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これからのAIについて見解を述べる。※ただし、主観的観測に基づく

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はじめに

本記事では、主に2019年のAI事情について自分自身が観測した範囲のことをまとめています。非常に限られた範囲の話ですので、共感できることもあれば、全くあてはまらないと感じる内容もあるかもしれません。この記事の内容が全てではないということを、あらかじめご了承ください。

AIブームは終わったのか!?

最近、AIブームは終わった・もう終わると聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?もしかしたら、AIは使えないとまで感じている人もいるかもしれません。本当にAIブームは終わってしまったのでしょうか?

まず、AIのイベントといえば誰もが思い浮かぶ「AI・人工知能EXPO」について振り返ります。
AIEXPO.png

第3回 AI・人工知能EXPO

来場者数を見ると、昨年よりも2416名増加ということで、まだまだ人気があることがわかります。自分自身も今回と第1回の2回説明員として参加しましたが、とにかく人が多い!

ただ、来場者には変化があるように感じました。第1回の時は、8、9割の人がAIで何ができるのか、自分たちのビジネスに活用できるのか、そもそもAIって何ですかという人で残りに1、2割の人が技術調査という印象でしたが、第3回はこれからAIの活用を検討しますという人が5割程度に、技術調査が3割程、残りの2割程がPoCをしたものの上手くいかずに、次なるパートナー企業を探している人という印象でした。(※あくまで、自分が観測した限りです)

上記の割合もそうですが、それ以上に印象に残っているのは機械学習・ディープラーニングをすれば(何でも)上手くいくんでしょ?と考えている人がほとんどだった第1回に比べて、第3回はデータ収集・前処理も重要と考えている人がかなり増えたことです。データサイエンティストや機械学習エンジニアにとっては当たり前のことですが、仕事を依頼する側の人たちも理解が進んでいて、機械学習やディープラーニングを活用するAIプロジェクトを進めやすくなってきているのかなと感じました。(ただし、データの量と質が十分あるとは言っていない…)

ただ、既にAIプロジェクトを行った人、特に、うまくいかなかった人の話を聞いているとデータが必要であることは理解しているものの、データを集める、整えることができていない・実行するまでに至っていないようでした。諦めることも選択肢の一つと考えている人も…

AI・人工知能EXPOであったように、自分たちのビジネスにAIを活用できるか模索している人・実際に活用している人はまだまだ多くいるものの、既に苦い思いをした人たちが徐々に離れつつあるといったところが、AIブームの終わりと言われる所以でしょうか。

個人的な感覚だと、現状のAIブームは
タピオカほどの勢いはなくなったが、パンケーキくらいの根強さはまだある …(違うか!?)
といったところです。

ダメなAIプロジェクト、上手くいったAIプロジェクト

AIブームが終わるといわれる一番の理由は、「自分たちのビジネスにAIが貢献しなかった」からでしょう。もちろん、成果を上げているAIも存在するわけですが…

では、貢献するAIと貢献しないAIにはどんな差があるのでしょうか?

まず、ダメなAIプロジェクトの特徴ですが、

  • とにかく、AIでやったと言いたい!
  • データはある!何かやってくれ!(尚、データの質と量は…)
  • 機械学習が使えそう!やってみよう!(機械学習でなくてもいけるんですが…)

上記のいずれかが当てはまっているケースが多いと感じてます。

まず、「とにかくAIでやったと言いたい!」案件ですが、AIを活用していること・流行に乗っかっていることをアピールしたいからだと思いますが、残念ながらAI、特に機械学習はデータが必要です。なければ集めなければいけません。勢いだけでは始められないのです。

次に、「データはある!何かやってくれ!(尚、データの質と量は…)」案件。データは必要です。必要ですが、何でもあれば良いわけではありません。精度を出すには質と量が必要です。あと、「○○があるから~」みたいなありもので何かをしても、特に成果はあがらないでしょう。目的に応じて必要なものを揃えましょう。

最後に、「機械学習が使えそう!やってみよう!(機械学習でなくてもいけるんですが…)」案件。機械学習を唯々やりたいだけ。機械学習にも向き不向きはあります。ノリで出来るほど甘くないのです。

では、機械学習の向き不向きをどうやって判断すれば良いのでしょうか?

