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Iwaken Lab.Advent Calendar 2023

Day 6

SIGGRAPH Asia'23で講演する内容チラ見せ!

Last updated at Posted at 2023-12-05

こんにちは Iwaken Lab. のたかみんです!
普段は電通大の梶本研(M2)でゆったり研究して...と思いきや、オーストラリアのシドニーにある University of Sydney の School of Computer Science にて研究留学をしています。

本記事は、Iwaken Lab.アドベントカレンダー2023の6日目の記事です。
昨日のきょうすけさんの記事をご覧になってない方はそちらも是非読んでくださいね。

概要

来週の2023年12月12-15日にオーストラリア:flag_au:シドニーで開催される SIGGRAPH Asia 2023 のBirds of a Feather / CG in Japan のセッションにて講演することになったので、本記事ではその内容を チラ見せ しようと思います。
具体的には以下の話をします。

  • 自分の研究紹介
  • 近年の日本人研究者による電気刺激⚡を用いた XR や HCI 系の研究の紹介

※日本人に限っているのは日本の技術や研究を扱うセッションだからです。

SIGGRAPH Asiaとは

SIGGRAPH Asia の前に、まず SIGGRAPH (Special Interest Group on Computer Graphics) の説明が必要ですね。ひと言では説明できないのと、長年 SIGGRAPH で活躍されてきた白井博士の記事がとてもわかりやすいので引用させてもらいます。

SIGGRAPH(シーグラフ)とは、世界で最も長い歴史を持つコンピュータグラフィックスとインタラクティブ技術の国際会議です。「VRが生まれた国」である米国で、もっとも規模の大きい最大4万人規模の参加者が訪れるメガ学会です。VRの黎明期から常に、世界最新・最高の交流場所でした。
いわゆるCGに関連する学術口頭発表だけでなく、ハリウッドの映画産業や、その上映作品のメイキング、新しい技術のデモンストレーションが幅広い層に対して行われる「西海岸らしい自由な雰囲気がある国際会議」です。
日本からもCG研究、インタラクティブ技術の研究とも、Technical Papersでの論文発表や、Emerging Technologies(E-Tech)での技術のデモンストレーションを頂点に、長年日本から多くの研究者が挑戦しています。

引用元:Mogura VR / SIGGRAPHってなんですか?(1)「VRが生まれた国」からシーグラフ予備知識をお送りします ~白井博士のVRおもしろ相談室 第6回~

で、SIGGRAPH Asia とは2008年からアジア地域で開催されるようになった姉妹カンファレンスのようなものです。何回か日本でも開催されています。そして今年はなんと私が留学している先、シドニーで開催となりました。偶然!!

Birds of a Feather / CG in Japan とは

Birds of a Feather (BoF)は共通の関心、目標、技術、芸術などについて、参加者が主催するディスカッションの場のようなものです。BoF のプログラムをみると様々な団体やセッションがあることがわかります。ここから新たな理解やコラボレーションを生み出そうというのが狙いだそうです。

CG in Japan は、日本のコンピュータグラフィックスとインタラクティブ技術の最先端を深掘るセッションです。SIGGRAPH および SIGGRAPH Asia ともに ACM International Resources Committee (IRC) から依頼があって講演する形になります。
私は今年の SIGGRAPH 2023 の Emerging Technologies (E-Tech) にて研究発表をしたから依頼が来たのかなと思いきや、同じ研究内容を発表した CEDEC 2023 インタラクティブセッションでW受賞 :medal::medal: したことが理由だそうです。

image.png

ここからがチラ見せ↓↓↓

私の研究

私の研究領域は触覚インタフェースで、特に電気触覚を扱っています。電気触覚なのでもちろん電気刺激⚡を対ヒトでやるのですが、初めましての人には怖がられるやつですね。ちゃんと痛覚閾値(イッテー!ってなる刺激強度)に達しないようにキャリブレーションをするわけですが、どうにも怖いと。。。
それでも私はこの触覚提示技術を普及させたいと思い、誰もが持つであろうスマートフォンを中心としたモバイルハプティクスとして研究をスタートし、広く受け入れてくれるように楽しそうな様々なインタラクションを提案してきました。その内のひとつ、LivEdge はスマートフォンの側面に配置された電極群からの電気刺激と VTuber や Vライバーの動きを同期させることで彼らから“お触り”される体験を実現しました。つまり、この技術が普及したら 「推しに触ってもらえる」 未来が来るわけなんですね~。
SmartSelect_20230306_111020_YouTube.gif

