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# 「Temperature」と「Top P」をイメージで理解する

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「Temperature」と「Top P」をイメージで理解する

はじめに

テキスト生成モデルを利用して文章を作成する際、「いったいどうすれば、自分の狙った雰囲気の文章を得られるのか?」という疑問がよく生まれます。そのときに大切なのが、TemperatureTop P という2つのパラメータです。数字をいじるだけなのに、文章の“性格”が驚くほど変わります。

ここでは、Temperature は「人の温度感」、**Top P は「蜘蛛の糸」**に見立てることで、それぞれが果たす役割を分かりやすく説明します。


1. Temperature 〜「冷たい人」と「暖かい人」のイメージ〜

1.1 冷たい人(Temperature が低い)

「Temperature」はテキスト生成における「次の単語をどれだけランダムに選ぶか」を左右するパラメータです。数字が低いほど、モデルがもともと「もっとも確からしい」と判断した単語をほぼそのまま選ぶため、いわば“冷静”で“まじめ”な印象の文章になりやすくなります。

イメージとしては、温度感がないクールな人

  • いつも規則正しく、冗談を言わない。
  • 相手に合わせて柔軟に考えたりはあまりしないが、一貫性があり安定している。

たとえば、ビジネスメールや論文の要約など、**「とにかく間違いのない、ブレの少ない文章が欲しい」**シーンでは、この“冷たさ”が役に立ちます。文章に無駄な遊びが入りにくいため、情報の正確性と一貫性が期待できるのです。

1.2 暖かい人(Temperature が高い)

一方、Temperature を高くすると、確率がやや低い単語も積極的に選ばれるようになります。これは、性格でいえば**“明るくてふざけている人”**に近いイメージです。

  • ときどき突拍子もない冗談を言う。
  • 周囲を盛り上げ、予想外の提案をする。

たとえば創作活動やアイデア発想の段階で、**「意外性のある文章が欲しい」「読者の興味を引きたい」**と思うときには、この“暖かさ”をうまく使うと面白い結果が得られます。もちろん、変わった言葉が多く混ざりすぎて文脈が破綻しやすくなるリスクもあるので、使いどころを見極めることが大切です。


2. Top P 〜蜘蛛の糸に例えるとわかりやすい〜

2.1 上位何%(P)の言葉を救うか?

「Top P」は、次の単語を選ぶ際に、確率の上位から順に積み上げていき、合計がPに達するまでの候補だけをサンプリング対象にする仕組みです。この考え方を、**芥川龍之介の小説『蜘蛛の糸』**になぞらえてみましょう。

あの物語では、天上から垂れ下がった蜘蛛の糸に、地獄から多くの亡者がすがろうとします。しかし糸が一本しかないため、上に行ける人は限られてしまう。Top Pも同じく、**「どこまでの人(単語)を救うか」**というイメージで捉えられます。

  • Top P が低い
    天井から垂れた糸があっても、救われるのはごく限られた人だけ。モデルの視点でいえば、「選ばれる単語の範囲が狭い」ので、ほぼ確実に最上位の一部しか候補に残りません。文章の変動が少なく、安定感は高いですが、多様性に欠けます。

  • Top P が高い
    蜘蛛の糸が丈夫で、より多くの人を救うイメージ。「確率上位から合計がPに達するまで」だから、Pが大きいほど救済対象も広がります。文章生成の場合は、「いろいろな単語が候補に含まれやすい」ため、表現に幅が出て、意外な選択肢が増えます。

2.2 運用例

  • Top P = 0.9(蜘蛛の糸が頑丈で多くを救える)
    上位の確率合計が90%に達するまでの単語を候補にするので、それなりの多様性が確保されます。
  • Top P = 0.1(細い蜘蛛の糸で、ほとんど救われない)
    確率的にもっとも高い1〜2個程度の単語しか候補に残らず、ほぼ固定された文章になりがちです。大量の“候補の亡者”は救い上げられない、というわけです。

3. 組み合わせて得られる文章のキャラクター

3.1 クールかつ選択肢が狭い

  • Temperature 低 × Top P 低
    “冷たい人”が“ごく上位の単語しか救わない”設定です。ほとんどブレがなく、堅実で無難な文章が出やすい反面、創造性はほぼ期待できません。
    • 用途例:公式文書、業務報告、ニュース原稿など、「ミスが許されない場面」で重宝。

3.2 クールだが選択肢は広い

  • Temperature 低 × Top P 高
    “冷たい人”が“多くの単語を救おうとする”イメージ。確率分布そのものは尖っているけれど、候補選択範囲は広い。結果として、あまりに低確率な単語はカットされるものの、複数の無難候補から選ばれやすい形です。実際に使ってみると、そこそこ安定しつつ微妙に揺らぎのある文章を得られます。

3.3 暖かいが選択肢が狭い

  • Temperature 高 × Top P 低
    “暖かい人”だけれども“トップだけを救う”。確率分布が平坦に近いのに、最上位しか選ばないため、極端な結果になりやすいという不思議な組み合わせ。強い個性を持つ単語が優先される場面がありつつも、候補総数は少ないので、見方によっては突拍子もない表現が急に挟まる場合も。クリエイティブな内容を一気に固定化するときなど、実験的に試すと面白いでしょう。

3.4 暖かく、選択肢も広い

  • Temperature 高 × Top P 高
    “明るくふざけた人”が“多くの人を救う”イメージ。低確率の単語も結構救われやすいので、想像以上に奇抜な文章になりやすいです。ブログや創作で「読者を驚かせたい」時にうってつけですが、話があちこちに飛びすぎてわけがわからなくなる可能性もあるので注意が必要。

4. 活用シーンとヒント

  1. ビジネスや公的文章には「冷たさ&細い糸」が有効

    • Temperatureを低め、Top Pを小さめにして、安定性を最優先。
    • たとえばレポートの結論づけなどで変な表現が混じると困る場合に向いています。
  2. アイデア発散には「暖かさ&太い糸」

    • Temperatureを高め、Top Pを大きくして、一風変わった単語も拾う。
    • ちょっとした発想の転換やキャッチコピー作成で、人の目を引くアイデアを期待できます。
  3. 試行錯誤を恐れず調整する

    • どちらか一方だけを変える方法で、変化を見比べてみるのがおすすめです。
    • 「Temperature 1.0 固定で Top P をいじる」「Top P 0.9 固定で Temperatureを0.2 → 1.0 → 1.5と上げる」など、小さなステップで違いを確かめてください。

5. まとめ

  • Temperature:冷たい人 or 暖かい人

    • 低い → クールでまじめ。言うことは安定。
    • 高い → 明るく面白い。意外性が飛び出しやすい。
  • Top P:蜘蛛の糸

    • 小さい → 救われる単語がごく上位だけ。文章がほぼ固定に。
    • 大きい → 多くを救うので多様性が増し、結果としてバリエーション豊富に。

たった2つのパラメータですが、数字の組み合わせで「文章がどんな風に変わるか?」を想像すると、一気にワクワクしてきませんか? 冷たい人間関係の中では安全策を選び、みんなを助けたい場面では太い蜘蛛の糸を垂らす——そんな日常感覚を思い出しながら調整すると、モデルが紡ぎ出す文章を自在に操れるようになるはずです。

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