イントロダクション
RIPは、最も古いルーティングプロトコルの一つであり、シンプルな設計が特徴ですが、古いバージョンにはいくつかの制約がありました。RIP-2では、柔軟なサブネット対応や効率的なマルチキャスト通信など、重要な改善が加えられています。本記事では、RIP-2の特徴と、RIP-1からの主な改善点について解説します。
1. RIP-2の特徴と役割
RIP-2はディスタンスベクタ型のルーティングプロトコルであり、シンプルな設計で小規模ネットワークに適しています。RIP-2は、RIP-1の制約を補い、柔軟なルーティングができるように設計されており、サブネット分割が必要な小中規模のネットワークで利用されます。
2. RIP-2の改善点
2.1 サブネットマスク対応で柔軟なネットワーク設計が可能に
RIP-1はクラスフルルーティングでサブネットマスクに対応していませんでしたが、RIP-2ではサブネットマスク情報を含めた経路情報を交換できるようになりました。これにより、CIDR(Classless Inter-Domain Routing)対応が実現し、サブネットの柔軟な分割と効率的なIPアドレス管理が可能です。
2.2 マルチキャスト対応で無駄なトラフィックを削減
RIP-1ではネットワークセグメント内の全デバイスにブロードキャストで経路情報を送信していたため、不要なデバイスにも影響が生じていました。RIP-2ではマルチキャストアドレスを使用し、RIPを受信したいルータだけが情報を受け取る仕組みに改良されています。これにより、必要なデバイスだけに経路情報が届き、ネットワークの負担が軽減され、パフォーマンスが向上しました。
2.3 パスワード認証でセキュリティが向上
RIP-1には認証機能がなかったため、不正なルータが経路情報を送信してしまうリスクがありました。RIP-2ではパスワード認証が導入され、指定されたルータのみが経路情報を受信できるようになりました。認証方式としては、シンプルな平文認証と、より安全なMD5認証がサポートされています。
3. RIP-2のデメリット
- ホップ数制限(最大15):RIP-1と同様、最大15ホップまでの制限があるため、大規模なネットワークには不向きです。
- 収束速度が遅い:ディスタンスベクタ型であるため、経路の変化が広がるまで時間がかかり、トラフィック増加時のパフォーマンスが懸念されます。
4. まとめ:RIP-2は小規模ネットワークで効果的
RIP-2はRIP-1の制約を克服し、サブネットマスク対応やセキュリティ強化によって、小規模から中規模ネットワークに適したプロトコルとして進化しました。マルチキャスト対応により無駄なトラフィックを抑え、認証機能で安全性も向上しています。しかし、ホップ数制限と収束の遅さから、大規模ネットワークには適していません。
最後に
RIP-2はシンプルさを保ちながらも、RIP-1からの大きな改善を取り入れたプロトコルであり、特に家庭や小規模オフィスのネットワークで便利な選択肢です。大規模なネットワークを構築する場合は、OSPFやEIGRPなど、収束が速くてホップ数制限のないプロトコルを検討すると良いでしょう。