
を受け取る
> process_flag(trap_exit, true).
false
> spawn_link(fun() -> exit(self(), kill) end).
<0.35.0>
> flush().
Shell got {'EXIT',<0.35.0>,killed}
ok
関数の詳細なドキュメント
上の関数の挙動の違いは公式ドキュメントを読むと書かれている。
( kill
が killed
に変わるということが exit/2
にしか書かれていないことより。)
また、プログラミングErlangのドキュメントも載せておく。
exit/1
-spec exit(Reason) -> no_return() when
Reason :: term().
公式ドキュメント(和訳)
終了理由 Reason
で呼び出しプロセスの実行を停止させる。 Reason
はどんな項でも良い。この関数の評価はプロセスを終了させるため、戻り値はない。
プログラミングErlang
現在のプロセスを要因 Reason
で終了させる。この文を実行している節が catch
文のスコープの中にない場合は、現在リンクされているすべてのプロセスに対して引数 Reason
を伴う終了シグナルをブロードキャストする。
(プログラミングErlangより。 Why
を Reason
に置き換えている。)
exit/2
-spec exit(Pid, Reason) -> true when
Pid :: pid() | port(),
Reason :: term().
公式ドキュメント(和訳)
Pid
で識別されるプロセスまたはポートに終了理由 Reason
で終了信号を送信する。
Reason
が normal
か kill
以外の任意の項である場合は、次の動作が適用される。
Pid
が終了を捕捉していない場合は、 Pid
自体が終了理由 Reason
で終了する。 Pid
が終了を捕捉している場合は、終了シグナルがメッセージ {'EXIT', From, Reason}
に変換され、 Pid
のメッセージキューに追加される。 From
は終了シグナルを送ったプロセスのpidである。 process_flag/2
も参照。
Reason
がアトム normal
の場合、 Pid
は終了しない。終了を補足している場合、終了シグナルはメッセージ {'EXIT', From, normal}
に変換されメッセージキューに追加される。
Reason
がアトム kill
の場合、つまり exit(Pid, kill)
が呼ばれた場合、補足されない終了シグナルが送られ、終了理由 killed
で無条件に終了する。
プログラミングErlang
要因が Why
の終了シグナルをプロセス Pid
に送信する。