本記事は数学講座5.6 行列関数の全単射を勉強して投稿したメモです。詳細は元の素晴らしい講座のページをチェックしてください。
全単射
全単射は単射且つ全射ですので、二つの必要十分条件を合わせる必要があります。
\begin{array}{c|c|c|c}
\hline
\quad行列関数\quad&\quad 単射の必要十分条件 \quad&\quad 全射の必要十分条件 \quad&\quad 全単射の必要十分条件 \quad\\\hline\\
\quad \begin{aligned}A\boldsymbol{x}=\boldsymbol{y}\ \ \\\boldsymbol{x}^\mathrm{T}A=\boldsymbol{y}^\mathrm{T}\end{aligned} \quad&\quad \begin{aligned}列フルランク\\行フルランク\end{aligned} \quad&\quad \begin{aligned}行フルランク\\列フルランク\end{aligned} \quad&\quad フルランク\quad\\
\\
\hline
\end{array}
補足:
- 単射:定義域=値域、唯一な解あるか
- 全射:到達域=値域、解存在か(指定の値が値域にあるのか)
- 全単射:定義域=値域=到達域、解ある且つ唯一な解
- フルランク:列フルランク且つ行フルランク、また、列ランク=行ランクですので、$\ → $ 正方形行列
フルランクについてこちらを参照!
全単射の例題
以下の線型方程式系では、解の状況は?
\begin{cases}
x_1+3x_2=5\\
x_1+6x_2=9
\end{cases}
以下のように列ベクトル行列関数に変換して:
\underbrace{\begin{pmatrix}1&3\\1&6\end{pmatrix}}_{\Large A}\ \underbrace{\begin{pmatrix}x_1\\x_2\end{pmatrix}}_{\Large\boldsymbol{x}}=\underbrace{\begin{pmatrix}5\\9\end{pmatrix}}_{\Large\boldsymbol{b}}
$A$が行フルランク且つ列フルランク、即ちフルランクですので、全単射です。だから、解があり、唯一な解です。
応用:
- $A\boldsymbol{x}=\boldsymbol{b}$、必ず解がある、且つ唯一な解
A=\begin{pmatrix}1&0\\0&1\end{pmatrix}
$A$がフルランクですので、全単射です。
- 以下の説明が正しいのは:
- 正しい:$\boldsymbol{x}^\mathrm{T}A=\boldsymbol{y}^\mathrm{T}$が全射
- 誤り:$A$の列ベクタル空間が$R^2$
- 誤り:$Ax=y$が$\mathbb{R^3}\to\mathbb{R^2}$の関数です。
A=\begin{pmatrix}1&0\\0&1\\1&1\end{pmatrix}
- $A$が列フルランクです。$\boldsymbol{x}^\mathrm{T}A=\boldsymbol{y}^\mathrm{T}$の全射必要十分条件が列フルランクですので、これが全射です。
- $A$が$R^3$での平面です。
- $Ax=y$の四つ要素が以下の通りですので、該当行列関数の線形関数式が:$\mathcal{L}:\mathbb{R^2}\to \mathbb{R^3}$です。
\begin{array}{c|c|c|c}
\hline
\quad自然な定義域\quad&\quad マッピング規則 \quad&\quad 値域 \quad&\quad 到達域 \quad\\\hline\\
\quad \mathbb{R}^2 \quad&\quad A \quad&\quad A\boldsymbol{x} \quad&\quad \mathbb{R}^3 \quad\\
\\
\hline
\end{array}
参考情報