自分は機械学習を全く知らない友人に説明するときはジェットコースターを例にします。機械学習が有効なのはジェットコースターに乗れるかどうかを判定する or ジェットコースターが好きかどうかを判定するのいずれかといった具合です。前者は身長制限をチェックすれば良いのでルールベースで十分です。後者は様々な要因を考慮するため、機械学習が有効となります。AI案件を依頼する前に1度考えてみるのも良いのではないでしょうか。(尚、データを集めれば、前者も機械学習でできますが、費用対効果が悪いです。)

ダメなAIプロジェクトは総じて、AIとりわけ機械学習が全面に出すぎている印象が強いです。どうやるか(手段)ばかり注目されていて、何をやるか(目的)が置いてきぼりになっている感じですね。手段の1つであり、一部である機械学習は料理で言うところの隠し味くらいの方がうまくいくのではないかと個人的には思います。

まぁ、私料理は詳しくないんですけど…

一方、上手くいったAIプロジェクトの特徴は、

  • 課題に対するアプローチが噛み合っている

これに尽きます。もちろん、他にも要因はあると思いますが、基本的に目的が一番注目されていて、必要な下準備をしたうえで有効なアプローチを実施していく。データの集計で事足りることは集計して終わり。機械学習のモデルを作るタスクにはモデルを作るといった具合です。

あと、コミュニケーションも噛み合っている気がします。きっと、強引に進めてもうまくいかない分野なんでしょう。これはAIの分野に限った話ではないと思いますけど…

これからのAIについて

さて、これからのAIについてすが、課題とアプローチを噛み合わせられるかがより重要になるでしょう。アプローチ先行の限界がAIブームの終わりを告げることは間違いないでしょうが、AI自体がなくなることはまずないと思われます。

そして、求められるAI人材はエンジニアだけでなくコンサルとしてのスキルもより求められるようになるのではないでしょうか。顧客の課題毎に適切なアプローチの選択、成果の説明力がますます求められるようになるでしょう。

AI・機械学習案件を依頼する側も成功には準備が必要であることを理解すべきでしょう。成果が出ず苦い思いをした依頼者がいるように、理不尽な要求をされて苦い思いをした受注者もいるのです。受注側は成功or失敗するパターンが徐々に浸透していくはずなので、的外れな依頼をしているといずれ相手にされなくなっていくことが予想されます。

また、AI・機械学習以外のアプローチも選択できないといけないケースも出てくるかもしれません。機械学習は今後ますます、既存システムに組み込まれていくと思われます。特に、最適化ソリューション等は、機械学習モデルが組み込まれるとさらに力を発揮することでしょう。

AI・機械学習かそれ以外のアプローチか両方を組み合わせるか、課題に対してベストな方法を決めることがより重要になっていくはずです。

以下、個人的に注目している分野の参考書を紹介します。

組み合わせ最適化.png

最適化の参考書。幅広く扱われているため様々アプローチを学べる1冊。機械学習の講座等で飛ばされがちな最適化の勉強もできる。

OR.png

オペレーションズリサーチの入門書。数式も少なくさらっと読める1冊。各テーマごとにより学びたい人向けに参考書が紹介されています。ただ、少し古い。

上記2冊は機械学習と組み合わせることでよりびぜネスにインパクトを与えられるのではないかと考えていま
ゲーム理論.png

ゲーム理論の入門書。上記2冊よりも数式が多く、読み応えのある1冊。機械学習の中でも、強化学習と組み合わせると面白いことができるのではないでしょうか?

おわりに

AIブームの終わり、そしてこれからのAIについて、思うことを書きましたが、改めて振り返るとノリと勢いでは失敗すると強く感じました。ブームになっているから、周りで注目されているから、自分の課題の解決策になるというのはシンプルに都合が良すぎますね。(解決策がブームになったはあり得る)

成功しているところは、地道に課題と向き合っていると感じました。注目しているところが、「AIや機械学習で~」とか「モデルの精度が~」ではなく、「課題に対してどの程度有効なのか」であるということですね。(当たり前と言われればハイとしか言いようがない…)

そして、これからのAIは「とりあえずAI」から「このケースはAI」と無謀な案件は減少し、成功している案件はより成功していき、AI格差なんて言われるほどの明確な差が出てくるのではないでしょうか。

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