反響あって ITmedia と日経クロステックに取り上げてもらいました。よかったら見てください。

近年の日本人研究者による電気刺激⚡を用いた XR や HCI 系の研究

カンファレンス当日に話す16件の例から4件ピックアップしました。
まずは電気刺激部位のマップから。

電気刺激マップ.png

見ての通り、沢山の箇所(赤点が刺激場所)が対象となっていますね。もちろん、講演なので時間が限られ、公開されている全ての研究を話すことはできません。なので、筆者が ここ7年で特に面白いなと思った研究 を選ばさせてもらいました(それでもこの数...)。

1. おでこへの電気刺激

この研究の電気刺激では振動感や圧覚も提示可能なのですが、驚くべきは冷感を提示できるところでしょう。冷たく感じる点(冷点)を探さなきゃいけない問題はありますが、これがまたとっても冷たいんですね(筆者体験済み)。個人的には氷の針で額を突かれる感じでした。ペルチェ素子などのように電力とスペースをくわないので、HMDに容易に組み込めて、冷感提示ができる興味深い研究です。おでこから冷凍ビームだせるアプリなんて良いのでは。
hitai.png
T. Saito, J. Zhang, T. Kameoka, and H. Kajimoto. Thermal Sensation on Forehead Using Electrical Stimulation: Thermal Sensation Using Electrical Stimulation. In CHI EA '21.

2. 舌への電気刺激

皆さんご存じ、今年にイグ・ノーベル賞(栄養学)を受賞した宮下先生の研究ですね。この研究のすごいところは「味が変わるだと!?(塩味が増す)」というごく当たり前な食に変化をもたらす驚きと感動にあるでしょう。また、塩分過剰摂取を予防できる観点から健康デバイスになり得る高いポテンシャルをもっています。

SmartSelect_20231205_220129_Slack.gif
H. Miyashita, Y. Kaji, and A. Sato. Electric Salt: Tableware Design for Enhancing Taste of Low-Salt Foods. In UIST '23 Adjunct.

3. 指先への電気刺激

触覚提示として王道な指先。アクチュエータによる大型化や高消費電力を解決する手法、および高解像度な触覚提示が可能ということあって人気な電気刺激ですが、刺激のパターンを工夫するとより豊かな触覚提示ができることがわかっています。
例えば、力覚提示装置(力をフィードバックしてくれる装置)と接触面積に応じた円形状の電気刺激を同時に提示することで、柔らかさ感をよりリアルにレンダリングできるという研究があります。
また、2つの電極マトリックスが対向する面にある把持型デバイスで刺激パターンを画像(右)のようにすると、あら不思議、引っ張られる感覚がえられる研究があります。薄くて小型なナビゲーションシステムに期待できると同時に、XRデバイスのコントローラに搭載されたら色々使い道はありそうですね。

人差し指(固定型) 人差し指と親指(把持型)
柔らかさ感提示の高品位化 引っ張られる感の提示

Y. Suga, M. Takeuchi, S. Tanaka, H. Kajimoto. Softness Presentation by Combining Electro-tactile Stimulation and Force Feedback. Frontiers In Virtual Reality 2023.

S. Nakayama, M. Manabe, K. Ushiyama, M. Miyakami, A. Takahashi, and H. Kajimoto. Pilot Study on Presenting Pulling Sensation by Electro-Tactile Stimulation. In EuroHaptics2022.

4. 足裏への電気刺激

足裏への触覚提示は、手持ちのコントローラやデバイスに触覚提示機構を盛り込みがちな我々に驚きを与えてくれます。しかし、ほとんどは大型な床ディスプレイであったり歩きにくそうなシューズデバイスだったりします。この研究の注目点は、とても薄く柔らかい電極マトリックスを足裏にフィットさせているところです。色々使えそうな電気触覚ですが、元の地面の物理的な形状も同時に感じることができるので、応用の幅が広いと言えます。画像のVRコンテンツやナビゲーションへの使用はとても良さそうですよね。
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K. Ushiyama and P. Lopes. FeetThrough: Electrotactile Foot Interface that Preserves Real-World Sensations. In UIST '23.

最後に

ここで紹介した事例は SIGGRAPH Asia 2023 で講演する内容のほんのちょっとです。もし興味をもっていただけたなら、そのままカンファレンスに足を運んで講演を見てもらえると幸いです。あと一週間なので、ギリギリ間に合うかな?
明日は なおさん の記事があがります。4D Gaussians や 3DGS系に興味ある方は是非!

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